理学療法士監修!開脚ができないのは「仙腸関節の左右差」が原因?【骨盤にやさしい前後開脚やり方】
ヨガに役立つ解剖学の知識を中村先生が伝授する連載。テーマは「関節」。動きの支点となる関節の構造と使い方をマスターして、体の伸び、ポーズの安定性を実感しましょう。
仙腸関節の左右差をチェックして骨盤にやさしい前後開脚をしよう
仙腸関節は股関節の動きに関わる関節です。たとえば、歩く動作では股関節が前後に動くと同時に骨盤(腸骨)も前後に回旋します。この腸骨の回旋が行われるのが仙腸関節。そのため、成長期の骨盤の偏った使い方や出産などで仙腸関節がずれてしまうと、脚の動きにも影響が出ます。
前後に脚を開くポーズを行ったとき、左右で行いやすさの違いを感じたことはないでしょうか。股関節の柔軟性の問題と思いがちですが、仙腸関節が関係している可能性も。それを確認するには、右下の写真のように股関節を深く屈曲・伸展してみてください。行いにくい側は、仙骨に対して腸骨が前にずれているか、後ろにずれています。
仙腸関節のずれは、骨格的なものなので、ポーズは自分の関節に合った形を習得していきましょう。
骨盤の関節【仙腸関節】
骨盤の真後ろに手のひらをあてる。手の位置がちょうど仙骨で、仙腸関節はこの両側。親指と小指のあたり。
仙骨と腸骨の間の関節。1~3㎜程度のあそびによって腸骨が前後に回旋する。生活習慣の影響で左右の関節にずれが生じることがある。
左右差チェック1
片脚ずつ上げて股関節の屈曲のしやすさをチェック。あきらかに上げにくいほうは仙腸関節がずれている。写真のように右の腸骨が前にずれている場合、深く屈曲できず、脚を上げようとすると、後ろに倒れてしまう。
ずれがないほうだと
右側がずれていると
同じくらい屈曲しようとすると
左右差チェック2
ハヌマナーサナを行ったとき、左の腸骨が後ろにずれていると、後ろの脚が伸ばしにくい。無理に行うと痛めてしまう要因に。
ずれがないほうだと
ずれがあるほうだと
戦士のポーズⅠが深まる!
同じ足幅だと
仙腸関節にずれがある場合、左右同じ足幅で行おうとすると、ずれている側が前脚のときは、かかとが浮く、膝が曲がるなど、ポーズが深められない。
ずれのないほう
ずれがあるほう
・膝が伸びない
・かかとが浮く
足幅を調整
行いにくいほうは、後ろ足を前に移動して歩幅を狭くする。かかとが床につき、膝が伸ばせる位置に調整できたらOK。
教えてくれたのは…中村尚人先生
理学療法士、ヨガインストラクター。UTLにて長年ヨガの解剖学の講師を担当。医療とボディワークの融合、予防医学の確立を目指し活動中。「TAKT EIGHT」主宰。
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