【ハムストリングスを過度に伸ばすと断裂する?】ハムストリングス断裂を防ぐ正しいストレッチ法
その答えは、人生のほとんどのことと同じように、「ほどほど」が大切。
頭の中の批判的思考や心の傷つき、及び体の痛みからの脱却、ハムストリングス断裂からの回復など、私はヨガマットの上で様々な癒しを見出してきた。私は、ヨガの練習は可能な限り薬として有用だと信じているが、どんな薬でもそうであるように、注意深く行わなければやり過ぎになり、かえってダメージを与えてしまうことがある。
これがハムストリングスのストレッチに関しては特に起こりやすい。多くの人が柔軟性を高めるためにヨガを練習するが、特にこの筋肉群は一般的なヨガのポーズであっても過剰に行いやすい。その結果、筋肉痛になるだけでなく、ハムストリングスの断裂につながることもある。
ハムストリングスの解剖学
ハムストリングスは、大腿二頭筋、半腱様筋、半膜様筋の3つの筋肉からなり、太ももの裏側に位置している。これらの筋肉は、共通の付着部分によって坐骨結節(坐骨)に付着し、膝を左右に交差して下腿に入り込む。
ハムストリングスの収縮及び、ハムストリングスの筋肉を縮めることの主な機能は、ウトゥカターサナ(椅子のポーズ)のように膝を曲げることや、ヴィーラバドラーサナIII(戦士のポーズIII)で脚を後ろにまっすぐ伸ばす時のように、股関節を伸展させることだ。アンジャネーヤーサナ(ローランジ)は、前脚のハムストリングスを縮め、後脚のハムストリングスを伸ばしている。
一方、ハムストリングスを伸ばすには、筋肉を長くする必要がある。これは片脚もしくは両脚をまっすぐ伸ばすポーズで起こり、ヨガのクラスではこれらのポーズが多く含まれる傾向にある。ヴィンヤサヨガのクラスでは、アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)に多くの時間をかける。アシュタンガヨガのメソッドでは、プライマリーシリーズと呼ばれる最初のシリーズにおいて、座位で脚をまっすぐに伸ばすポーズを次々と練習し、その全体がハムストリングスを伸ばすことに捧げられている。
ハムストリングスを過度に伸ばさない方法
座っている時や前屈の際に感じる硬さを、人々は概してハムストリングスのせいにする。しかし、前屈の際の制限には、筋肉や骨の長さ、大殿筋の硬さなど、様々な要因が考えられる。ハムストリングスを伸ばすようなアーサナへのアプローチだけでは、柔軟性が低い体には有害になる可能性がある。ハムストリングスの限界を超えようとすることでオーバーストレッチを引き起こし、最終的にはハムストリングスの断裂につながることさえあり得るのだ。
弛緩していたり、過度な可動性がある靭帯を持つ生徒もハムストリングス断裂の危険性がある。彼らは筋肉の「正常な範囲」を超えて動く傾向があるため、特に筋肉が骨に付着している箇所においてオーバーストレッチや断裂につながることが起こり得る。
「もっと深く」という欲望から、ストレッチと強化のバランスの創造へシフトすることで、ハムストリングス断裂の可能性を最小限に抑えることができる。
ハムストリングス断裂の予防法
ハムストリングスの断裂を防ぐ簡単な方法の1つは、過度に伸ばさないことだ。もう1つの見落としがちな方法は、ハムストリングスの筋肉を強化しつつ、ストレッチとのバランスをとることに重点を置くことだ。ハムストリングスを伸ばす伝統的なポーズにおいて、慣れない方法で筋肉を働かせることで、これを行うことができる。
脚をまっすぐ伸ばすポーズ
動作:膝は軽く曲げたまま、ふくらはぎの筋肉をすねの骨に向かって前方に押し出しながら、太ももの骨をハムストリングスに向かって後方に押すイメージで行う。
以下のポーズの中で練習してみよう:
アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
ウッターナーサナ(立位前屈)
アルダウッターナーサナ(半分の立位前屈)
ウッティタトリコナーサナ(三角のポーズ)*両脚
パールシュヴォッターナーサナ(側面を強く伸ばすポーズ)*両脚
ヴィーラバッドラーサナⅡ(戦士のポーズⅡ)*後ろ脚
ウッティタパールシュヴァコーナーサナ(体の脇を伸ばすポーズ)*後ろ脚
ダンダーサナ(杖のポーズ)
ジャーヌシールシャーサナ(頭を膝につけるポーズ)*伸ばしている脚
前屈のポーズ(上腿、股関節から膝まで)
動作:左右対称の前屈では、坐骨周りの腱を保護する必要がある。お尻を膝のほうに引き寄せるように、坐骨を下に引き寄せる。これを後傾という。
以下のポーズの中で練習してみよう:
アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
ウッターナーサナ(立位前屈)
アルダウッターナーサナ(半分の立位前屈)
プラサリタパードッターナーサナ(立って両脚を伸ばすポーズ)
ダンダーサナ(杖のポーズ)
前屈のポーズ(下腿、膝から足首まで)
動作:膝裏の腱の付着部にもまた、オーバーストレッチの危険性がある。 それらを保護しよう。ふくらはぎの筋肉の上部をすねの骨に向かって押すと同時に、太ももの骨をハムストリングスに向かって押し下げる。こうすることでふくらはぎの筋肉と、ハムストリングスの下部に力を入れる方法を身につける。
以下のポーズの中で練習してみよう:
アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンドッグ)
ウッターナーサナ(立位前屈)
アルダウッターナーサナ(半分の立位前屈)
ダンダーサナ(杖のポーズ)
ジャーヌシールシャーサナ(頭を膝につけるポーズ)*伸ばしている脚
片脚もしくは両脚を体の背面に伸展させているポーズ
動作:太ももの骨をハムストリングスの方に押しながら、ふくらはぎをその反対方向、すねの骨の方向に動かすイメージをする。
以下のポーズの中で練習してみよう:
ヴィーラバドラーサナ III(戦士のポーズIII)*後ろ脚
アンジャネーヤーサナ(三日月のポーズ)
シャラヴァーサナ(バッタのポーズ)
教えてくれたのは・・・サラ・エズリン
作家、ヨガ指導者、インスタグラム・インフルエンサー(@sarahezrinyoga)であり、サンフランシスコ・ベイエリアを拠点とするママ。彼女の執筆、ヨガクラス、ソーシャルメディアには臆することなく正直でオープンであろうとする彼女の意志と、天性の知恵が込められており、多くの人々の癒しと心の平和の源となっている。1人ずつに着実にセルフラブを教えることによって世界を変える彼女は「The Yoga of Parenting」の著者でもある。
ヨガジャーナルアメリカ版 / 「The One Thing You Need to Know to Prevent a Torn Hamstring」
AUTHOR
ヨガジャーナルアメリカ版
全米で発行部数35万部を超える世界No.1のヨガ&ライフスタイル誌。「ヨガの歴史と伝統に敬意を払い、最新の科学的知識に基づいた上質な記事を提供する」という理念のもと、1975年にサンフランシスコで創刊。以来一貫してヨガによる心身の健康と幸せな生き方を提案し続けている。
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