性的虐待に終止符を!経験者が語るヨガ界の#Timesup

 性的虐待に終止符を!経験者が語るヨガ界の#Timesup
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次は何が起きるのか

専門家のアドバイス:荒れ狂った海をどうやって航海したらいいか

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YJ US

ヨガ界での犯罪行為も含め、違法な性的行為のニュースがひっきりなしに伝えられており、ヨギたちはたとえ驚かないとしてもひどく落胆している。ヨガの世界も不愉快な権力の乱用を逃れることはできないということがわかってきたのだ。アシュタンガヨガ創始者のシュリK.パタビジョイスによる不適切なアシストから、ビクラム・チョードリーに対する性的暴行の告訴まで枚挙にいとまがない。「ネットでちょっと検索してみるだけで、現代のヨガの主な流派はほぼすべて、違法な性的行為による告発を少なくとも数件経験していることがわかります」とYoga Allianceの社長兼CEOに最近任命されたデイヴィッド・リプシウスは語っている。

ヨガ界のセクハラの被害体験談と告発の件数は、昨年後半に爆発的に増加した。ヨガインストラクターであり起業家でもあるレイチェル・ブラゼン(別名@yoga girl)が、ヨガとは無関係な状況で経験した性的被害を公表した。レイチェルはその後、ヨガスタジオやヨガフェスティバルなどのイベントでレッスン中に受けた性的虐待、セクハラ、性的暴行について、世界中のヨギから生の声を集め始めた。レイチェルが声を上げてから1週間で、300人以上のヨギから被害体験談が集まった。被害者の多くが、自分の身に起きたことに憤慨し、混乱していた。レイチェルによれば、「シャヴァーサナ(亡骸のポーズ)で横たわっている時に胸をアジャストされなければならないのでしょうか」というような声が寄せられたという。

  レイチェルは報告されてくる被害体験談に圧倒されて、この問題について何かしようと決意し、(本人の了承を得たうえで)被害者と加害者の実名は伏せて31件の体験談を自らのブログに公表することにした。一線を越えたアジャストや性行為に誘われた話から、強引かつ暴力的に襲われた話まで、被害の内容は実にさまざまだった。しかし、ほぼすべての話に共通点があった。被害者たちは守られた神聖な場所であると信じていたヨガ共同体のメンバーから暴行を受けたことにショックを受けていたということだ。「安全であるべき場所で、冒涜的かつ危険な方法で扱われたのですから、裏切りの程度はよけいに高くなります」こう話すのは、資格を有するカウンセラーで、コロラド州ボールダーで性的暴力被害を専門に活動しているペグ・シッパートだ。

1971年からヨガを指導し続けているジュディス・ハンソン・ラサター博士も同じ意見だ。「ヨガのレッスンという状況で「性的違法行為」が起きていると知って、口がきけないほどショックを受けました。まったく動けなくなりました。 ヨガのレッスンというのはほとんど教会に行くことと同義だと思っていましたし、そんなことが起きるなんて思いもよりませんでした…」

カリフォルニア大学バークレー校の心理学の教授で、『The Power Paradox: How We Gain and Lose Influence』の著者でもあるヨギのダッチャー・ケルトナー博士は、不幸なことにスピリチュアルな世界では、はるか昔から権力の乱用が起きていると語っている。「(カルト指導者の)チャールズ・マンソンによる連続女性殺人やカトリック教会の聖職者による虐待、厳格な宗教集団内の一夫多妻制を思い浮かべてください。スピリチュアルな環境が人を悪い方向へ誘い入れる構造を生み出すのです」

ヨガも例外ではない。ヨガを教えることのパラドックスは、結局は人間関係がすべてだということだ。ラサターは次のように語っている。「教えを受け入れるために、学ぶ側は指導者に屈して動く必要があります。とはいえ、学ぶ側はどんな状況でも自分にまだ力があるのだということをしっかり自覚していなければなりません」裏を返せば、生徒が発しているメッセージを教える側が認識する必要があるということだ。「何かがきっかけで不適切な行為をしてしまうことは誰にでもあります」長年ヨガを指導しており、結婚と家族に関するカウンセリングの修士号を取得しているアニー・カーペンターはこう話している。「そこを出発点にクレーシャ(煩悩)に関する取り組みを始めて、自分のエゴが何を求めているのか、自問する必要があります。ヨガを指導している人であれば、生徒たちが自分に、癒し役を投影しているのか、セクシーなヨガティーチャーを投影しているのか、考えなければいけません。そのような投影は避けられないものです。それにどう応えればいいのか心得ている必要があります」

「要するに、このような問題から目をそらさず、取り上げにくい話題であっても話し合う必要があるということです」こう話すのは、性的暴力の予防について研究しているニューヨーク市立大学ジョン・ジョイ法科大学の教授、エリザベス・ジェグリック博士だ。「このような問題に対して、私たちはまだ最善の対応方法を模索しているところです。互いにこの問題を話し合い、関係当局と意見を交わす努力を重ねていけばいくほど、前進していくことができます」

ブラゼンは#metooの被害体験談をブログに掲載した時、次のように書いている。「この問題に光を当てることが、何らかの変化を生むのに [役立つ] ことを願っています」実際、すでにそうなっている。多くの女性がひとりのインストラクターについて声を上げた場合、ブラゼンは(本人たちの了承を得たうえで)その女性たちをメディアにつなぎ、互いに引き合わせて、そのインストラクターの名前を公表し、個人または集団で法的措置を取れるかどうか検討している。

ブラゼンが声を上げる前にも、ヨガアライアンス(ヨガインストラクターとヨガスクールの登録を行う非営利組織)が標準検討プロジェクトの一環として倫理行動委員会を発足させていた。この委員会も、違法な性的行為に関する新しい方針の作成を目指し、強姦、虐待、近親相関の被害者のための全国ネットワーク(RAINN)を立ち上げて協議を開始したところだった。Kripalu Center for Yoga & Healthの元CEOであるリプシウスも、ヨガアライアンスの新たな運営陣はヨガ界のセクハラと性的虐待の問題に取り組むことを固く決意していると話している。「個人的にもヨガ界での性的虐待による壊滅的な影響を目撃してきましたし、加害者が追放されたのちも後遺症が数十年間も続くことを知っています。犯罪を犯した者は責任を問われるべきです。ヨガスタジオ、アシュラム、フェスティバルなどヨガに関する場所で見られる違法な性的行為や権力の乱用に弁解の余地はありません」とプリシウスは語った。

次に、ヨガを教える人、学ぶ人そしてヨガの組織にアドバイスをしたいと思う。ここを出発点と考えて、今起きている違法行為に対処し、二度とこういうことが起きないように予防策を取っていこう。

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Text by YJ EDITOR
Translated by Setsuko Mori



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