性的虐待に終止符を!経験者が語るヨガ界の#Timesup
被害にあった人、触発された人、何かに役立ちたい人へのアドバイス
間違っていると感じることを直感的に判断して、声を上げよう。
できれば、スタジオや組織の運営者と警察にすぐに報告しよう。気まずくて報告できない人や、自分に起きたことについて確信が持てない人には、強姦、虐待、近親相関の被害者のための全国ネットワーク(RAINN)のように、匿名で無料で利用できる組織もある。アメリカでは、「RAINNのホットライン(800-656-HOPE)とオンラインチャットサービス(rainn.org)は、まさに被害にあったかどうか確信が持てない人のためのサービスです」と、RAINNの相談サービスを担当する副代表のケイティ・レイクは話している。「またこのサービスは、望まない性的接触を経験したのかどうか確信できない人や、性的被害にあった人の友人や家族のためのものでもあります」さらに、RAINNは州ごとに異なる性的虐待に関する法律の理解を助ける活動もしている。「私たちの組織には、法律に関する総合的なデータベース、apps.rainn.org/policyがあります。安全が確保されていると感じたら、何か事が起きた瞬間に声を上げてください。怖いかもしれませんが、加害者の手を止めるのには声を上げるのが効果的です」デイヴィッド・リプシウスは次のように言っている。「レッスン中に誰かが立ち上がって『許可も求めもせずに触らないで!』とはっきり言ったら、状況は変わっていくでしょう」
触発されることをよしとしよう
自分と似た経験をした人の話を聞くと、かつて受けた虐待のトラウマに引き戻されてしまい、そこから解放されたいと思うことがあるとエリザベス・ジェグリックは言う。「被害にあった多くの人が、そのような状況で無力感を覚えたと思います。また、これまで何もしなかったことに罪の意識を感じて恥じている人もたくさんいます。あるいは、自分に起きたことの詳細をまだきちんと伝えていないと感じている人もいます。どんな風に感じているとしても、自分自身を思いやることが重要です」また、アニー・カーペンターによれば、最近の動きによって心身の健康が脅かされるほど動揺しているとしたら、セラピストに話を聞いてもらうなど、専門家の助けを必要としているのだそうだ。アニーはこう話している。「自分のなかに閉じた部分や不安定な部分があると感じたら、感情を押さえ込んでいるのかもしれません。あなたがそのことを誰かに話さなければ、相手はさらに害を加えてくる可能性があります」
被害を公表したいと思っている人を支えよう
ペッグ・シッパート(MA, LPC)は、話を聞くことは単純な行為だが、話をよく聞くとなるときわめて難易度が高くなる、おそらく想像以上に難しいことだと話している。「多くの人が今起きている現象について言いたいことを山ほど抱えています。でも、被害を受けた人がほかの人の意見を聞かされる必要はありません。被害を受けた人が必要としているのは、自分の声を聞いてもらい認めてもらうことです」とシッパードは語っている。被害者を質問攻めにしないよう心がけて、ただ話を聞き、その話を信じていることを伝えよう。シッパートはさらにこう続けている。「セクハラや性的暴行の被害にあった人はほぼ全員、自分の身に起きたことを話した時に、話の内容を疑われています。それはとてもつらいことですし、被害にあった人をさらに傷つける可能性があります」
自分のためにできることをしてみよう。そしてヨガを利用しよう
さあ次は、何でもいいのでリラックスするために普段から行っていることをしよう。シッパードは次のように話している。「これまで自分を支えてくれた信用できる人たちとつながることでもいいのです。もし抵抗感がなければ、そのような人に今辛い時を過ごしていることを伝えましょう」ヨガによって古傷が開いてしまうのならば、それにも耳を傾けよう。「ひょっとするとお気に入りのレッスンに通わずに、別の先生を見つけたり、個人レッスンを受けたりした方がいいのかもしれません。また、友だちにお願いして一緒にレッスンに行ってもらうのも手です。一緒にいて安心できる人と行くといいですよ」カーペンターによれば、この段階ではパワーが湧いてくるようなプラクティスが必要になる。それがアーサナでないとしたら、ドゥルガー(ヒンドゥー今日の女神、シヴァの配偶者)のような女神から力をもらって、自らの回復力を活かそう。カーペンターはこうも話している。「チャンティング(詠唱)で声を出すことによって力が湧いてくるならば、ヨガを行って力強さを感じ、雑念を追い払いましょう。この問題に対処できるようになる出発点は、まさにここなのです」
ヨガティーチャーとヨガの組織へのアドバイス
集団や個人にはたらく力関係を理解しよう
たとえ悪意が存在しなくても、クラスの健全な人間関係が、バランスを欠いて不健全な状態に簡単に変わってしまうことがある。ヨガを教えるのであれば、教える側と学ぶ側の間の関係ならではの性質に責任に負わなければならない。あなたは生徒から、少なくとも自分よりも上級のヨガ実践者であり経験豊かな先達であると見られている。場合によっては、ヨガの大家、グル、悟りを開いた人と崇められることもある。いずれにしてもこの関係によって生まれる力関係や権力を乱用してはならない。ヨガを教えるに当たっては、生徒ひとりひとりとクラス全体に対する大きな責任を免れることができない。しかるべき節度を守って、ヨガを実践することこそがあらゆる生徒を導く導師となるように指導しよう。
手を触れて調整する前には必ず許可を求めよう
生徒に調整を加えるたびに、了承カード(またはyes/noを示せるディスクや石など)を使って、口頭で確認しよう。どの生徒もヨガの練習を通じて力を得る権利がある。わかりやすい意思疎通をはかって、アシストや調整を力を得るための共同作業にしよう。それを受けるか断るかを生徒に決めるように促して、生徒がその都度選択できるようにしよう。手を触れて調整を行う時には、やさしく体を押す時でも、形を整えるために助ける時でも、プレスポイントを補佐する時でも、必ず了承を得る必要がある。生徒全員を安全にサポートするために、体に触れないで補佐する技術を高めよう。口頭で的確な合図を出したり、わかりやすく鏡に写したように動いたりしてみよう。
あなたの方針と手順をわかりやすいように見直して公表しよう
ヨガ共同体のリーダーは、ヨガを行っている最中に脅迫、性的暴行、望まない接触の被害報告があったらどうするか明らかにしておく必要がある。その対応方針を明確にすることは、全員の安全を確保する明確な基盤を構築するために不可欠だ。態度を明らかにして、すべての手順を公表して誰でも見られるようにしておこう。また、スタッフにも毎回その方針と手順を厳守させるよう研修を実施しよう。安全という文化を作り上げて維持していくには、絶えず実行し続けることが不可欠だ。
わかりやすい報告のしくみを作る
ヨガの組織に、警察や司法機関のような働きを求めるのは現実的ではない。犯罪行為の報告を受けたら必ず、直ちに警察に通報しなければならない。警察と被害者支援団体の電話番号をよく見える場所に貼っておこう。犯罪ではないものの問題のある行為については、わかりやすい報告のしくみを作ったうえで、違反行為があった場合は、人事担当者やオンブズマン、警備員、または組織の代表など、しかるべき人に報告することを職員、業務委託しているスタッフ、受講生に指導して、そのために日頃から訓練しておこう。スタッフに報告のしかたを訓練させておくと、あらゆるレベルのスタッフが権限を与えられていると感じて、暴行に対して声を上げることができるようになる。
違法な性的行為の問題について認識し、リーダーとして行動しよう
ヨガの歴史を通して、ヨガの流派やしきたり、またはヨガ道場やヨガ関連の組織のなかでは、往々にして違法な性的行為の問題が正しく認識されず、対策も講じられてこなかった。もっとよい未来を切り開くために、ヨガに関するあらゆる組織は、自分たちの過去について率直に話し合い、暴行を引き起こすもとになった力や通報者の口を封じさせてしまった力関係を変えるために、積極的に対策を講じていこう。(内部ではなく)外部の専門家を使って、この問題に取り組んでいるネットワークを支援しよう。そのような人たちと力を合わせれば、この問題が「身内」で伏せられることはなくなるだろう。現在隆盛を誇っている多くのヨガの伝統は、苦しい経験から教訓を得ることによって、いっそう強力なものになってきた。透明性、誠実さ、そして真実をよりどころにすれば、これからのヨギ世代を教育し、元気づけ、奮い立たせていくことができるはずだ。
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