強い不安感に対処する3つの方法|臨床心理士が教える感情コントロール法

 強い不安感に対処する3つの方法|臨床心理士が教える感情コントロール法
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石上友梨
石上友梨
2019-06-04
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強い不安感に対処する3つの方法を紹介

いくら不安は大切なサインだとしても、不安感が強すぎる場合は対処が必要になります。

1.不安を仕分ける。

不安は大きく分けて2種類あります。「解消できる不安」と「感じるしかない不安」です。

解消できる不安は、情報不足から生じる不安です。例えば、「インドの空港から宿までどんな交通手段があるんだろう?」「インドのどのエリアが安全なのだろうか?」「新しい職場はどんな雰囲気なのか」「どんな仕事を担当するのか?」といった情報が不足している故の不安です。

解消できる不安は「未知を既知にする」「準備をすること」で小さくなります。感じるしかない不安は、未来こと、誰にも分からないことに対する不安です。例えば、実際にインドに行って犯罪に合うのか?新しい職場で自分はうまくやれるのか?公認心理師の試験に合格しているのか?神のみぞ知るものです。

感じるしかない不安は、頭の「外に出す」ことがポイントになります。不安は外に出すと小さくなります。頭の中でぐるぐると考えていると、どんどん不安が大きくなった経験があるかもしれません。信頼できる人に話したり、紙に書き出すなど、頭の中に入れておかず、外に出しましょう。

2. 不安を観察する

感情は必ずピークが来て、必ず下がっていきます。不安も目を背けず感じ続けていると、少しずつ高くなり、ピークを迎えて、下がっていきます。ジェットコースターをイメージしてください。ジェットコースタに乗り込み、座席に固定されると、「怖い」という感情を感じる方が多いと思います。ジェットコースターの坂を登るのに合わせて、「怖い」はどんどん大きくなり、坂道のピークを迎え、ジェットコースターが降っていくと「怖い」は小さくなっていきます。

もしくは、「楽しい」と感じた時のエピソードを思い出してください。お笑いを見て、楽しくゲラゲラと笑っていた時も、途中で「楽しい」が薄れてきたり、いつの間にか平静な状態に戻っていきます。楽しかった出来事も、必ず、ピークがきて、いつまで続かないものです。

不安も同様です。不安をしっかりと観察することがおすすめです。例えば、時計を見ながら「今の不安な状態は60%」だ。3分経過し、「不安が高くなり80%」になった。10分経過し「60%に下がった」など、モニタリングし、スマホのメモや紙などに書き出してみましょう。

3.不安になりにくい自分を目指す

日頃から呼吸法やヨガなどで腹式呼吸を意識することで、不安になりづらい身体が作れます。ゆったりとした腹式呼吸で「吐く」方を長く意識することで、副交感神経が優位になります。私たちは「交感神経」と「副交感神経」という2つの自律神経のバランスを保ちながら生活しています。しかし、現在は交感神経が優位な方が多く、不安な感情はこの交感神経と関連があります。腹式呼吸で高すぎる交感神経を鎮め、副交感神経を高めることがポイントです。

呼吸法は、腹式呼吸で鼻呼吸が基本となります。鼻から息を吸って、鼻から細く長く吐き出します。吸う方ではなく、吐く方が長くなるように意識しましょう。

ヨガをやっている時は呼吸に意識を向けることが多いと思います。ヨガのポーズを丁寧にとりながら、呼吸ひとつひとつを大切に味わいましょう。また、デスクワーク中など気づいたら息を止めている方も多いです。意識してゆったりとした呼吸を続けることもおすすめです。通勤途中や休憩時間など、こまめに呼吸法を実践することで、不安になりにくい自分を目指しましょう。

ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。

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