理学療法士が解説「第二の心臓」簡単ヨガトレ!「ふくらはぎは第二の心臓」の意味と鍛えるメリットは?
ふくらはぎは「第二の心臓」と言いますが、それはなぜか知っていますか? 理学療法士でヨガインストラクターの堀川ゆきさんに、ふくらはぎの働きや鍛える方法をご紹介いただきます。
「第二の心臓」の意味
「ふくらはぎは第二の心臓」という言葉を聞いたことがありますか?血液を全身に循環させるためのポンプが心臓だということは、きっと誰もが知っているでしょう。この心臓のはたらきを「心ポンプ作用」といいます。
そして、心臓だけでなく実は「筋肉」も血液を循環させるポンプのはたらきを担っているのです。筋肉を収縮させると、筋肉の間を流れる静脈が流れ出して、心臓まで血液を流し戻してくれます。これを静脈還流といいますが、この筋肉によるポンプのはたらきを「筋ポンプ作用」といいます。
このように血液を循環させるためには、
・心ポンプ作用(心臓による静脈還流)
・筋ポンプ作用(筋肉による静脈還流)
の2つがあります。心臓がメインポンプとすれば、筋肉はサブポンプですが、このサブポンプが実はとても重要です。
通常、心臓から動脈を通ってつま先まで送られた血液は、静脈を通って心臓に戻ります。つま先やふくらはぎは心臓から最も遠いうえに、さらに足元から上半身へと重力に逆う方向に血液を流して、心臓まで送り返さなければなりません。心ポンプ作用だけで血液を心臓まで戻す力には限界があり、心臓にもかなりの負担となります。
そこで、ふくらはぎの筋肉が収縮と弛緩を繰り返すことによって静脈をポンプし、静脈の血液が心臓に戻るのをサポートする筋肉のはたらきが重要となるのです。
つまり「第二の心臓」とは、心臓がポンプすることによって起こる血液の流れを、ふくらはぎの筋肉が収縮することで、心臓のポンプ作用を補っていることを意味しています。
第二の心臓を活性させるメリット
「第二の心臓」といわれるふくらはぎ。そのふくらはぎの筋肉を収縮させる、つまりふくらはぎの筋トレを行うことにより、心臓への負担を軽減しつつ、さらに最適な血液の循環を保つことができます。その結果、むくみの解消にもなります。むくみのケアについては「脚がむくむのはなぜ?脚むくみの原因と解消方法」でお話しています。
心臓への負担を軽減することは、現在心臓に疾患のある人はもちろん、生活習慣が乱れている人、現時点で特に心臓に問題のない人にとっても、心臓を長持ちさせるために大切なことです。運動することは心疾患のリスクを減らすというエビデンス(科学的根拠)もあります。
下の図は、本人の体力の6割程度の強さの運動を週に2~3回、
・行った群(運動療法群)
・行わなかった群(非運動療法群)
の2群に分けて、「心事故(心臓に関するトラブル、心臓死、心筋梗塞など)」の割合を比較したものです。運動療法群の方が心事故の割合は有意に少ない結果となりました。
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