【中医学に学ぶ冬の過ごし方】この時期に気をつけたい「寝汗」と「自律神経」の関係

 【中医学に学ぶ冬の過ごし方】この時期に気をつけたい「寝汗」と「自律神経」の関係
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半田葉子
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2022-01-02
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4.寒い時期に気を付けたいこと

屋内外での衣服の調整や寝具、身体を温める食材など気温の差を配慮をする機会が増えます。寒暖差は自律神経が乱れる原因のひとつです。

寒暖差による自律神経の乱れ(寒暖差アレルギー)

寒暖差によって起きるくしゃみや鼻水、鼻づまりなどの症状を「寒暖差アレルギー」といいます。医学的には「血管運動性鼻炎」と呼ばれ、温度差が刺激となり鼻の粘膜の血管が広がり、粘膜が腫れることで引き起こされる症状と考えられています。
交感神経が優位になると私たちの身体の血管は収縮し血圧を上昇させ、心拍数が増加します。逆に、副交感神経が優位になると血管が拡張し血圧が低下、心拍数は減少します。これらも自律神経によりコントロールされており、寒暖差が激しくなると自律神経が乱れることによりくしゃみや鼻水といった症状としても表れます。

鼻炎
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冬のこの時期の寝室は、布団に入れば温かいからと寝室が冷えすぎてしまっている場合が多くあります。布団に入る前に一瞬身体が冷え、その後布団によって温まるために自律神経が過敏になります。また、冬の洗面所やトイレ、一軒家の廊下など温かい部屋と寒い場所と気温の差が激しい場所を行き来すると自律神経の乱れにも繋がりますので気をつけましょう。
※ただし、頭寒足熱(ずかんそくねつ)という四字熟語があるように、眠る際は頭を冷やし足元を温めることが健康維持や安眠へとつながります。冬の寝室は暑すぎず寒すぎず、20度前後が良いと言われています。

過度な保温と乾燥

この時期ならではの「過度な保温と乾燥」が自律神経の乱れの原因の可能性もあります。
眠る時に、厚手の衣類を着て靴下を履いて寝ている、電気毛布をつけて寝る、保温を謳ったアクリルやポリエステルといった化学繊維が直接肌に触れるパジャマや毛布を使用している場合、保温と保湿のバランスが崩れ、身体を冷やしたり肌の乾燥へとつながる恐れがあります。

厚手の衣類や靴下・電気毛布は、布団に入った時点では適温に感じるかもしれませんが、睡眠時、私たちの身体の体温(深部体温)は普段よりも低くなるため、睡眠中の身体には適温と感じない場合があります。また、アクリルやポリエステルといった化学繊維は保温には優れていても吸湿性が低く、身体からでた水分(汗)がうまく衣類や寝具に吸収されず、肌表面に残って汗が冷え、身体全体を冷やしてしまう可能性があります。これらの素材は睡眠時に限らず、普段着でも起こりうる症状です。肌に直接触れる衣類や寝具はできるだけ天然素材のものを選び、肌も素材も呼吸できる状態を作りましょう。
※吸湿性・速乾性のある天然素材は綿シルクなどがおすすめです。

冬は乾燥しがちですが、乾燥は体感温度を下げます。また、部屋の空気が乾燥している場所というのは、私達の肌も乾燥しがちです。湿度が10%~15%上がると、体感温度が1℃上がるとも言われています。冬の程よい湿度は体感温度を高めてくれますので、湿度は50~60%を目安に加湿器や部屋に濡れたタオルをかけるなど湿度を上手に調整しましょう。

パジャマや布団にも熱調整ができる「空間」を

寒いからと身体にフィットし過ぎた衣類を身に着けたり、必要以上に厚着をすると、身体から発した余分な熱を放出する隙間がなくなるため、身体に熱がこもりがちになります。また、身体を締め付ける衣類は血行不良へも繋がるため、就寝時は締め付けの少ないストレスフリーな下着やパジャマを着用しましょう。
布団にも「空間」がとても大切です。タオルケットや毛布→羽毛布団の順番にかけている寝具を、羽毛布団→タオルケットや毛布にするだけでも、温かさが違ってきます。

シャワーや湯舟の温度を適温にしましょう

熱いお湯は交感神経を優位にさせます。冬は40℃~42℃くらいのシャワー、湯舟に浸かる際は40℃くらいのお湯に15分ほど、しっかり肩まで浸かりましょう。全身を湯船に浸かることで静水圧浮力の作用により、体の隅々にまで血液を送り、全身や腸にかかる程良い圧が全身をリラックスさせてくれます。
また、お風呂から出たら乾燥を防ぐためにボディークリームを塗り、体感温度を高めましょう。

湯船
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5.食べ物との関係性「味覚性発汗」(香辛料・アルコールなど)

「味覚性発汗」とは、香辛料などの辛い物や酸味の強いすっぱいものを食べた際、味覚の刺激によって反射的におこる発汗のことを言います。額や鼻にかく場合が多く、汗腺は「エクリン腺」です。
香辛料の種類にもよりますが、マクロビオティックで香辛料は主に「陰性」といい、身体を冷やす作用があると言われています。東洋医学で生姜や唐辛子のような発汗作用のある食べ物は、「陽性」といい、身体を温める作用があると言われていますが、人の身体は汗を掻くと身体が冷えるようになっています。香辛料の摂り過ぎにより、必要以上に汗をかいた後は身体が冷えてしまい、自律神経の乱れに繋がる恐れもありますので、摂取量には注意しましょう。

また、アルコールなどの水分過剰摂取にも注意が必要です。アルコールは肝臓内で成分分解を繰り返し、最後は水と二酸化炭素になります。分解された水分は汗や尿として体外に排出されますが、就寝時は尿からの排出が止まるため、摂取した分のアルコールは汗(寝汗)として排出される可能性が高くなります。アルコールだけでなく、必要以上に水分摂取をすることは寝汗につながります。ダイエット目的などで身体が欲していないにも関わらず水分摂取をするような人、ついつい飲み過ぎてしまう人は寝る前の水分コントロールを気をつけましょう。

食べる量にも注意が必要です。満腹は交感神経を優位にさせます。お腹がいっぱいになって眠くなるのは、食事によって急上昇した血糖値が乱高下する人特有の症状ですが、それと同時にお腹がいっぱいの場合は交感神経が優位になり、夜は特に自律神経を乱します。夜遅くに食べる場合は、消化の悪いものは避けましょう。
※消化の良い食べ物については、||もうすぐ寝る時間なのに「何か食べたい…」そんな時に【罪悪感なく小腹を満たすヒント】||でも解説しています。

6.まとめ

このように寝汗からわかる体調不良はさまざまです。寝汗は「夜」かくものなので、まずは夜に副交感神経を優位にさせることを意識してみましょう。交感神経が刺激されるような映画や、気分を害するニュース、仕事帰りのジムでの激しい運動、夜遅くまでのパソコン作業や布団に入ってからのスマホなどはできるだけ避け、アロマや心地良い音楽を流す、照明を落とす、気持ちが落ち着くハーブティーなどのドリンクを飲む、軽いストレッチで身体をほぐすなど、副交感神経が優位になるようなことを心掛けてみましょう。

症状がひどい場合は、信頼できるお店で漢方を処方してもらうのもいいでしょう。寝汗をかく人もそうでない人も、自分の身体や私生活を見直し、身体が心地良いと思える生活をこれを機に今一度見直してみてはいかがでしょうか。

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半田葉子

半田葉子

バウエル腸セラピスト/vegan菓子 [ 素果子|sugashi ] 店主 幼い頃から環境問題に興味を持つ。20代に心身のバランスを崩したことをきっかけに「からだに入れる選択」「免疫力」「心と身体のバランス」「出す力」の大切さに気づき、自然生活に活かせる食や腸を学びはじめる。会社員、自身のカフェでの菜食調理、地方veganカフェの立ち上げやメニュー提供、海外のオーガニック事情調査、腸講師などを経て、「からだ想いのお菓子を」とオンラインストア [ 素果子|sugashi ] を始動。お菓子作りを続ける傍ら、 長年のマクロビオティック生活と自身の経験や知識を活かし、個人の体質改善カウンセリング・腸マッサージの施術を行っている。InstagramID:kurashinotane_



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