胃を休めたいときは膝を曲げ、股関節を伸ばす!胃の不調を緩和する東洋医学の知恵

 胃を休めたいときは膝を曲げ、股関節を伸ばす!胃の不調を緩和する東洋医学の知恵
Adobe Stock
元田裕子
元田裕子
2021-12-13

年末年始、ついつい食べ過ぎてしまいますよね。自然のバランスをくずしているときには東洋医学の観点からもアプローチしてみると良いかもしれません。消化力を助けてくれる「経絡」から見ていきましょう。

広告

経絡とは?

古代中国より数千年の歴史をもつ東洋医学の考えでは、身体の活力として働く「気」と身体の活動を支える「血(けつ)」の通り道として「経絡(けいらく)」があると考えられています。また、人体には約365個のツボ、すなわち、経穴(けいけつ)があると考えられており、経絡とはその経穴同士を結んだ線だとも考えられています。経穴が駅舎だとしたら経絡は駅舎を結んだ線路と考えるとイメージしやすいかもしれません。経絡は、身体の内外に拡がる道路、連絡網のような働きとなります。

私たちの身体には任脈(にんみゃく)と督脈(とくみゃく)と12本の十二経絡の合計14本があります。これらの各経絡がうまくスムーズに流れていると調子良く感じられますが、日々の生活で不調が起き始めると経絡にも影響が出始めます。指で各経絡の皮膚をつまむと皮膚が突っ張った感じや硬さがでてきたり、凹んだままになってしまったりと何かしらの不調を知らせてくれます。不調を改善するには、その経絡を伸ばし刺激をし、気の流れを良くすることが大切になります。

胃経、脾(ひ)経に着目

日々の生活の中で胃を休めたいなと思ったときには、経絡の中でも消化力を助けてくれる胃経と脾経を意識してみましょう!身体に取り入れたものを消化し、体内に効率的に取り入れるための熟成をさせる働きをもち、消化器官との繋がりが大きい経絡です。

経絡図
全身経絡図(簡易版)イラストACより

胃経(目の下から始まり、鼻・口の横を下り、胸、下肢の外側前面を通り、足の第2指外側で終わる)

脾経(足の母子内側から始まり、下肢の内側を上り、腹部を通り、胸部で終わる)

胃経、脾経の経絡を効果的に伸ばすには、膝を曲げ(膝関節屈曲)、股関節を伸ばす(股関節伸展)ということがポイントとなってきます。今回は2つポーズをご紹介します。是非、無理なくリラックスしながら行ってみてください。

ウシュトラーサナ(ラクダのポーズ)簡易版

①膝立ちになり、足の甲でも床を押す。(膝が痛い場合は折りたたんだタオルなどを膝の下に敷く。不安定であればつま先は立てていてもOK)(足が開きやすいので内ももの間に丸めたタオルを挟んで行うとさらに良い。)

②おへそを背中に沈め、骨盤を安定させる。

③両手を骨盤の左右の上端に当て、骨盤を徐々に下へ押し下げる(骨盤を後ろに軽く傾け、股関節を伸ばす)。

④さらに、ひじを中心に寄せ、肩甲骨を寄せ、胸を開く。あごを軽くひき、引き上がった胸を鼻先で見るような意識を持つ。

⑤お腹は薄くしたまま静かに膝立ちへもどってくる。

ラクダのポーズ
ウシュトラーサナ(ラクダのポーズ)簡易版 

スプタヴィラーサナ(仰向けの英雄のポーズ)簡易版

<腰に痛みがあったり、前ももがかたい、膝が弱い方は肘をついたスプタヴィラーサナをおすすめします>

①両足を伸ばして座り、片足の膝を曲げ引き寄せる。引き寄せた足のふくらはぎのお肉を外側へ流し、お尻の外側に足の甲を根付かせる。伸ばした足のかかとは前へ押し出す。

②両手を後ろにつき、ゆっくり仰向けへ。ゆっくり肘を床につけて身体を支えながら深呼吸。

③股関節が伸び、太もも前面が伸びている感覚があればOK。

④お腹に軽く力を入れて両手を歩かせてゆっくり起き上がってくる。

肘をついたスプタヴィラーサナ
肘をついたスプタヴィラーサナ

<腰の反りが強く、腰に負担がかかりそうな場合は腰・背中の下にクッションやブランケットを敷くことをおすすめします。クッションの高さは、腰が心地良いカーブで維持できるよう調節してください。>

クッションを腰の下に敷いたスプタヴィラーサナ
クッションを腰の下に敷いたスプタヴィラーサナ

<腰の痛みを軽減するためにもまずは片足ずつ行ってみましょう。>

①、②までは同じ流れで徐々に仰向けへ。そして、背面側の違和感がなければ両手を頭の上へ万歳。左右のひじをつかみ、ひじを少し上に押し出すようにすると更に股関節、太もも前側、胸が伸びる感覚を味わえます。お腹を薄くしてゆったり深呼吸を繰り返す。お腹に力を入れ起き上がり、反対足も同じように繰り返す。

スプタヴィラーサナ片足
スプタヴィラーサナ片足ずつ

 

いかがでしたでしょうか?胃のあたりがすっきりする感覚はありますか?少し食べ過ぎたなと思ったとき、また胃を休めたいなと思ったときなど日々の生活のなかで、これらの体勢をとりながらご自身の消化力を高めていきましょう。そして、美味しいものを美味しくいただき、しっかりと消化できる身体へと整えていきましょう。

広告

AUTHOR

元田裕子

元田裕子

ヨガインストラクター。図書館司書として働いていた頃にヨガと出会う。心身がすっきり解放される感覚に魅了され、指導者資格を取得。現在は、オンラインレッスンのほか、横浜市内のヨガスタジオ、カルチャーセンター、子育て支援施設、神社などでクラスを担当。子どもから大人まで幅広い世代へセルフケアの大切さを伝えている。全米ヨガアライアンス500時間修了/龍村ヨガ指導者養成講座修了/経絡YOGA認定講師。インドのアーユルヴェーダDr.よりアーユルヴェーダ・マルマセラピーを学んでおり、アーユルヴェーダアドバイザー、マルマセラピストとしても活動の幅を広げている。



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

経絡図
ラクダのポーズ
肘をついたスプタヴィラーサナ
クッションを腰の下に敷いたスプタヴィラーサナ
スプタヴィラーサナ片足