糖質制限はダイエットに必須?本当に痩せられるの?【特別対談】
糖質制限はもはやダイエットの定番。糖質を控えるだけでいいならと、気軽にトライしたくなりますが、糖質制限のやり過ぎで健康を害してしまうことも。体にとっての糖質の役割や摂取するタイミングを知っておけば、必要以上に避けることはなくなります。糖質制限についてうかがったのは、ヨガインストラクターで日本食文化栄養協会理事長の菅井悦子さんと、食育や栄養学に精通している同協会理事の根本美穂さん。現役モデルでもある菅井さんには、糖質制限ダイエットの体験談も語っていただきました。
女性らしい健康美を目指すなら過度な糖質カットは逆効果
菅井さん(以下、菅井):生徒さんに「糖質をカットすれば痩せられますか」とよく聞かれます。答えは「YES!」。でも、健康的に美しく痩せられるかというと、答えは「NO!」。ただ細ければいいのでしょうか。自分にとっての本当の美しさを考えたうえでダイエットしてほしいですね。
根本さん(以下、根本):本当にその通り。糖質はダイエットの敵と思われていますが、体を修復するために必要なエネルギー源です。糖質不足になると体は骨や筋肉を分解して足りないエネルギーを補い、筋力が落ちて基礎代謝はダウン。逆に痩せにくい体になり、体調だって壊しかねません。悦子さんは糖質制限ダイエットの経験者ですが、体にどんな変化がありましたか。
菅井:私は3週間、2週間、2週間のペースで合計3ヵ月間、ジムでのトレーニングと並行して糖質・脂質の制限(もしくはほぼカット、と言ってもいいかもしれません)をしました。ごはんとパンは完全カット、根菜類ももちろんカット。お菓子も食べませんし、本当はダメだけど、ちょっとのゴマがおやつだったり。ケチャップはスプーン一杯まで!結果、「痩せる」という目的は達成しましたが、「痩せこけた」というのが正直なところ。途中で生理が止まり、でも痩せることが嬉しくてそれが体のSOSとは気付きませんでした。自覚がないって恐いですね。ダイエット後はがまんしていた分ごはんがおいしくて(笑)。つい食べ過ぎてしまい3ヵ月でリバウンドしました。
根本:出会った頃の悦子さんは、ボディメイクをしてぱっと見は綺麗でしたが、皮膚が薄くて乾燥が進んでいましたね。若いからシワこそないけど弾力もないの。このまま行くとシワシワになるよ、と忠告しましたね。
菅井:その一言で、体に不足している栄養素に気付いて食生活を改めました。正しい知識を持たずに始めるダイエットは危険だと実感しています。
お米派?パン派? 何を、どのタイミングで食べるかが重要
菅井:糖質はお米やパンに含まれていますが、先生はお米派、それともパン派ですか。
根本:私はお米派。お米は水分が豊富、パンには水分がないためバターや肉類など油分を含むパートナーが欲しくなり、それが太る原因に。お米は味わいが淡白な分、おかずも自然と塩分控えめになるのもいいですね。塩分を摂り過ぎると、体は塩分濃度を一定に保とうして水分を溜め込みむくみます。和食はいろいろな意味で優秀だと思いますよ。
菅井:私もパンよりお米をよく食べます。以前のように糖質が悪者とは思わず、糖質の種類や食べ方に気を付けながら取り入れていますよ。先生が勧める糖質の摂り方はありますか。
根本:サーカディアンリズムと呼ばれる体内時計のサイクルに沿った食べ方を意識して。午前4時から正午は排出の時間なので、朝食をしっかり食べて、特に食物繊維が豊富な納豆や野菜が入ったお味噌汁はデトックスを促します。活動時間にあたる正午から午後8時はタンパク質を十分に摂り、夜中は糖質を控えめに。できれば締めのラーメンは我慢しましょう。
菅井:夜食に糖質がNGな理由は何ですか。
根本:早朝になるとコルチゾールというホルモンが、脂肪や糖をエネルギーに変えて体温を上げていきます。その際、夜中に摂り込んだ糖質があると、体内で蓄積されていた分が消費されず痩せにくい体に。
菅井:就寝中、基礎代謝で約60%のエネルギーが使われると聞きました。体の周期に合った食事をすればより効率的に無理なく体の変化を実感できそうですね。
(左)菅井悦子さん
モデル、ヨガインストラクター。高校在学中にノンノフレンドとしてモデルデビュー。ノンノ専属モデルを経て、ファッション、美容、カルチャーなどの様々な雑誌で活躍。2009年に全米ヨガアライアンスを取得し、リストラティブヨガ、マタニティヨガなどの講師を担当。2015年より独自メソッドである肉体造形ヨガ「UBY」を展開し、ボディメイクや食事指導を精力的に行う。2019年、日本食文化栄養協会を設立し理事長に就任。
(右)根本美穂さん
Ripple代表。日本食育協会、評議員、認定講師、上級食育指導士。食育、スポーツ栄養学に精通し、現在プロスポーツ選手として活躍するアスリートにも幼少期から食事指導を行っている。母と子を対象にした料理教室の開催も多数行い、2018年には日本食育協会神奈川支部の理事を務め上げ、2019年より日本食文化栄養協会の理事に就任。
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