【すぐ疲れる人に試してほしい】頑張らなくても続けられるプランクのためのイメージ術
何も考えず習慣に任せて体を動かしているとどのような影響があるのでしょう? 緊張と動作の関係を探究しているアレクサンダーテクニークの実践者が、無意識に入る余計な力みによって引き起こされる痛みや違和感などの体の悩みについて考察。解剖学的な視点を交えて、思考から体の使い方を変える方法を提案します。35回目のテーマは「プランクですぐ疲れる」です。
プランクで疲れるのは正しいフォームに執着しているから
ヨガのポーズはもちろんのこと、ピラティスや筋トレなどでもよく行われるプランク。簡単ながら効果が高い体幹のトレーニングとして定番です。その一方で、「すぐに疲れてしまう」「ポーズを続けられない」といったことで悩んでいる人も多いようです。
プランクは腹筋や背筋をはじめとした様々な筋肉を使うので、それなりに鍛えられていなければ確かに疲れてしまうでしょう。ところが「頭からかかとまでを一直線に」「首が詰まらないように肩を下げて」といった、正しいフォームの注意事項に気を取られることが余計な力みとなって、より疲れやすくさせている場合もあります。
フォームを意識し過ぎて背中や腕を過剰に力ませる
プランクではお尻が上がっていたり、逆に落ちていたりするのはNGとされています。そこで頭からかかとまでを一直線に保つように注意されます。でも、私たちの体にはまっすぐなところはありません。比喩的に直線と表現したとしても、脳はその言葉を素直にとらえて直線にしようと筋肉に無理をさせてしまうのです。
頭からかかとまでを一直線にしようとして、必要以上に胸を張ったり、肩甲骨を寄せたり、脇を締めたりして、上半身(連動して下半身も)を力ませます。これだけでも余計な運動となって、本来の効果の邪魔になるでしょう。
また正しいフォームに則って背すじを伸ばそうとするため、意識は背中に集中して、背中の筋肉を固めがちです。そうすると背中に連なる腕の筋肉にも影響し、最終的には背中と腕の一部だけで支えてしまうのです。
このように思考が体の構造という事実とはそぐわない故に、局所的な負担が大きくなり、余計に疲れやすくなると考えられます。
余計な力みが入らないプランクのセッティング
鍛えるためにある程度の頑張りが必要なのは確かですが、セッティングの段階から無駄に頑張ることはありません。無理なくプランクを行なうには次のことを実践してみてください。
1.「腕は鎖骨から始まっている」と思う
腕は肩から先の部分と考えるのが一般的です。でも下の図の通り、腕を胴体につなげているのは鎖骨です。つまり腕の始まりは鎖骨。
試しに片手で腕と胴体のつなぎ目である胸鎖関節に触れ、もう一方の腕を動かしてみましょう。腕とともに鎖骨も動いているのがわかるはずです。
2.「胸と腕でトンネルを作る」と思いながら手を床につける
1を踏まえたうえで、手を床につくときには体の前側(胸と腕)でトンネルを作るようなイメージをします。そうすると背中と腕の関節の可動性が広がり、背筋だけではなく、腹筋も働きます。
3.「頭頂部は斜め前へ、足裏はその反対の方向へ伸びる」と思う
プランクのフォームを続けるには「一直線を保つ」というより、「伸びる」イメージの方がいいでしょう。頭頂部が斜め前へ、足裏全体が頭頂部とは反対の方向へ伸びていく様子を思い描きます。
同じことをしていても、自分に出す指示の表現が変わるだけで必要な筋肉が必要なときに働いてくれるようになるものです。せっかくのトレーニングをより効果的に行なうために、試してみてはいかがでしょう。
AUTHOR
ホタカミア
ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
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