【急ぎたいのに速く歩けない!】イメージするだけでOKの歩行速度を上げる方法
思うように体が動かない、特段何かをしたわけでもないのに体の特定の部位が痛いというのはままあることです。それらは習慣的な思い込みや固定観念によって、気づかないうちに入ってしまう余計な力みのせいかもしれません。そんな力みと体の使い方の関係を探究するアレクサンダーテクニークの実践者が、体に影響を与える思い込みについて解剖学的な視点を交えて考察し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。29回目のテーマは「急ぎたいのに速く歩けない」です。
歩行速度を邪魔する原因は「脚を動かそう」という意欲
余裕をもって出掛けたのに何故か時間ギリギリだったり、ハイヒールだから無理はしたくないけれど急がなければならなかったり。走るほどではないけれど、急ぎたいことはよくあります。でも思っているほど速く歩けなくて、そんな自分にイライラしている人も多いのではないでしょうか。
速く歩こうと思うと、自然と頑張って脚を動かそうとするものです。しかしながら、この「頑張って」や「脚を動かそう」といった意欲が余計な力みとなって、歩くという動作を邪魔している可能性があります。
脚の前側に意識が集中して重心は後ろに流れる
人間の目は体の横や後ろよりも、前にあるものを見る方が優位な構造をしているので、脚を意識した時点でまず目に入るのは脚の前側です。そうすると、どうしても脚を前に踏み出す動作のイメージが思考を支配しています。例えば、太ももを持ち上げることに一生懸命になるとか、踏み出す一歩を少しでも前にしようといった具合に。
そして大抵の場合、頭をはじめとした上半身の存在は忘れられており、先行することに気を取られている脚に対して、無意識にバランスを保とうと、胸を張ったり腰を前に押し出したりしています。つまり若干ながら、上半身が反れて、重心が後ろに流れるような体勢となるわけです。
前に進みたいのに体勢としては後ろへベクトルが向かっていれば、思うような速度で歩けるわけがありませんね。
頑張らなくてもスムーズに歩ける考え方
では、どうすれば歩く速度を上げられるのでしょう。重心が後ろに流れ気味だからといって無闇に上半身を前に出しても、あごばかりが突き出たり猫背になったりするだけで、全身が余計に力むことになります。
そこで次のようにイメージしてみてはいかがでしょうか。
1. 頭と脊椎の構造をイメージする
脊椎はなだらかなS字のようなカーブを描いていて、頭はその脊椎の先にあります。この構造は直立でも座っていても、そして歩行時でも同様です。体勢や動作によって頭は自由に動くことができ、脊椎も頭に合わせてカーブの度合いを変えながらバランスをとっています。このように、頭と脊椎の構造や自由に動いている様子をイメージすることで、縮こまりがちな全身を解放します。
また首に入った力みがなかなか抜けないと感じるときは、頭が脊椎の先で胴体から離れていくと思ってみましょう。
2. 体の後ろ側を意識する
次に、目には入りにくい体の後ろ側を意識に加えましょう。背中やお尻、太ももや膝の裏側、ふくらはぎ、足首、かかと、足裏を頭に思い描いてみて。そうするだけで体の後ろ側がアクティブになってくれます。
3. 後ろ足が地面を蹴る様子をイメージする
そして、アクティブな体の後ろ側が動くことによって脚が地面を蹴り、前に進む様子をイメージしましょう。太ももやふくらはぎだけではなく、地面を蹴っている足先の関節のことまで思ってください。
踏み出す脚の代わりに蹴り出す脚を意識することで、重心にも変化があり、歩き方も変わります。ただ思うだけというお手軽な方法なので、速く歩きたいというときにぜひお試しあれ!
AUTHOR
ホタカミア
ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
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