集中力を高め、インスピレーションを与える「ムドラ」っていったい何?
アーサナ、瞑想、プラーナヤーマ、キルタン(チャンティング)などの間にムドラを実践すると、マインドの奥の騒がしい声が鎮まってくる。ところが、単純に思われるこういった手のしぐさには、プラクティスへの集中を高める以上の大きなパワーがある。ムドラは、ヨガの智慧の中の二つの重要な事柄に気づかせてくれるのだ。
一つ目は、どんな人間になりたいと望むのであれ、自分はすでにそういう存在である、ということだ。ヒンドゥーの神々や、仏陀の物語や聖像の中に勇気や智慧を見いだすのは簡単だ。だが、そういった性質を自分の内に認めるのはずっと難しい。ムドラは、そういった特質は、自分にあったりなかったりするようなものではなく、感じたり、表現したりしようと意識的に選ぶものだと気づかせてくれる。
二つ目は、ムドラの実践は、すぐれた志を巧みな行為として表す方法を見つける手助けをする、ということだ。ムドラは、内側でのスピリチュアルな経験と、外側の世界との関わり合いの懸け橋となる。行為は言葉より多くを語る。つまり、ムドラは、祈りの言葉が形になったようなものなのだ。
ムドラは、どんな瞑想にもインスピレーションを与えてくれる。ムドラは、瞑想の対象に見合った意味を持つものを選ぶといい。プラーナヤーマやキルタンを行うとき、マインドの集中を高め、エネルギーを送り込みたければ、心を一つのものへ向けた状態を映し出す、ダーマチャクラ・ムドラのようなものがいいだろう。ムドラは、アーサナと組み合わせることもできる。プラクティスで、膝や肩甲骨のアラインメントに意識を向け過ぎるあまり、マインドのアラインメントには注意がいかなくなることがよくあるが、ムドラを取り入れることで、ポーズの意味合いに気づくことができる。例えば、戦士のポーズとアバヤ・ムドラを組み合わせて行うと、自分の中の慈しみ、恐れなき気持ちなどが感じられるのだ。
そんな中でも、ムドラが与えてくれる最高の贈り物は、心の奥底で感じている、マットに立つ理由を尊んでくれることだろう。アーサナや瞑想にこういったムドラを取り入れ、自らの内側に宿る慈しみ、強さ、智慧などを活気づかせていくようにしよう。
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