不安症状の治療にヨガが有効?米国の医療現場でヨガが受け入れられている理由

 不安症状の治療にヨガが有効?米国の医療現場でヨガが受け入れられている理由
RICK CUMMINGS
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そこには科学がある

これまで何百件という研究によって、心を静める薬剤の効果が検討されてきたが、最も決定的であると思われる論文が2014年、『JAMA Internal Medicine』誌に発表された。ジョンズ・ホプキンス大学の研究者らが、幅広い文献を再検討するなかで、少なくとも4時間の瞑想を実施する瞑想プログラムに関する47件の試験を精査した。「一貫して、気づきの瞑想によって不安症状がある程度軽減することを示す証拠が見つかりました」と、同論文の筆頭著者であり、医学部の助教を務める医師のマダヴ・ゴーヤルは話した。「不安を感じる時には、起きるかもしれないことを心配して心がどこかにさらわれてしまいます。それでさらに気分が悪くなり、不眠のような症状が引き起こされます。瞑想は、そのような傾向に対抗する術を教えてくれます。たとえば、今という瞬間に留まること、不安が生まれてきた時にその気持ちを認めること、その不安が悪化するのを防ぐといった方法です」。
この研究では、気づきの瞑想(今考えていることや感じていること、経験していることへの意識を高めるために長年行われてきた瞑想)を毎日20分から30分程度実践すると、最も良い結果が示された。しかし、自分自身や他者に愛のメッセージを送る慈悲の瞑想や、マントラを繰り返し唱えて何も考えない領域に入っていく超越瞑想など、多くの瞑想が有効であることを示す証拠もある。内科開業医のゴーヤルは現在、自らのチームの検討結果を踏まえて、不安を訴える患者だけでなく、鬱状態の患者や体の痛みを訴える患者(ゴーヤルの研究により瞑想が有効であることがわかった2つの症状)にも瞑想を勧めている。「瞑想は有効であり安全です。これはいい組み合わせです」。
広い意味でのヨガということになると、多くの専門家がアーサナ(ポーズ)とプラーナヤーマ(呼吸法)とマインドフルネス(ある種の瞑想)とを組み合わせるのが、不安を静めるのに最も有効であると意見を一致させている。そして、科学がそれを裏づけている。瞑想的なヨガのプログラムは、鬱状態にある女性、不安と鬱の治療を受けている保険に未加入で低所得の患者、暴力の被害を受けた女性、PTSDに苦しむ兵役経験者、体外受精を待つ女性の不安を和らげることがわかっている。
この結果は、マサチューセッツ州ミルフォードに住むカーリー・ファウス(37歳)にとっては何ら驚くことではなかった。マーケティングの専門家であるカーリーは6年前、不妊治療の真只中にあり、「打ちのめされて自制心を失っていました。不妊治療を進めるほど、ストレスが大きくなっていきました」と明かしている。「不安について不妊治療の担当医に打ち明けると、多くの患者にヨガが有効であることを教えてくれました」。カーリーはホットヨガを週1回習い始め……やみつきになった。「それは、自分の頭から解放されて呼吸だけに集中し、今この瞬間に留まるための時間となりました」。カーリーが妊娠した時も、ヨガが役に立った。「妊娠している間ずっと、常に穏やかで冷静でいるために自宅で呼吸法とポーズを行っていました」。
ノースカロライナ大学チャペルヒル校看護学部の研究者らは2015年4月、不安で苦しんでいる妊娠女性の10%に、ヨガが有効な鎮静剤の働きをすることを確認した。「13件の試験を検討したところ、ヨガの種類に関係なく、妊婦の不安と鬱症状が顕著に軽減したことがわかりました」と論文の筆頭著者、カレン・M・シェフィールドは言う。「1週間に最低1回、7週間ヨガを行った女性には、効果が認められました」。

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Text by GINNY GRAVES
Model by Crystal Hinton
Styling by Emily Choi
Hair&make-up by Danica Jardien
Text by Ginny Graves
Translated by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.45掲載