【先輩の選択】ラジオDJ・ナレーター秀島史香さんがたどり着いた生きやすさの選択

 【先輩の選択】ラジオDJ・ナレーター秀島史香さんがたどり着いた生きやすさの選択
腰塚安菜
腰塚安菜
2024-07-26
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理想をセルフチェックしながら、経験を積み重ねる。 10点満点の満足度13で生きるためには?

——秀島さんのこれまでと今、多くを知ることができました。ここまで積み重ねた今の生活と仕事のバランスや、その満足度はいかがでしょうか。

秀島さん:なんだかおばあちゃんみたいな引用になりますけど、今は「おかげさま」という気持ちで過ごしていますね。今ではいろんなところでいろんな仕事をしている人が自然と目に入って、毎日ありがたいなと思えます。
昔は自分のことだけで手いっぱいで「今日の番組をどううまくやろう?」ということばかり意識が向いていたんですけれどね。

今は、スタジオに向かう電車が普通に運行していること、駅の売店の店員さんが「いってらっしゃい!今日も暑いね!」など言って下さる挨拶も、沁みたりしますね。小さなことですけれど、仕事に行く時、そうした方に偶然出逢えたことを幸せと思える歳になりました。

生きてきた年数はただ歳をとっているだけではなくて、そのまま経験になりますよね。

——私も目上の世代の方々に、日常的に励まされていると感じることがあります。いつもハッピーな秀島さんですが、プレッシャーを感じることもあるのでしょうか。

秀島さん:もちろん、ありますよ!「秀島さんで」と言ってもらった仕事は、その期待にできること全て取り組んで、お応えしたいから。

でも、プレッシャーが変に空回りしないように努めようと思ったのは、子どもを出産して、自分に時間が取れなくなって、ただ時間を注げばパフォーマンスという結果に落ちてくる訳ではないと見えてきた時。DJとして、やり方を考え直さないといけないと思いました。

先ほどもお話しした準備時間や優先順位のつけ方を、一度ではなくて、何度も見直すようになりました。「本当にこれでよかったのかな?」「これって、当日現場で本当に必要になることかな?」とか。

もともと、私は何かとのめりこんでやりすぎてしまう性格です。でも「ちょっと待って」と常々立ち返るようにしたら、俯瞰でも自分を見られるようになってきました。やりすぎちゃった結果、体調まで崩しちゃったら、意味がないですものね。

——今、ご自身の心と体のバランスや満足感を自己採点すると、いかがですか。

秀島さん:今の満足度は、10点満点で13です!そう思うようにしているというのもありますし、自分で自分のメモリの設定を甘めにしているというのもポイントかなと思いますね。

そして……若い方にもお伝えできることは、私自身、今だから見えてきたことですが、自分にとっての限界をちょっとゆるめてみませんか、ということ。

いろいろ経験して大人になってみると「こうじゃなきゃダメ!」と思っていたことは、それだけが正解じゃなかったと思えるかもしれません。正解がこれしかないと思って、掴みに行ったけど、届かない、苦しいとなってしまっているのであれば「プランAも、BもCもDも見ようとしていたかな?」と理想をセルフチェックしてみるのはどうでしょう?

——10点満点の13と聞くと、私までハッピーになってしまいます。理想のセルフチェックという行動も目新しく、早速実践してみたいと思います。

秀島史香さん:年齢に合わせて、自分の理想をセルフチェックしながら歩んでいけるといいですね。もちろんハングリーに野心を持つことも大切だと思います。勝負時には目盛りの設定をちょっと高めに頑張ってみたり、逆に、例えば出産したばかりなら緩めてみたり......と常にこまめに調節することが、大事だと思うんです。

幸い私は今、満足度「10のうち13」と答えられていますが、昔は満足度「4か5くらい」と答えていたかもしれません。そこに辿り着くまで、いろいろ積み重ねて今があります。自分に対して「よくやってるね」って言ってあげることも、経験を積み重ねれば、きっとできるようになってくると思いますよ。

「今日もこれができなかった」と自分にダメ出しばかりしていて、新しいチャレンジ自体がしづらくなってしまったらもったいないですね。ダメ出しが癖になってしまうこともあるので、ちょっとずつ外していく。そこに「褒める」「励ます」という行動を取り入れていくようにしてみるんです。会社でコミュニケーションが上手くいった、家が片付いた、とりかかっていた調べものが分かるようになったとか、小さなことでも。

人から「いいね」「頑張っているね」と褒めてもらえるのを待つのではなくて「今日はこれできた!」と自分を励ましてみれば.......「明日もやるぞ!」という心の持ち方になるし、一生ものの自信につながることだって、あると思うんです。

最後にお伝えしたいことは、みなさん日々いろいろなシーンでプレッシャーを感じると思います。本当に、私たちはよく頑張っていると思いますよ。何はともあれ、ここぞという時に踏ん張るための気持ちと体力が大切。栄養と睡眠、そして一日の終わりに今日の自分を労わる時間をしっかりとってあげましょうね。

Profile|秀島史香さん

ラジオDJ、ナレーター。1975年、神奈川県茅ヶ崎市出身。慶應義塾大学法学部政治学科卒業。大学在学中にラジオDJデビュー。

現在、FMヨコハマ『SHONAN by the Sea』(毎週日曜朝6時~)、J-WAVE『LETTERS TO YOUR PRECIOUS』(毎週土曜朝7時50分~)などに出演中。

映画、テレビ、CM、アニメなどのナレーション、プラネタリウム、美術館音声ガイド、機内放送、EXILE『TiAmo』に参加するなど多岐にわたり活動している。ニッポン放送『文豪ROCK!~眠らせない読み聴かせ宮沢賢治編』で令和元年度(第74回)文化庁芸術祭ラジオ部門・放送個人賞受賞。著書に『いい空気を一瞬でつくる 誰とでも会話がはずむ42の法則』『なぜか聴きたくなる人の話し方』(共に朝日新聞出版)。

公式 インスタグラム:@hideshimafumika

公式X:@tsubuyakifumika

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腰塚安菜

腰塚安菜

慶應義塾大学法学部政治学科卒業。学生時代から一般社団法人 ソーシャルプロダクツ普及推進協会で「ソーシャルプロダクツ・アワード」審査員を6年間務めた。 2016年よりSDGs、ESD、教育、文化多様性などをテーマにメディアに寄稿。2018年に気候変動に関する国際会議COP24を現地取材。 2021年以降はアフターコロナの健康や働き方、生活をテーマとした執筆に転向。次の海外取材復活を夢に、地域文化や韓国語・フランス語を学習中。コロナ後から少しずつ始めたヨガ歴は約3年。



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