【隣に座っている人が気になる人に試してほしい】満員電車での「窮屈な思い」をやわらげる方法
特別なことをしているつもりはないのに窮屈だなと感じるとき、固定観念などの思い込みが体の邪魔をして余計な力みを生んでいることがあります。そんな力みと体の使い方の関係性を探求しているアレクサンダーテクニークの実践者が、体に関する「負」と思い込みについて、解剖学的な視点を交えて考察し、思考から体の使い方を変える方法を提案します。31回目のテーマは「満員電車で座っていて感じる窮屈さ」です。
体を窮屈にさせる要因は周囲の人への気遣い
満員電車でやっと座れたのに、落ち着かないってよくありますよね。疲れから逃れたくて座ったのに窮屈な思いをして気疲れするという場合は、自分で自分の体を窮屈にさせるような座り方をしているせいかもしれません。
「隣の人に触れないように」や「できるだけ迷惑にならないように」といったことを思いながら、空いた席に“はまろう”としてませんか?
そんな気遣いが余計な力みとなって、自分の体を窮屈に追い込んでいる可能性があります。
脇を締めることで余計な力みを生む
隣の人に触れないようにする気遣いは、ある程度は必要なマナーです。しかしながらそれを意識し過ぎると、体をコンパクトにするために脇を締め、腕を体の中心に向かって引き込んでしまうことが多く、これが余計な力みとなります。
またこのような体勢では脇を締めることと腕を動かすことが混同されしまい、それ故に肩・肘・手首の関節の可動域も制限がかかるものです。無意識に脇を締めながら腕を動かそうとはしていませんか?
膝に荷物を乗せているときなどは、荷物が落ちないように押さえる必要がありますから、可動域に制限がかかった状態で肩・肘・手首を操作することになります。さらに肩や腕が窮屈に感じることでしょう。
窮屈な中でも腕を自由にさせる思考術
満員電車の中では、周囲の人に当たるような派手な動きはできません。それでも体の内側を窮屈さから解放することは可能です。次のことを実践してみてください。
1. 頭が首や胴体から離れていくと思う
まず「頭(上あごよりも上の頭蓋骨、下あごは含まない)が首や胴体から離れていく」と思ってみましょう。
縮こませていた全身の緊張をゆるめ、連動的に動く準備をします。
2. 胸鎖関節や背すじから肩に向かって広がるイメージ
次に、体の前側では、胸の真ん中にあるネクタイのような骨(胸骨)の一番上にある胸鎖関節から肩に向かって、体の後ろ側では背すじから肩に向かって、広がるように腕が伸びていく様子を想像してみてください。
これによって、腕を体の中心に引き込んで脇を締めるのをやめます。
3. 肩・肘・手首を動かすなら視界の範囲で
無意識に腕を動かそうとすると、すぐに脇を締めたくなるもの。だから荷物を押さえるときなどは、見える範囲で腕を動かすことを意識すると効果的かもしれません。
2のイメージをしながら、視界に入るように肘を持ち上げ、それから手を荷物に置く、というように意識的に腕を動かしてみるのです。
そうすると、脇を締めながら動かしていた肩・肘・手首がそれぞれの可動性を思い出して、窮屈ではない動き方をしてくれるはず。同時に周囲には迷惑にならない程度で自由になります。
このように“ただ思う”だけで、目には見えない体の内側が自由になれるので、電車に乗るときなどにお試しくださいね。
AUTHOR
ホタカミア
ライター、グラフィックデザイナーとして会社と自宅の往復に追われる中、ヨガと出会う。また、30代後半から膠原病であるシェーングレン症候群と咳喘息に悩まされ、病と共に生きる術を模索するようになる。現在は、効率的な身体の使い方を探求するアレクサンダーテクニークを学びながら、その考えに基づいたヨガや生き方についての情報を発信中。解剖学にはまり、解剖学学習帳「解動学ノート」の企画・制作も行う。
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