仕事がうまくいかないあなたに|不安を手放し前に進むエネルギーを養う【サボテンのポーズ】

 仕事がうまくいかないあなたに|不安を手放し前に進むエネルギーを養う【サボテンのポーズ】
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ビジネスマンとして多忙を極めていた頃、無理が重なりうつ病と診断された経験を持つ、40代ヨガ講師・吉本憲太郎さんによる連載。ヨガに出合い、本来の自分を取り戻した経験から、心の痛みに寄り添える吉本さんの視点で、働く世代の心が軽くなる物の見方、考え方をアドバイス。実体験をもとに効果を感じた、体から心にアプローチする「お悩み解消ワーク」も紹介します。

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一番見えにくいのが自分自身。周りの目を通して自分を知る

―仕事で一歩踏み出したいけど、「もっとすごい人はいるし、私なんか……」と過小評価して現状維持を続けてしまう。変わりたいけど変われない人に、吉本さんはどんなアドバイスを送りますか?

「誰でも強みを持っているはずなのに、自分で気づけない人は多いと思います。そんなときは、あなたをよく知る第三者に聞いてみると長所が明らかになり、自分にできることがわかって動き出しやすくなります。変化に対して不安が強い場合は、不安をそのままにすると増長するので何がそんなに心配なのかを今度は自分に問いかけて。なるべく詳細に、嘘をつかず、かっこつけず自問自答していくと、解決の糸口が見えたり、あるいは環境を変えず今いる場所で自己実現できると気づいたりします」

―自分を正当に評価できない人は、比較癖が強いように思います。

「新しい事に向かって動き出すとき、ゴール設定を明確にすると走る方向が定まり迷いなく進めるものです。ゴールを設定しても前に進めない人は、設定したゴールに問題があるかもしれません。誰かと比べて『あの人みたいになりたい』をゴールにすると競争心が芽生え、勝ち負けが優先して負けたらどうしようと不安になり動き出せません。目指すゴールが本当に自分が望むものなのか、もう一度見つめ直してみましょう」

GOAL
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憧れの人を目指して挫折も。「私が目指す自分」になって

―会社員からヨガ講師に転身した吉本さんは、新たに踏み出したヨガの世界で「あの人みたいになりたい」願望に囚われた時期はありましたか?

「ありましたね。ある先生のもとでヨガを学び始めて、その方のようになりたいと進み出したらヨガが嫌いになりました。先生は何も悪くなくて、僕が勝手に先生に追いつき、追い抜くのを目標にしてしまった。そもそも僕は僕でしかなく、誰にもなれないことに気づけなかったんです。当たり前だけど先生を追い抜けなくて、目標達成できない自分に失望しました。冷静に考えればおかしな話だけど、当時は目標をはき違えたせいで苦しい思いをしました」

―はき違えた目標にどうやって気づき方向転換しましたか?

「書いていた日記を読み返して、僕がヨガをする原点を思い出した。憧れの対象には違いないけどその先生になるのが目標ではないって。だから、先生のもとで勉強に励みせっかく試験に合格して手にした認定資格も返上しました。『僕は、吉本憲太郎でやります』と言って。そこまでする必要ないと言われそうですが、その資格を持っていると先生に近づいたような勘違いを生みそうで苦しかったんです。このまま行くと自分がわからなくなるから、一度一人で自分のヨガを練習したいと先生に伝え、改めてヨガに向き合おうと決めました」

―憧れる対象があると原動力になるし、成功イメージが具体化できます。誰かに憧れるのは悪くないけど、良いお手本にしながら自分の持ち味を伸ばす方向に舵を切りたいですね。

「そうですね。あなたはあなたでしかなく、その強みに気づいている人は周りにかならずいますよ。憧れの人の努力を見習うのはいいけど、その人に寄せる必要はないです。生きてきた道のりや性格だって違うわけで、僕には僕の役割があるとわかったら楽になりました」

弱さも含めて自分だから、自身に嘘をつかないで

パニック障害
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―吉本さんは異業種からの転身だったわけですが、参考までに環境が大きく変わったときの心境を聞かせてください。

「僕の場合、恥ずかしくてもう出社できないという心境で会社を辞めました。というのも、パニック障害という診断結果を家族が会社に伝えたら、同僚たちが驚いていたと知って恥ずかしさが先に立った。弱い自分がバレるのがたまらなく嫌で、もう会わせる顔がないなと。休養を勧めてくれた病院の先生には、僕は休むような弱い人間じゃないと声を荒げて噛みつきました。大声を出したのは、先生にすら弱さを見破られるのが嫌で虚勢を張っていたのだと思います。会社にはずっと待っていると言っていただいたけど、復帰しても病気になった僕の言う事など誰も聞いてくれないと勝手に決めつけ、居場所がないと思い込んでしまった。だからもう辞めたい、逃げようって。そんな経験をした僕が一つ伝えたいのは、ちゃんと本心と向き合って進んでほしいということ。自身に嘘をつくと後で苦しくなるから、新しい決断をするときはいつも正直な自分に立ち返り前に進んでください」

前に進む強い心を養う「サボテンのポーズ」

不安で一歩を踏み出せないときは、うつむき姿勢になりやすく浅い呼吸が続きます。体と心は連動するので肩甲骨を寄せて胸を開くと前向きな気持ちになり、胸が開いて自然と呼吸が深まればエネルギーが活性化してアクティブに動けます。

サボテンのポーズ

目的と効果:肩甲骨を寄せて背筋群を刺激しながら胸を開き、呼吸で熱を生みエネルギーをチャージする。 

1.座位または立位で、肩より少し高い位置で肘を90度曲げて手のひらは内側に。肩は下げて力を抜く。

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photo by Kentaro Yoshimoto

2.手の指に力を入れて、手のひらを内回しにして後方に向ける。

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3.両肩を後ろに引いて肩甲骨を寄せ合い、このとき肘の高さは変えず肩は下げる。腰が反らないようにおへそを背骨側に寄せる。

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4.肩が上がらないように意識して両肩を頭の横に戻す。自然呼吸をしながら10回繰り返す。

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〈プロフィール〉

吉本憲太郎さん
ヨガ指導者、「..with THE CLEAR YOGA」主宰。会社員を経て、自分が苦しんだ経験を含めヨガの魅力を伝えるべく、ヨガ指導者の道へ。熊本にオープンした自身のヨガスタジオでは、ビギナークラスからOMYOGA認定校として指導者養成講座(全米ヨガアライアンスRYT200)も開催。月に一度の屋外クラスでは、ドネーションを募り熊本の自然環境保護団体に寄付している。https://with-the-clear-yoga.jp/、Instagram:@kentarouyoshimoto

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取材・文/北林あい

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ヨガジャーナルオンライン編集部

ヨガジャーナルオンライン編集部

ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。



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