デヴィッド・リンチ「3億人のアメリカ人のために瞑想を無料にしたい」

 デヴィッド・リンチ「3億人のアメリカ人のために瞑想を無料にしたい」
転載元:the David Lynch Foundation

12月3日、「メディテイト・アメリカ(Meditate America)」の初となるキャンペーンが、スターたちが一堂に会する無料バーチャル慈善コンサートと募金活動からスタートを切りました。

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新型コロナウイルスによるパンデミックが激化するにつれてアメリカ国内で集団的ストレスとトラウマが高まったことが「メディテイト・アメリカ」を発足するきっかけになりました。「メディテイト・アメリカ」は、“意識に基づく教育と世界平和のためのデヴィッド・リンチ財団”によって発足された新たなキャンペーン活動であり、リスクを抱えた人々に無料で瞑想を提供します。きっかけを尋ねられたデヴィット・リンチは「今日のアメリカを見てください」とはっきりと答えています。

転載元:the David Lynch Foundation
転載元:the David Lynch Foundation

「メディテイト・アメリカ」は12月3日、YouTubeでストリーミング配信による無料バーチャル慈善コンサートを実施し、エルヴィス・コステロ、アンジェリーク・キジョー、ケシャ、スティング、ブルックリン・ユース・コーラス、その他多数のアーティストによる事前録音されたパフォーマンス、メディアパーソナリティとのトークライブ、「瞑想と母性」をテーマとしたヒュー・ジャックマンとケイティ・ペリーのインタビューなども行われました。募金イベントは、アメリカ国内に暮らす誰もが必要な時に無料で瞑想を行えるように、人々の認識を高め、イニシアチブのサポートをすることが目的です。

このキャンペーンは、ストレスやトラウマ経験を抱えるリスクのあるグループに超越瞑想(TM)技術を提供することを目的としたデヴィッド・リンチ財団の継続的な取り組みの一環として行われます。デヴィッド・リンチ財団は、著名な映画監督で熱心な瞑想者のディット・リンチが自身の名を冠して2005年に設立した財団であり、35か国の十分なサービスが行き届いていない学校に通う100万人の学生、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を抱える数千人の退役軍人たちとその家族、また家庭内暴力を受けた生存者たちに無料の瞑想を提供しています。この新たなイニシアチブは、新型コロナウィルスの最前線で働くヘルスケアワーカーとエッセンシャルワーカーのパンデミックの影響によるストレスとトラウマにフォーカスし、また、病院の資金が不足し、患者の増加によって再びひっ迫したことで十分なサービスを受けることができないコミュニティで生活する家族たちにも焦点を当てています。「メディテイト・アメリカ」はパンデミックの間、うつ病や自殺の危険にさらされている退役軍人にサービスを提供し続けます。

アメリカのメンタルヘルスの状態

新型コロナウィルスがアメリカ人のメンタルヘルスに与えている影響を詳述した最新のCDCレポートによると、成人の少なくとも40%が薬物乱用とメンタルヘルスの問題に苦しんでおり、31%が不安やうつ病を経験し、11%近くが自殺を考えています。一部の専門家は、長期的な心理的影響の可能性についてすでに警告しています。

アメリカ国内の人口のほぼ半数にサービスを提供しようと試みる「メディテイト・アメリカ」の目標は高尚に聞こえるかもしれませんが、デヴィッド・リンチ財団CEOのボブ・ロス氏はキャンペーンが成功することは間違いないと述べています。バーチャル慈善コンサートは無料ですが、ロス氏はこの活動を支援する寄付がすでに集まっていると言います。「私たちはただ国に対して、共に考え、祝うのに素晴らしいテーマを投げかけたいと思ったのです。瞑想は、わが国で現在巻き起こっている恐れと不安とは全く正反対のものです」とロス氏は電話で述べました。

ロス氏によれば、制作費は寄付者からの募金によって支えられ、財団が主催するその他のキャンペーンは多くの場合、常にセレブリティたちの参加が増えているTM(超越瞑想)コミュニティの寛大なるサポートによってまかなわれていると言います。「これらは全て草の根的な活動によるものです」と同氏は述べています。例えば、スターバックス財団は最近、デヴィット・リンチ財団の「Heal the Healers Now(癒しを与えてくれる人々を今こそ癒そう)」キャンペーンの一環として、資金不足の病院に勤務する医療従事者に無料のTMを提供するため、25万ドル(約2,583万円)の助成金をデヴィット・リンチ財団に提供したと説明しています。医師の燃え尽き症候群の増加率に対応して「Heal the Healers Now」キャンペーンはこの4月に立ち上げられました。

MIRRORPIX / ALAMY STOCK PHOTO
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TM(超越瞑想)を無料にする理由とは?

TM(超越瞑想)は、1950年代半ばにマハリシ・マヘーシュ・ヨーギーによって開発され、ビートルズが採用したことで有名になった瞑想法(商標登録済み)です。エビデンスに基づく実践方法は、1日2回、20分間、座って静かにマントラを暗唱します。TMの人気の理由は、ADHDの人を含むほとんどの大人と子供にとって、シンプルで試しやすいという点にあるかもしれません。「TMは体に深い休息とリラクゼーションの状態をもたらし、体の中の配置が変化するような感覚が起こります」とロス氏は述べています。

TMの平均的な開始費用は500ドル〜1,000ドル(約51,000円〜103,000円)の範囲であるため、デヴィッド・リンチ財団は引き続き無料で提供することに取り組んでいます。

「メディテイト・アメリカ」は、TMの有効性を確認する科学研究への資金集めも行なっています。これまでTMに関する研究は小さな規模で行われてきました。もし資金集めに成功すれば、「メディテイド・アメリカ」は、トラウマの治癒、高血圧と心臓病と脳卒中のリスク軽減、不安とうつ病の軽減に対するTMの利点を科学的に証明する大規模研究と臨床試験を実施する予定です。

大規模な第III相臨床試験を完了すれば、TMは公的また民間保険会社がカバーする医学的介入となる可能性があります。デヴィッド・リンチ財団によると、こうなれば、保険に加入している3億人ものアメリカ人全てにとってTMのテクニックが無料になります。「国全体がリスクにさらされ、トラウマを抱えています」とロス氏は言います。TMコミュニティで尊敬されるリーダーであり、テクニックを48年指導した経験を持つロス氏は、世界は刻々と変化しており、TMのような代替治療法が保険でカバーされる日までそう長くはかからないだろうと述べています。もちろん、これは第III相試験の結果次第で約3年は要するだろうと言います。過去には、医学的介入は薬理学と外科手術のものと考えられてきましたが、今日、鍼治療、ヨガ、瞑想などの補完的で統合的な治療法は、医学的介入のように既に広く受け入れられているとロス氏は述べています。

「誰もが服用できて、不安の蓄積を減らしたり、中和したりできる薬やピルは存在しません。 これからどんな世界が訪れようとも、それに立ち向かえるように、私たちは十分なエビデンスに基づいたツールを国民に提供すべきだと考えています」とロス氏は述べています。

興味がある方は、meditateamerica.orgで寄付方法をチェックしてみてください。

教えてくれたのは…アンドレア・ライスさん
アンドレア・ライスさんはフリーランスのジャーナリストでヨガジャーナルにもライターとして寄稿している。彼女の執筆記事はこれまで、ニューヨークタイムズ、Verywell、The Wanderlust Journal、mindbodygreen、SONIMA、NY Yoga+Lifeやその他の出版物にも掲載されてきた。また、彼女は2010年からヨガを指導し、彼女の初の著書「The Yoga Almanac(New Harbinger刊、2020年)」では、季節に応じたヨガプラクティスを紹介している。ノースカロライナ州ローリーに暮らし、ヨガ、瞑想、クリエイティブライティングのクラスやワークショップを提供している。Twitter Instagramで彼女と繋がろう。

ヨガジャーナルアメリカ版/「David Lynch Wants to Make Meditation Free for 300 Million Americans

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By ANDREA RICE
Translated byHanae Yamaguchi



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