『自分をケアするための場所』新しい部活動の形|品川エトワール女子高等学校・ヨガ部の取り組みとは
『私立の高校で、ヨガが部活動として行われている。』そんな話を耳にし、筆者が取材に向かった先は、品川エトワール女子高等学校。近年では、ヨガが学校で行われる機会も増えていますが、部活動として定期的に行われているのは珍しいですよね。そこで、ヨガ部の顧問である目次(めつぎ)祐子先生と、部員の皆さんに、ヨガ部発足のきっかけや、普段の活動についてなど話を伺いました。
『先生、ヨガ教えてよ!』の声がきっかけで
品川エトワール女子高等学校のヨガ部・顧問である目次祐子先生は、インストラクターの資格を持ち、国内外でたくさんの人たちにヨガを伝える経験を重ね、また、指導だけでなく、自らもヨガの実践を日々重ねているとのこと。そんな目次先生に、ヨガ部を立ち上げたきっかけなどを伺いました
―ヨガ部が発足したきっかけを教えてください。
目次祐子先生(以下、目次先生):もともとは、授業の中などで海外経験やヨガの話をすることがあったのですが、それに興味を持ってくれた生徒が複数いて、『先生、ヨガ教えてよ!』という声をもらったことがきっかけでした。私が本校に勤務し始めた最初の年からなので、もう8年くらいになりますね。最初は同好会から始めて、その時は希望者が30人ほど集まりました。こんなにヨガに興味を持つのかと驚きました。その後、正式な部活動となり、今に至ります。
―子どもたちが学校でヨガに触れる機会自体がまだまだ少ない中で、部活動としてヨガを行うというのは、とても珍しいと思います。普段はどんな活動をしているのでしょうか?
目次先生:定期的に集まって、アーサナや呼吸法、ガイドリラクゼーションや瞑想などの練習をするのが主な活動です。60〜90分ほどのクラスをガイドしながら、アーサナや呼吸のアドバイスをします。普段の練習の他にも、本校の軽井沢寮で合宿をしたり、インドから先生をお招きしてヨガの学びを深めるといったことをしています。
―部員の皆さんのヨガに対する反応はいかがですか?
目次先生:肯定的な声が多いです。特に、シャバーサナが好きだという生徒が多く、シャバーサナの時間を求めてやってきている生徒もいるように思います(笑)。学校は授業や行事、試験や進学のための勉強で慌ただしいですし、それに加えて、帰宅後は習い事がある生徒も。生徒たちってとにかく忙しいんですよね。学校から帰る前の少しの時間だけでも誰にも邪魔をされない、自分だけの時間があるということは、大切だと思います。
―シャバーサナは、大人も子供も関係なく、みんな好きなんですね(笑)先生がいない時は、皆さんどのように練習しているのでしょうか?
目次先生:自主練習をしてもらっています。3年生を中心に、ストレッチや基本的なアーサナの練習をしてもらっています。部員同士の関係を深めるきっかけになるだけでなく、教える側に立つことで、相手に理解してもらうためにはどんな声かけがいいのか、どんな方法がいいのかを知るいい機会になっていると思います。
いつもの教室が、ヨガの練習の場に
筆者が品川エトワール女子高等学校のヨガ部にお邪魔したのは、1学期最後の部活動の時間。新年度の始まりから一区切り、やっと夏休みを迎えるタイミングの生徒さんたちは、ほっとした表情と共に、少しお疲れの様子も見られました。普段授業が行われている教室で、ヨガ部の活動は行われます。机を教室の隅に寄せ、ヨガマットが並べられたその空間や、ヨガウエアではなく体操着で行うスタイルは、ヨガスタジオとは違う雰囲気で、なんだかとても新鮮。
練習は、マカラーサナ(うつ伏せのワニのポーズ)から始まりました。呼吸に意識を向け、心身をリラックスした後、目を閉じて座り、静寂を感じるところから始まります。体育のストレッチとの違いを伝えながら、呼吸と体をていねいにつなげていくためのアドバイスをする目次先生。『心地よい呼吸ができるところを探しましょう』『自分の内側が平和な状態であるように』というインストラクションを受け、呼吸がしやすい状態を模索する生徒さんたち。時には難しいポーズにチャレンジする時間もありましたが、それぞれのペースでアーサナと向き合っている姿、他の部員が遅れて教室に入ってきたり、廊下で物音が聞こえても、気を取られることなく集中してアーサナや呼吸法、瞑想に取り組む姿が印象的でした。
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く