『自分をケアするための場所』新しい部活動の形|品川エトワール女子高等学校・ヨガ部の取り組みとは
自分のことを知るっておもしろい
この日は、体験希望の生徒さんが3人。最初は少し緊張した表情を浮かべ、慣れないポーズに戸惑うような姿を見せながらも、練習が終わった後は心なしか緩んでいるような印象を受けました。ヨガの練習が終わった後は、部員と座談会を実施。なぜヨガ部に興味を持ったのか、ヨガを始めたことでの変化などを伺いました。
−なぜヨガ部に入ろうと思ったのですか?
部長・元永さん(以下,元永さん):珍しい部活だなと思ったのと、ヨガって健康にもいいという印象もあったので、入部しました。
吉田さん:私はもともと運動が苦手で。ヨガは運動が苦手な人でも取り組みやすいし、他の運動と違って、マットがあればすぐにできるのも魅力的だなと思います。
―ヨガに対して、今までどんなイメージを持っていましたか?また、続けていて変化したことはありましたか?
元永さん:ヨガは体が柔らかい人しかできない、あるいは意識の高い人がやるものだというイメージがありました。
奥原さん:それ、私も思っていました!それと、ヨガは大人がやるもので、こどもがやるものではないという印象。
稲さん:学校にいると、集団行動で動かないといけないことの方が多いので、自分のペースでやっていいというのが意外でした。でも、マイペースにポーズにチャレンジできるのは楽しいなぁと思います。
元永さん:疲れている時に、ヨガ部で教わった呼吸法をして、体を休めることができるようになり、疲れが取れやすくなりました。また、少しですが心に余裕が出来た気がします。
吉田さん:もともと体が硬かったんですが、続けていくことで柔らかくなったような気がします。また、ヨガをした後って心も体も緊張感がゆるんでいて、なんだか楽になれるんですよね。あと、自分に対する理解が深まったような気もしています。例えば、自分の体質とか、食べ物の爆食いについてとか(笑)
―どんな人にヨガをしてもらいたいと思いますか?
元永さん:筋トレなど激しい運動が苦手な方には、ぜひヨガをおすすめしたいです。自分の出来る範囲、ペースで無理なく始められるからです。ずっと健康的でいたい!という人にもヨガを是非してもらいたいと思います。
石塚さん:私は、ストレス溜まってしまいがちな人ですかね。ストレスが溜まるとイライラしたり、焦ったり、気持ちが落ち込んだりします。でも、そんな時に呼吸をするとそういった感情がスッと静まる感じがあるんです。日々気持ちが揺れる時に、そうやって心を鎮める方法を知れたのは、私にとってとても大きいことだったなぁと思います。
若い時から、ヨガに触れていってほしい
―ヨガといえば、大人がやるもの。日本だとそういったイメージが強いと思いますが、目次先生としては、高校生がヨガを行うことをどんな風に考えていますか?
目次先生:高校生くらいって、ヨガの教えである八支則が理解できて、人生にも生かしていける年齢だと思うんですよね。例えば、友人との関係、家族との関係、進路を含めて自分の生き方についてなど。泊まりがけの合宿では、アーサナなどの実戦だけでなく、ヨガ哲学について、日常に起こるようなことを題材にして、グループで話をするといったこともしています。本を読んで哲学を学ぶのもいいけれど、仲間と話すことで見えてくることもあるかなぁと思って。ちょっと難しいかなとも思うこともありますが、意外とみんな素直に考えてくれるんです。
―部活動としてヨガを行うことについて、どんな風に感じていますか?
目次先生:海外では、授業の一環として取り組んでいるところもありますよね。授業の中に取り入れるのは良いところもあると思うのですが、いろいろな制約ができてしまうという側面もあると思います。その点、部活というのは、ある程度の縛りがある一方、自由な部分も多く、自主性を尊重できることや、ゆるやかな雰囲気で行うことができることが、良い面だと思います。まずはヨガのことを知る入り口としても、良いのではないかと思っています。
―ヨガを通して生徒さんたちにどんなことを感じて欲しいですか?
目次先生:私自身、仕事や人間関係などの日々の生活の中で起きるすべてのことに、ヨガの教えが活かされていると思っています。それは、『自分を知る』ということをヨガの練習を通して行い、その時々で必要なことを選択できるようになったからなのだと思います。また、ヨガの練習をすることは、私にとってセルフケアの時間であり、自分自身を大切にする時間なのです。そういった経験から、生徒たちには1時間でもいいから、自分に還る時間を作っていってほしいと思っています。教員になり、子どもたちと接する時間が増えた中で思うのは、大人に負けないくらい、子どもたちも忙しいということです。その忙しさから、心身のバランスを崩す子どもたちも少なくありません。頑張ることはもちろん尊いことですが、頑張れるのは心身ともに健康であってこそ。そのためには進み続けるのではなく、時には一旦休息をはさむとか、日々自分を労ってケアすることが必要だと思うんです。このヨガ部が、そういった場所になってくれたらうれしいなと思います。
《品川エトワール女子高等学校・ヨガ部の活動の様子はこちら》
AUTHOR
南 舞
公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。
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