手首を痛めずにヨガをする方法って?|ヨガ解剖学
驚くべきことだが、手首を守るためのカギは、強いコアの筋肉だ。具体的な根拠に基づいた医療では、強いコアの筋力によって、回旋筋腱板がより効率よく働くことが実証されている。回旋筋腱板の筋肉が肩を安定させることで、手首への負荷が軽減されるのだ。逆に言えば、コアの筋力が弱かったり、チャトランガダンダーサナのようなポーズでコアを働かせることができなかったりすると、胴体や肩が不安定になることにつながる。コアの筋力が弱いと、特にポーズからポーズへと移行するときに、強いせん断力が手首にかかる。ダウンドッグ~チャトランガ~アップドッグ~ダウンドッグというシークエンスで、いたるところで手首に負荷がかかっている様子をイメージしてほしい。シークエンスを繰り返すたびに、その間中ずっと手首は体重を支えているのだ。適切なサポートなしにこれを長期間続けると、先に触れたようなケガへとつながってしまう。だが、ヴィンヤサをベースにしたプラクティスで、コアの筋肉と肩全体に負荷がうまく分散され続ければ、手首にかかる力も最小限にとどまる。
下に、コア、回旋筋腱板、手首の筋肉を強化するシンプルな4段階のプログラムを記した。ステップ4では、ステップ1から3までを統合し、ダウンドッグに取り入れて行う。スムーズに、徐々に筋肉を働かせ、どのポーズにも楽に入っていけるようにしよう。体を順々に準備し、コアの筋肉、回旋筋腱板、手首のつながりへの意識を保ちながら、それぞれのヴィンヤサに体の動きを取り入れ、健康で痛みのない手首を保つようにしよう。
ステップ1:コアの筋肉を強化しよう
前腕を使ったプランク
これは、大臀筋と共同して腹部のコアを強化するエクササイズだ。まず、顔を下にして腹這いになり、肘を体の横に置き、前腕を床につけよう。体全体を引き上げ、頭からかかとまで一直線にする。大臀筋を少し収縮して尾骨をかかとの方へ動かしながら、前腕をその場から動かさずに足の方へ引きずるようにしてみよう。落ち着いたペースで呼吸を続け、10秒間保つ。息を吐いて体を下ろす。2、3回繰り返そう。
手首に痛みがある場合には医療専門家に相談し、痛みがおさまるまでは、手首に体重をかけないようにしよう。
ステップ2:回旋筋腱板を活性化させよう
ガルーダーサナ・アームス(ワシのポーズの腕)
これは、筋肉を伸ばしているときに徐々に緊張させていく遠心性収縮を行い、回旋筋腱板の筋力と柔軟性を高めるストレッチだ。座るか、立った姿勢になる。右腕を左腕の下でクロスし、前腕同士をからめる。少しずつ肘を肩の高さまで上げ、左腕を右側へと引き、ストレッチを強める。左肘を右肘に軽く押し付ける。自分の20%以下の力で行い、8〜10秒保つ。その後、腕を中央へ戻す。20秒保ったあとに反対側を始める。3ラウンド繰り返す。
※回旋筋腱板とは肩甲骨周りの筋肉、肩甲下筋、棘上筋、棘下筋、小円筋の腱のこと。
これらは、肩を安定させるための重要な働きを担っている。
肩のケガや慢性的な症状がある場合は、ガルーダーサナを行う前に医師の助言を求めるようにしよう。
ステップ3:手首を安定させよう
バーラーサナ(子供のポーズ)
このポーズで回旋筋腱板と手首につながりをもたらすと、手首そのものが強化される。膝を腰幅に開くか、膝を合わせた子供のポーズに入る。坐骨をかかとの上に置き、手のひらを下にして、腕を前の床の上に伸ばす。肩を後ろに回転して肩甲骨を背中の下の方へと下ろし、回旋筋腱板を働かせる。手首はまっすぐに保ち、小指側に曲がってしまわないようにする。指の付け根のふくらんだところで軽く床を押す。すると、手首が少し引き上がるのに注目しよう。この動きによって、橈骨と尺骨が手根骨と一直線になる。息を吐きながら引き上げた手首を維持し、息を吐いてリラックスする。指先を少しだけ下に押し、親指でマットを軽くつかむようにして小指側に移動する動きを加え、手首の安定を高めてもいい。この姿勢を5秒保つ。息を吸って体を起こして座り、右手のひらを上に向けて手首を伸展してストレッチし、反対側の手を使ってゆっくりと指を手首の方へ押す。30秒保ち、左手首も30秒ストレッチする。
ステップ4:ステップ1〜3を合わせてダウンドッグに取り入れよう
アドームカシュヴァーナーサナ(ダウンワードフェイシングドッグポーズ)
子供のポーズから指の付け根のふくらんだところでマットを押して手首を安定させ、少し引き上げる。肩を後ろへ回転し、肩甲骨を背中の下の方へ下ろす。息を吸い、骨盤を引き上げる。息を吐いてかかとを床へ沈ませ、お腹を背骨の方へ引き寄せることで、腹筋に力が入るのを感じる。大腿四頭筋を収縮して膝を伸ばす。最後に足の甲をすねの方へ引き上げるようにして体をかかとの方に引き、コアの筋肉をさらに安定させる。
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