【テンパって周りが見えなくなる!】緊張や焦りで余裕がなくても視界を広げる簡単な方法

 【テンパって周りが見えなくなる!】緊張や焦りで余裕がなくても視界を広げる簡単な方法
AdobeStock

私たちは日常的に緊張しながら生活しています。そんないつの間にか入っている緊張と体の使い方の関係を探求しているアレクサンダーテクニークの実践者が、違和感や痛みなどの体にまつわる「負」について考察するシリーズ。違和感や痛みを引き起こす要因のひとつである思い込みが体にどう影響するかを解剖学的な視点を交えて説明し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。24回目のテーマは「緊張や焦りで周りが見えなくなる」です。

広告

見るとは目の仕事という思い込みが視界を狭くしている

人前で発表するときや予定外のことが起こったときなどに、テンパって周りが見えなくなることはよくありますよね。もっと上手くやらなくてはならないのにあれこれ見逃して、さらにテンパって空回りしてしまうことに悩んでいる人は多いのではないでしょうか。緊張や焦りそのものを克服するのは簡単ではありません。でもそこに付随する「見る」という行為をどう思っているかが、視界を広げたり狭めたりすることと関係している可能性があります。

「見る」という行為について視覚の情報を自分から取りにいくものと思って、能動的に見にいこうとしてはいませんか?
また見ることを目の仕事だとして、「ちゃんと目を使って見よう」と目や目の周辺の筋肉に頑張らせてはいませんか?

能動的に見にいこうとするとモノに体を合わせてしまう

そもそも緊張したり焦ったりすると、頭で胴体を押し下げて体を縮めるということが起こります。これは頭蓋骨と首の骨(頚椎第1番)のつなぎ目である関節、環椎後頭関節の周りの筋肉を固めているということです。この状態になると首はもちろん、全身が動きにくくなって、様々な身体機能がわずかながらも低下します。いつの間にか首が詰まって窮屈な感じがするときなどは、この頭で胴体を押し下げて体を縮めている状態です。特に視神経は環椎後頭関節の近くを通っているので、頭で胴体を押し下げていればダイレクトに視界に影響を及ぼします。

さらに「ちゃんと目を使って見よう」と思うと、無意識に見る対象に体を合わせようとするものです。具体的には、見ようとするモノに対して顔から動かし、よく見えるような体勢を作ります。しかしながらこの体勢では、あごが出て、頭で胴体を押し下げる度合いが増してしまいます。このようにして環椎後頭関節の周りの筋肉は余計に固まり、視界ももっと狭くなるのです。「見よう」と頑張るほど、逆に視界は狭くなるというわけですね。

余裕がないときでも視界を広げる方法

まずはモノが見える仕組みを確認しましょう。

モノが見える仕組み
イラストAC

私たちは目で見ているわけではなく、目を通して脳で見ています。目の奥にある網膜に映った映像が視神経で電気的な信号となって脳に伝わり、脳で認識されることによってはじめて見たことになります。つまり「見る」とは脳の仕事。目(網膜)はプロジェクタースクリーンのようなものですね。

これを踏まえて目で見ようと思う代わりに、「周囲のモノが勝手に目に入ってくる。それを脳で受けとっている」と思ってみましょう。「見る」という行為を目の仕事から脳の仕事として切り替えてとらえるのです。そうすれば視覚の情報を受動的に受けとるようになって、頭で胴体を押し下げることをやめます。目の周りや首のこわばりがなくなり、自然と視界も広がるはず。それまでは気づいていなかった視界の端っこにあるモノなどに気づく余裕が生まれることでしょう。

特別なエクササイズや面倒な手順はありません。ただ「周囲のモノが勝手に目に入ってくる。それを脳で受けとっている」と思うだけ。それだけで見にいこうと頑張ることから起こる空回りをやめることができるので、試してみてくださいね。

広告

AUTHOR

ホタカミア

ホタカミア

ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

モノが見える仕組み