本当にリラックスできるハーブの取り入れ方【ハーブ専門家に聞く!知って特するハーブの話 後編】

 本当にリラックスできるハーブの取り入れ方【ハーブ専門家に聞く!知って特するハーブの話 後編】
Photo by Alice Pasqual on Unsplash

ハーブと聞くとリラックス効果をイメージする方は多いのではないでしょうか?けれど、中には「効き目を感じない」と言う人も珍しくありません。もしかしたら、ハーブを摂り入れる際の心構えや体質に合わないハーブを選んでいる可能性があるかもしれません。【ハーブ専門家に聞く!知って特するハーブの話 後編】では、本当にリラックスできるハーブについてアメリカでハーブ修行を積んだハーバリストの蘭さんにお話していただきました。

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体をリラックスさせたい時 / 心をリラックスさせたい時のリラックスハーブの使い方

——ハーブはリラックスさせる作用があるイメージがとても強いです。どのようなメカニズムでリラックスさせてくれるんですか?

蘭さん: ハーブのリラックス効果は、2種類あります。一つは、鼻から嗅いだハーブの香りが脳に伝わり、脳の指令で自律神経に作用するというもの。もう一つは、口から体の中に入ってハーブの有効成分が体の緊張している箇所に作用するという2つの側面からリラック効果を感じることができます。

——脳をリラックスさせるだけでなく、体のリラックスを同時にしてくれるということですか?

蘭さん: そうですね。体の方は、血液を介してハーブの成分が細胞に運ばれて、こわばっている神経を落ち着かせてくれます。

——リラックス効果を高めるための効果的なハーブのとり方はありますか?

蘭さん: 一番簡単なのはハーブティーとして飲むことですね。特にストレスが身体的な症状として現れるという方には効果的だと思います。例えば、ストレスが肩コリとして症状が出るという方などは、ハーブティーのリラックス成分が血液の流れにのって体のこわばっている箇所に届くので、変な力みや肩の力が抜けやすくなります。

——ストレスがイライラや不安など感情的な症状として現れる方はどうしょうか?

蘭さん: 感情的な症状としてストレスが出やすい人は、香りを利用するのがいいと思います。ハーブティーとして飲むのはもちろんおすすめなんですが、飲む時はいきなり飲むのではなくて、ハーブの蒸気を鼻からゆっくりと吸って香りを楽しんでから飲むという風にすると、イライラや不安といった感情が自然と落ち着いてきます。

——無意識的に飲まないということですね。

蘭さん: ハーブを医療に取り入れているドイツでは、ハーブを飲む時に患者さんが自分でリラックスしようとしないとハーブのリラックス効果が薄れてしまうと言われているんです。

——ハーブティーを飲んでリラックスしたいのであれば「リラックスする」という心構えをもって飲まなければいけないんですね。

蘭さん: はい。走りながらハーブティーを飲んだら絶対に効かないですね(笑)ハーブティーは飲む人の体や心の状態に左右されることがあるので。

ハーブティーはティーバッグ or フレッシュ?

—— ハーブティーはティーバッグのものとフレッシュのものどちらがいいですか?

蘭さん: フレッシュなものがいいです。

——どうしてでしょうか?

蘭さん: ティーバッグは蒸らし時間が大体3分くらいなんですが、普通ハーブってそんなに短い時間で蒸らすことってできないんです。ドライだと10分とか15分くらい必要です。

ティーバッグは短い蒸らし時間でハーブの風味が出るように細かく裁断されているので、ハーブが酸化しやすい状態になってるんです。一般的には、ティーバッグに使われているハーブの品質はリースティー(バラバラのハーブの茶葉)として売られているものよりも品質が低い傾向にあるんですよね。ティーバッグの商品の中には、ハーブの品質の低さを隠すために香料を入れているものも多かったりして。効果を求めるなら、やはり採れたてのフレッシュな状態のハーブがおすすめです。

——フレッシュのハーブティーの淹れ方のポイントはありますか?

蘭さん:ドライハーブであれば、200mlのお湯に対して小さじ1杯のハーブを加えます。10〜15分ほど蒸らして飲む時に取り出すだけでOKです。日本の方は1杯ずつハーブティーを淹れることが多いんですが、アメリカでは麦茶のように一度に大量に作ってピッチャーに入れておく人が多いですね。その方がいつでも手軽に飲むことができるのでおすすめです。 

本当にリラックスできるハーブティーを見つけるには?

—— リラックス目的でハーブティーを飲む時の注意点はありますか?

蘭さん: それぞれのハーブの適量を守るということは大前提ですね。ハーブティーの量で言うと、1日3杯までと言われています。それ以上飲んでしまうと吐き気や自律神経のバランスが乱れてしまうということがあります。

あとは、高血圧のお薬を飲んでいる方はリラックスハーブは不向きかと思います。お薬で血圧を下げているのに、さらにハーブで血圧を下げてしまう可能性があるので。医師の指示に従ってください。 

自分の好きな香りを選ぶようにすることは大切だと思います。いくらリラックスハーブであっても、自分の好きな香りでなければ、逆にストレスになってしまいます。 

——リラックス目的でハーブティーを飲むのに適したタイミングはありますか?

蘭さん: タイミングは、夜寝る前の方がいいですね。お昼間だとハーブによってはボーッとしてしまう方もいます。

——「ハーブによって」とは?

蘭さん: リラックスハーブでも、強いものと弱いものがあるんです。強いものを、お昼間に飲んでしまうと生活に支障が出てしまうものもあるので、基本は夜がベストですね。

—— 夜寝る前にハーブティーを飲むとお手洗いで起きてしまうという方もいると思うんですが... 

蘭さん: 寝る直前まで飲んでいるというよりかは、大体就寝1時間前くらいまでにコップ1杯分のハーブティーを飲み終わると良いかも知れません。もし、体質的にお手洗いが近いという方は、体質にあわせて飲み終わるようにしてください。

——「日中どうしてもイライラしてしまうから気持ちを落ち着けたい」という時に取れるハーブはありますか?

蘭さん: 人にもよりますが、ミント、ローズマリー、カモミール、レモンバーム、レモングラス、リンデンフラワーなどは比較的穏やかな作用なので、そこまでボーッとすることも少なく程よくリラックスできるので良いかもしれません。

—— よく聞くのは「ラベンダーがリラックス効果が高い」ということですが、いかがでしょうか?

蘭さん: ラベンダーは、今挙げたハーブよりも少しリラックス効果が強いです。なので、効きすぎる人が昼間に飲むとボーッとしてしまうということがありますね。 

—— ラベンダーよりもさらに強いリラックスハーブはありますか?

蘭さん: セントジョーンズワート、パッションフラワーやバレリアンというハーブは強いリラックスハーブで不眠で悩んでいる方が選ぶことが多いですね。車の運転前などには飲まないように注意する必要があります。

—— ハーブティーを飲んで効きやすい人もいれば、なかなか効果を感じないという人もいると思いますが、効かない人は弱いリラックスハーブを選んでいるということなんでしょうか?

蘭さん: ハーブは、その人の体質とハーブの性質が合っているかどうか、そして、その人の不調とハーブの効能が合っているかどうかが実は重要なんです。パズルのようにその2つがガチッとはまった時はハーブの効果を受けることができるんですが、それってプロでも見分けるのは難しい領域なので、ズレていることが多いんですよね。

—— 人の体質の違いには分類があるんですか?

蘭さん: 体質は、温度、水分量、神経の状態で分類していきます。水分量とは、その人が乾燥体質かむくみ体質かといったもの。神経の状態とは、神経が緊張しやすく高ぶりやすいかどうかということ。血流が良いか悪いかというのも見ていくと同時に、冷え体質か、熱を持ちやすい体質かなどの温度の傾向もみていきます。 

 

ハーブにも水分量の多いハーブやそうでないハーブ、乾燥させるハーブ、潤いをもたらすハーブ、温めるハーブ、冷やすハーブなど色々あるんですね。リラックス効果のあるハーブにも、それぞれに与える水分量などエネルギーが異なるので、それを知らないでハーブを選んでしまうと効果が感じにくいかもしれません。

—— 一般の人がリラックスハーブを選ぶ時のおすすめを教えて下さい!

蘭さん: 弱いものから飲んでいくのがおすすめです。まずは、カモミールで飲んでみる。もしカモミールを飲んでも効かないという方はラベンダーを少し加えてみて、それでも効果を感じられない場合は、ラベンダーだけで飲んでみる。それでもダメならパッションフラワーを試してみるといったように。この3つのハーブがリラックスハーブでは定番になりますね。

—— ハーブティーの効果を感じるにはどれくらいの期間が必要でしょうか?

蘭さん: 日本で手に入るハーブはアメリカに比べて割と弱いハーブがほとんどなので、2週間から1ヶ月くらいは続ける必要があるかなと思います。即効性はほとんど期待できませんが、ゆっくり変化を楽しめたらいいですよね。

ライター取材後記

人の体質によってハーブティーに合うものと、合わないものがあるのはとても驚きでした。ハーブの世界も、またヨガやアーユルヴェーダと同じく、それぞれに合ったものを選ぶことが大切なんだということを学びました。「リラックス効果」というラベルだけを見てハーブティーを選ぶ方は多いですが、ハーブの特性を調べて最適なハーブを選んでいけたらいいですね。

取材協力: ハーバリスト 平野蘭さん

写真: ハーバリスト 蘭
写真: ハーバリスト 蘭
 

アメリカで5年間ハーブを学びディプロマを取得後、帰国。「ハーブのある暮らし」がなかなか実践できずにいる方へ、明日から試したくなるような楽しいハーブの使いこなしアイディアをご紹介。

instagram: herbs_onme

HP: pinch of HERB

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AUTHOR

桑子麻衣子

桑子麻衣子

1986年横浜生まれの物書き。2013年よりシンガポール在住。日本、シンガポールで教育業界営業職、人材紹介コンサルタント、ヨガインストラクター、アーユルヴェーダアドバイザーをする傍、自主運営でwebマガジンを立ち上げたのち物書きとして独立。趣味は、森林浴。



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