ピラティスの基本「軸の伸長」を体得しよう!理学療法士によるボールで「軸の伸長」エクササイズ
本来の正確な身体の使い方を習得する「ピラティス」の基本は、重力に対して身体を上に引き上げる感覚を覚えること。理学療法士でヨガインストラクターの堀川ゆきさんに、その感覚が掴みやすくなるエクササイズをご紹介いただきます。
ピラティスの特長とは?
ピラティスとは、ジョセフ・ピラティス氏によって考案されたエクササイズです。1926年にジョセフがニューヨークにスタジオを開設したのち、ピラティスは爆発的人気となりました。
ピラティスは誕生してからまだ100年弱程です。一方でインダス文明が栄えた4000年前から存在していたとされるヨガと比べると、歴史や誕生の背景は全く違います。ピラティスでは背骨や骨盤に焦点をあてて、インナーマッスルをコントロールし、本来の正確な身体の使い方を習得していきます。
また、ポーズを静止するヨガに対して、ピラティスのエクササイズは静止せず反復して動き続けるのが特長です。
・ヨガには「静」の要素
・ピラティスには「動」の要素
があるのです。
さて、このピラティスには、いくつかの基本原則があります。その中でも今回は、ピラティスの基本原則の一つである「軸の伸長」をエクササイズで体感してみましょう。
「軸の伸長」って何のこと?
「軸の伸長」とは、重力に対して身体を上に引き上げる感覚のことです。
「軸の伸長」によって、重力に押し潰される力に抵抗する、垂直方向の抗重力活動が起こります。こうすることで身体の左右のバランスがとれて身体が中心に整い、身体のアライメントが整います。「抗重力筋」については「代謝アップ&良い姿勢に!理学療法士が解説「抗重力筋」を鍛える方法」を参照してくださいね。
さらに「軸の伸長」によって、身体のコアにも必要な力が自動的に入ります。
ピラティスの基本原則の中でも、私はこの「軸の伸長」を特に重要視しています。この基本原則はヨガにもリハビリにも通用するものがあると考えているからです。
ターダーサナで「軸の伸長」
まず、ターダーサナ(山のポーズ)で体感してみましょう。ターダーサナはすべてのヨガのアーサナの原点だと以前お話しました。そのターダーサナ、ただ何気なく立っているだけになってはいないですか?「軸の伸長」を意識して立ってみましょう。いろんな例え方ができますが、天井から頭頂部を糸で引っ張られているような、または背骨をいつもより10センチくらい長く上に引き上げるような感覚です。
この写真のように壁を使って立った場合、仙骨の辺り・肩甲骨の間・後頭部の3点だけが壁にくっつきます。この3点全てが壁に触れている状態が理想的な姿勢です。
オーバーボール
今回はこちらのオーバーボールを使います。
このようなボールは、ジムボール、エクササイズボール、ピラティスボールとも呼ばれています。100円均一にも良く似たボールが売っていますが、空気を入れる量を自分で調節できるボールが理想です。写真のように空気はパンパンになるまでは入れないからです。
ボールがない場合は、小さくて軽めの枕やクッション、ぬいぐるみのようなものでも今回は代用できます。
※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く