【やめたくてもやめられない噛みしめ・食いしばりに!】あごをリラックスさせる簡単な方法
私たちは日常的に余計な力を入れたまま生活することに慣れてしまっています。それが不調の原因であることもしばしば。そんな余計な力みと効率的な体の使い方の影響を模索しているアレクサンダーテクニークの実践者が、違和感や痛みなどの体にまつわる「負」について、解剖学的な視点を交えて考察し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。30回目のテーマは「噛みしめ・食いしばり」です。
噛みしめ・食いしばりはストレスに耐えている証拠
パソコン作業やスマホをチェックしているとき、あるいはテレビや映画に夢中になっているときなど、ひとつのことに集中し過ぎると思わずあごで食いしばってしまうものですよね。このような噛みしめや食いしばりに長時間さらされていると、体の様々なところに変調をきたします。
そもそもリラックスしていれば、上下の歯の間にわずかな隙間が空くといわれています。つまり噛みしめ・食いしばりが起こっているということは、それだけストレスに耐えているということなのでしょう。故に噛みしめ・食いしばりに気づいたらやめたいものですが、あごの力を抜いたとしてもいつの間にかまた力んでいたり、上下の歯の隙間を空けようと躍起になっても別の不調が現れたりと、なかなか上手くいかないこともあるでしょう。
どうして集中し過ぎると噛みしめたくなるのか?
ひとつのことに意識が捕らわれるとそのことだけを考えようとするあまり、体の他の部分を固めてしまいがちです。例えばパソコン作業をしているときはモニターに顔を向け、その姿勢を崩さずにキーボードを打とうと頑張ってはいませんか?
そのようなとき私たちの体の中では、頭で脊椎を押し下げるという現象が起こっています。脊椎は胴体の軸であり、動きの中心となる骨。そして頭は5〜6kgもあるといわれており、それほどの重量のものが不自然な形で脊椎を押し下げ、胴体の自由を奪っているのです。
この頭から押し下げの際に脊椎のさらに上で、押し下げの圧迫を受け取るのがあごです。噛みしめ・食いしばりはあごだけの問題というより、頭から胴体までで起こっている押し下げの問題であり、全身の連動性が奪われた結果だと考えられます。
あごの力を抜いてリラックスさせる思考術
噛みしめ・食いしばりをやめたくてあごの力を抜こうとするのは大切ですが、ただ力を抜こうと思ってもなかなか上手くいくものでもありません。そこで次のことを実践してみてはいかがでしょうか。
1. あごの構造を確認する
まずは頭蓋骨やあごの構造を確認して、知識と体感をアップデートさせます。
頭蓋骨とは、あごの骨である下顎骨と頭頂部や後頭部、目、鼻、上あごといった、下顎骨以外の2つの部分に分けられます。そして下顎骨は、下顎骨以外の頭蓋骨にぶら下がるように付いています。この構造を頭に思い浮かべるだけでも、あごや口周りが楽になることもあるでしょう。
2. 上あごより上の部分が首や胴体から離れていくと思う
1で確認したあごの構造を踏まえたうえで、頭が首や胴体から離れていくと思ってみましょう。前述の通り、下顎骨はそれ以外の頭蓋骨にぶら下がっているだけなので、頭として意識するのは上あごよりも上の部分です。
このイメージによって、頭で脊椎を押し下げるのをやめることができ、固まってしまった姿勢から全身の連動性を取り戻せます。噛みしめ・食いしばりも自然にやめられているはず。
3. 目線は高く、周りを俯瞰
頭で脊椎を押し下げているときは、目線も低い位置で固まっていることが多いです。そこで2のイメージをしながら、目よりも高い位置を見るようしてください。そして自分を取り囲んでいるモノに目を向けて俯瞰すれば、押し下げをやめることを続けられることでしょう。
AUTHOR
ホタカミア
ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く