【首が痛い人に試してほしい】高いところを見るときに首に負担をかけない!思うだけの簡単な方法
いつの間にか体に入っている必要以上の力み(緊張)は、日常生活で「これはそういうものだ」と無意識に思い込んでいることと関係していることが多いです。そんな緊張に気づいて解放し、より効率的に体を使う訓練をしているアレクサンダーテクニークの実践者が、体の違和感や痛みなどの「負」とそこにある思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考察します。思考するだけで体の使い方を変える方法を提案します。27回目のテーマは「見上げると首が痛い」です。
首が痛くなるのは“顔”を上げようと思うから
桜の季節ですね。咲き誇る花を目の前にすると、思わず近寄って、高い位置にある枝を見上げたくなります。いつまでも眺めていたいですが、時間が経つと首の後ろが痛くなって、じっくりは楽しめないことがあります。桜に限らず、家の中でも外出先でも、様々なシーンで私たちは見上げるという動作を行ないますが、その度に首が痛いと悩んでいる人は少なくないと思います。
では、なぜ見上げると首が痛くなるのでしょう?
見上げるときに、“顔”を上げようとはしていないでしょうか。上に向かせるパーツとして、顔という部分だけに意識を向けていると、首に余計な負担をかける可能性があります。
顔を意識するとあごを出して首を詰まらせる
顔といわれて実際に意識の対象となるのは、多くの場合、目や鼻、口です。そして顔を動かそうというときの動きを誘導するのは、口の下にあり、顔の先端であるあごです。しかしながら顔は頭の一部であり、顔を含めた頭が動くことで、その下に連なる首の骨(頚椎)から始まる脊椎が動き、見上げるという動作が可能になります。
顔だけを意識して上を向こうとすれば、あごを出すようにして顔から動きます。そしてあごが少し出た体勢でバランスを保とうと、頭に近い頚椎の上の方は動かないように固定させ、首を詰まらせた状態になります。その上で頚椎の下の方ばかりを使って無理に反らせるため、首の後ろに必要以上の負担がかかるのです。
見上げるときに首の負担を軽減する2ステップ
首に負担をかけずに見上げるには、顔の代わりに頭を意識するのがおすすめです。次のことを実践してみてください。
1. 頭と脊椎の構造の確認
脊椎はゆるいS字カーブを描いていて、頭はその脊椎の先にあります。実際に頭頂部や後頭部、側頭部などに触れて、触覚を通して頭の存在を実感するのもいいと思います。そしてその頭が脊椎の先で自由に動いている様子をイメージします。
ところで、頭と首のつなぎ目である環椎後頭関節は、耳たぶの後ろくらいに位置しています。耳たぶより上が頭で、耳たぶの高さから首が始まっていると思うと、予想以上に首は長いと感じるはず。
2. 動作の過程をイメージする
見上げる際に動作を誘導するのは頭です。まずは耳たぶの高さの辺りで、ボールのように頭が後ろにコロンと転がると思ってみましょう。転がった頭に伴って、首・胸・背中・お腹もついていく様子を思い描いてみてください。さらには股関節や脚も動きます。
このように頭を意識し、どのように動くのかをイメージすることによって、首の下の方だけで動くのをやめ、全身で見上げることができます。イメージ力はそれだけで体に影響を与えるので、ぜひ試してみてくださいね。
AUTHOR
ホタカミア
ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く