不安症状の治療にヨガが有効?米国の医療現場でヨガが受け入れられている理由

RICK CUMMINGS

不安症状の治療にヨガが有効?米国の医療現場でヨガが受け入れられている理由

GINNY GRAVES
GINNY GRAVES
2017-11-21

ヨガをしている時の脳の状態

基本的なレベルでは、瞑想を行うと過活動状態の脳を静めることができる。「不安とは本質的に、今後のことを心配するものです。まだ起きていない、まず起こらない悪いことを想像してしまうのです」。ニューヨーク市の米国認知療法研究所で活動する臨床心理学者で、心理学博士号を有するジェニー・タイツはこう語る。「不安とは将来ばかりが気になってしまうものなので、自分を現在に留めてくれるものであれば何でも効果があります」。それこそまさに、ヨガと瞑想がしていることである。戦士のポーズⅡをしている時に体がどう感じるか注意を払ったり、鼻孔を通じて入ったり出たりする呼吸の感覚に心を集中させたりすることによって、自分を現在にしっかり固定することができる。ヒックマンは次のように語っている。「私たちの瞑想クラスの受講者はこう言います。『今では、何か困難なことが起きた時には、自分が最悪の事態を恐れているという事実を認めます。いったんそれを認めたら、そのような恐ろしい考えにとらわれることなく、ただそれを見つめていることができます』。気づきの瞑想は、苦しい気持ちから健康的な距離を置くのに役立つのです」。
自分の姿勢や感情に見られるこのような自覚的変化は、脳内で物理的に起きていることを反映しているものと思われる。ウェイクフォレスト大学医学大学院の研修者らが、高度なMRIの技術を用いて正常レベルの不安のある被験者の脳を覗いたところ、20分間の気づきの瞑想を行っている最中に、前頭前皮質内側部(不安を抑える脳の領域)が活性化することを報告している。被験者の不安が軽減すると(不安のレベルは39%も低下した)、思考と感情を司る前帯状皮質の活性が見られた。言い換えれば、合理的な思考が心配に取って代わったということだ。
「気づきの瞑想をしている間、脳は自分の反応をコントロールする練習をしています。ですから、頻繁に瞑想を行うと日常生活の中で自分の反応をうまくコントロールできるようになります」。この研究論文の筆頭著者で、神経科学分野の研究ディレクターを務める博士号保有者、ファデル・ゼイダンはこう説明した。
このほかの研究からも、ヨガが脳内のガンマアミノ酪酸(GABA)濃度に影響を及ぼす可能性があることが明らかになっている。GABAとは、抗不安薬ベンゾジアゼピンが標的とするニューロン受容体と何らかの関連がある心を穏やかにする脳内伝達物質である。たとえば、ボストン大学医学大学院の研究者らは、ヨガを12週間行うと脳内のGABA濃度が増大し、同じ期間ウォーキングを行った場合よりも気分と不安症状に改善がみられることを明らかにした。また、それ以前に実施されたボストン大学医学大学院と(ハーバード医学大学院の系列の精神科病院である)マクリーン病院による試験により、ヨガを1時間行うとその濃度が著明に増大することがわかっている。

不安と立ち向かう心を養うヨガ

「ヨガや瞑想を1回行っただけでも、その時点の不安を軽くできるが、いつまでも心配したりくよくよする傾向を変えたければ、ヨガや瞑想を習慣にしてみなさい」。こう話すのは、フェニックスにあるヨガ・メッドのオーナー、アンジェラ・フィーである。ヨガ ・メッドとは、不安を訴える人を治療するヨガと瞑想のプログラムである。多くの人が医師の紹介によってここを訪ねてくる。フィーはこう付け加えた。
 「定期的に実践することによって、感情的覚醒の基準値を低下させられるため、何か悪いことが起きた時や心配事がある時に、それに怯えるのではなく、平然として好奇心と忍耐力を持って対処できるようになります」。ヨガと瞑想で不安を軽減することができることがわかっただけで、フリーランスのライター、ジニー・グレイブスは慢性的なイライラが和らいだことに気づいた。

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Model by Crystal Hinton
Styling by Emily Choi
Hair&make-up by Danica Jardien
Text by Ginny Graves
Translated by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.45掲載

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