ヨガ前に行うと背骨のしなやかさが変わる!理学療法士が指南【背骨を6方向に動かすウォームアップ】
身体の大黒柱のような「背骨」は、健康に欠かせない部位。具体的に、どのような働きを持つか知っていますか? 理学療法士でヨガインストラクターの堀川ゆきさんに、背骨の構造や働き、ヨガ前に行いたい背骨のウォームアップ方法をご紹介いただきます。
背骨って?
背骨は身体運動の中心となり、身体を支えつつ神経を保護し、全身のあらゆる部位と連結する、身体の大黒柱のような部位です。背骨の健康状態が全身に波及するとも考えられています。
さて、その背骨はいくつの骨からできていて、どのような役割があるのか、そしてどのような動きが可能なのか、また背骨の動く方向は一体いくつあるのか、答えられますか?
これに答えられないヨガインストラクターは「失格!」と言いたいところですが、一度ここでキチンと整理してみましょう。
背骨の構造
背骨は専門用語で「脊柱」(せきちゅう)または「脊椎」(せきつい)といいます。脊柱や脊椎は、椎骨(ついこつ)とよばれる骨が一つ一つ縦に連結したものです。 上から順に、
頚椎(けいつい)7個
胸椎(きょうつい)12個
腰椎(ようつい)5個
仙骨(せんこつ)と尾骨(びこつ)
があります。全部で24個の椎骨と、仙骨と尾骨とで背骨は成り立っています。
身体の側面から見ると、頚椎、胸椎、腰椎、仙骨と尾骨はそれぞれ前後にS字状に弯曲(わんきょく)しています。 これを「生理的弯曲」といい、
頚椎・・・前弯(ぜんわん)
胸椎・・・後弯(こうわん)
腰椎・・・前弯
仙骨と尾骨・・・後弯
となっています。
この生理的弯曲は、脊椎にかかる負担を和らげるクッションの役目をしており、重い頭部を支えると同時に地面からの衝撃を緩衝するために存在しています。
背骨の働き
背骨の働きは主に3つあります。
1、支持(身体を支える)
2、運動(身体を動かす)
3、保護(神経を守る)
まず身体を支えることです。背骨がなければ私達は立つことも座ることもできず、頭をその位置に保つこともできません。
2つ目に身体を動かすことです。背骨は一本の棒ではなく、24個の椎骨と仙骨と尾骨から成り立っています。それぞれに関節があり、身体を曲げたり伸ばしたりと背骨を一つ一つ分節的に動かすことが可能です。
3つ目は神経を守ることです。脊椎の中には脊髄神経という非常に大切な神経が通っています。その神経を硬い骨で覆って守っているのが背骨です。
背骨の運動方向
背骨は全部で6方向に動かすことが可能です。
屈曲/伸展
右側屈/左側屈
右回旋/左回旋
運動面や運動軸で考えると3つになりますが、ここでは先述したこの6方向で整理していきます。
この6方向の参考可動域もそれぞれ決まっています。
屈曲・・・胸部35°+腰部50°で合計85°の胸腰部屈曲
伸展・・・胸部20~25°+腰部15°で合計35~40°の胸腰部伸展
側屈・・・胸部25°+腰部20°で合計45°の胸腰部側屈
回旋・・・胸部35°+腰部5°で合計40°の胸腰部回旋
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
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