科学的に考える「ジャンプバック」で安全にプランクポーズに移る方法
ジャンプしてプランクポーズに移ると、膝がきしむと同時に、肘を曲げてチャトランガダンダーサナに移るときには分散される衝撃を、この動きでは手首と肘と肩が吸収しなければならないという説だ。しかし、Journal of Bodywork and Movement Therapiesが2011年に実施した研究では、(腕を伸ばしている)プランクポーズよりも(肘を曲げている)チャトランガダンダーサナのポジションのほうが、手首と肘と肩の筋肉に大きなトルク(回転力)が発生することがわかった。この研究結果は、後方にジャンプしてそれぞれのポーズに移る場合にも当てはまる。ジャンプしてプランクポーズに移る場合、肩は手首の上に積み重ねられ、肘は相当伸びているか真っすぐ伸びている。つまり、肘の周辺の筋肉が、チャトランガダンダーサナで着地するときほどトルクを生み出す必要がないことを意味している。その代わりに、もっと大きな肩と腰の筋肉が動きを制御するため、肩、肘、手首は損傷を受けにくくなる。
また、プランクポーズでの着地については、骨を積み重ねたポジションによって靭帯損傷(ligamentstrain)が起きるという誤解もある。「strain」とは、単に元の状態から長さが変化することを指す。言い換えれば、「ストレッチ」「伸び」のことだ。ストレッチをするたびに体には伸び(strain)が起きている。伸びること(strain)自体は損傷(injury)と同義ではない。体の組織がその回復力を超えて伸びたときに、損傷が生じる。たとえば、肘を曲げてチャトランガダンダーサナに入るときには、肘関節の靭帯と腱が伸びる。靭帯と腱が伸びるのは、関節を曲げているか過度に伸ばしているときだけで、骨を積み重ねたときではない。プランクポーズでは、肘関節の靭帯と腱は長さが変わらない。靭帯と腱には伸び(strain)が起きないことを意味している。
最後に、後方にジャンプしてプランクポーズで着地するほうが、チャトランガダンダーサナで着地するよりも腰に負担がかかるという俗説も耳にしたことがあるかもしれない。どちらの着地でも体幹部を働かせなければ、腰は沈む。すると、椎間関節(椎骨と椎骨の間の関節で、背骨の曲げ伸ばしを可能にする)が圧迫される。これを長期間繰り返せば、骨の変性につながる。その反対に、どちらの着地でも背中が丸くなりすぎれば、椎骨に過大なトルクが生じて、そのために椎間板が圧迫されて損傷につながる可能性がある。体幹部を働かせてジャンプすることによって、どちらの状況も回避しよう。こうすると、背骨をニュートラルに保つことができる。
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