【理学療法士監修】股関節の外旋が苦手な人は「大腿骨の前捻角」が原因?負担を軽減する練習法
ヨガに役立つ解剖学の知識を中村先生が伝授する連載。テーマは「関節」。動きの支点となる関節の構造と使い方をマスターして、体の伸び、ポーズの安定性を実感しましょう。
股関節の外旋が苦手な人は内股ポジションにアレンジしよう
左右開脚やパドマーサナなど、ヨガでは股関節を大きく外旋させるポーズがたびたび出てきます。ですが、こうしたポーズを注意深く行わなければならない人がいます。股関節を構成している大腿骨の「前捻角」が強い人です。
前捻角とは、大腿骨の頸部が前に傾いている角度のこと。内股ぎみの人は前捻角が強い傾向にあり、反対の動きである股関節外旋の可動域が制限されます。つまり、左右開脚が開きにくいのです。
「前捻角は骨格特性です。前捻角が強い人は、開く角度や基本のアライメントに固執せず、楽なポジションでポーズに取り組んで」と中村先生。
具体的には、つま先を内側に向けることを心掛けます。こうすることで膝や股関節への負担がなくなり、ポーズも安定します。さっそく、前捻角チェックから始めましょう。
鼠蹊部の関節【股関節】
脚の付け根(手で指しているところ)の奥にある。大腿骨の外側の出っ張り(大転子)よりもだいぶ内側。
股関節は球関節で、丸い大腿骨頭が寛骨のくぼみ(臼蓋)におさまっている。大腿骨頭がやや前に傾くようについていて、これを「前捻角」という。
「前捻角」チェック法
太腿を床と平行に上げ、膝から下を内と外に開く。左右均等に45度ずつ開けばOK。外旋が45度以下で、内旋が45度以上なら前捻角が強い。両脚行う。
【外旋】前捻角が強いとやりにくい
【内旋】前捻角が強いとやりやすい
前捻角が強い人は、これが正解
【立ち方】
ターダーサナはつま先を正面に向けて立つのが基本。前捻角が強い人は、つま先を内側に向けると安定する。
・基本
・前捻角が強い場合は…つま先を内側に向けると安定する。
【開脚前屈】
ウパヴィシュタコーナーサナはつま先を上に向けるのが基本。前捻角が強い人は、つま先を上に向けると前屈しにくいので、つま先を前に倒して行おう。
・基本
・前捻角が強い場合は…つま先を前に倒して行おう。
ヴィーラバッドラーサナⅢが深まる!
前捻角が強い人は、両足のつま先を内側に入れて行ってみよう。つま先を真っすぐにしたときより床を強く押せるようになり、上げている脚も安定する。
【軸足】
つま先を内側に入れることで、しっかり床を押せるようになる。
【上げている足】
つま先を内側に入れることで、骨盤が安定し、ぐらつかなくなる。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。
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