寒い時期に悪化しやすい坐骨神経痛に『鍼灸』が効果的と最新の研究で明らかに!

 寒い時期に悪化しやすい坐骨神経痛に『鍼灸』が効果的と最新の研究で明らかに!
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山口華恵
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2024-11-29

寒さ本番のこれからの季節に心配なのが「坐骨神経痛」。運動不足、座りっぱなし、悪い姿勢などが日常生活の習慣が主な原因だ。

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坐骨神経痛に鍼灸が効果的

坐骨神経痛は、腰の神経が圧迫されることが原因で起こり、動くだけで辛く、日常生活に支障をきたす。腰から足にかけての激しい痛みやしびれが主な症状だ。薬や手術などが治療法として主流だが、鍼灸が坐骨神経痛に効果的である可能性が高いという新しい研究結果が発表された。今回の研究は、中国で行われたもので、220名の坐骨神経痛の患者が参加した。研究では、参加者を2つのグループに分け、一方は「本物の鍼灸」、もう一方は「シャム鍼灸」(効き目がない場所に鍼を刺す偽物の治療)を受けた。治療の結果、本物の鍼灸を受けたグループは、2週間後には痛みが軽減し、1ヶ月後にはさらに改善され、1年後のフォローアップでもその効果が続いていた。一方、シャム鍼灸を受けたグループにも改善はあったものの、その効果は本物の鍼灸を受けたグループほどではなかった。

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鍼灸のメカニズム:どのように効果を発揮するのか?

鍼灸がどのように痛みを軽減するのか、そのメカニズムにはいくつかの要素が関わっている。これまで、鍼灸の効果は「気の流れを整える」といった伝統的な考え方に基づいて説明されてきたが、近年の科学的な研究によって、その作用がどのように体に影響を与えるのかが明確になっている。

エンドルフィンの分泌

まず、鍼灸治療が行われると、体内でエンドルフィンという神経伝達物質が分泌される。エンドルフィンは「自然の痛み止め」として知られ、痛みを和らげる効果がある。エンドルフィンが分泌されると、痛みの感覚が軽減し、リラックス感を得ることができる。

神経系の調整

鍼灸は、神経系にも作用する。特に、サブスタンスPという神経伝達物質の分泌を抑制する効果がある。サブスタンスPは、痛みを脳に伝える役割を持っているため、これを抑えることで痛みが軽減される。

血行の改善と筋肉の緊張緩和

坐骨神経痛が引き起こす痛みは、筋肉の緊張や血行不良によって悪化することがある。鍼灸は、血流を促進し、筋肉の緊張を和らげる効果があるため、痛みの根本的な原因にアプローチする。血行が改善されることで、痛みを引き起こす老廃物が排出され、筋肉や神経の修復が進む。ちなみに、鍼灸は基本的に安全な治療法とされているが、今回の研究でも、実際に鍼灸を受けたグループの約24%が軽い副反応を感じたと報告されている。例えば、鍼を刺した場所に少し出血があったり、内出血が一時的にできたりすることがある。しかし、これらは全て軽いもので、大きな問題はなかった。一方、シャム鍼灸を受けたグループでは、4.6%が副作用を感じたと報告されている。

痛みの軽減だけでなく、日常生活の改善にも

今回の研究結果から、鍼灸が坐骨神経痛に効果的であることが分かった。痛みの軽減だけでなく、日常生活の改善にも役立つ可能性が高い。もちろん、すべての人に同じ効果があるわけではなく、個人差があるが、薬や手術に頼らずに痛みを和らげたい方にとって、鍼灸は有力な選択肢となるかもしれない。

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出典:
Acupuncture can help relieve sciatica pain, new evidence confirms
Acupuncture reduces pain with chronic sciatica from herniated disk
Acupuncture helps sciatica in gold-standard clinical trial

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山口華恵

山口華恵

翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。



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