落ち込みや不安につながりやすい「考え方の癖」とは
私たちは常日頃さまざまなことを考えています。そんな考えの中でも、よく浮かぶ考え、ついつい考えてしまうものがあると思います。そんな、「考え方の癖」の中には、落ち込みや不安などネガティブな気分につながりやすいものがあります。今回は、落ち込みや不安につながりやすいと言われている「考え方の癖」について紹介していきます。自分は、どのような「考え方の癖」があるか気づき、考えの幅を広げることで、辛い気持ちとお別れをしていきましょう。
考え方の癖とは?
考えの中でも、私たちがついつい考えてしまう癖やパターンのことです。何かについてあれこれ考えるよりも、その場その場でパッと浮かぶ考えのことです。ほぼ無意識的に考えてしまう分、自分の持っている癖が出やすく、その考え自体に振り回されて、落ち込んでしまったり、不安になったり、ネガティブな気分につながることが多いです。
それでは、どのような考えの癖があるのか紹介していきます。
白黒思考
完璧主義の方に多い「考え方の癖」です。ものごとを白か黒か(0か100か)でしか考えられず、グレーな状態にしておくことが出来ません。曖昧な状態が許せず、極端に判断してしまったり、少しでもグレーな部分があると認められなかったりします。
例えば、「コロナ対策をするなら完璧にやらないと意味がない」と考え、うっかり手を洗わずにご飯を食べてしまったら「もう手遅れだ」と落ち込みや不安を感じてしまいます。
マイナスフィルター
マイナスフィルターは、マイナスの色メガネをかけて世の中を眺めてしまうものです。人生には良いこともあれば、悪いこともあります。しかし、マイナスフィルターでは、世の中の悪い面にしか目が行かず、良い面に気づくことが出来ません。良い面を意識することが出来ないため、「自分の人生は、嫌なことばかり。良い思い出なんて何一つない」と考えてしまいます。例えば、友人が自分に対して素っ気ない態度を取ったこと、傷つくような態度を取ったことばかりに注意が向き、友人が親切にしてくれた、思いやってくれたことに気づきません。頭の中はネガティブなことでいっぱいになってしまい、落ち込みやすく、対人関係に不安を感じやすくなります。
結論への飛躍
根拠もないのに、ネガティブな未来になると結論付けてしまうことです。
私たちは未来のこと、他人の心を100%予想することは出来ません。しかし、結論への飛躍では、未来のことを予想したり、他人の心を深読みしたり、決めつけてしまいます。
例えば、まだ結果も出ていないのに、「試験に落ちてしまった」「面接はうまく行かなかった。このまま仕事が見つからない」と結論付けてしまいます。また、他人のある発言やふるまいを元に、「〇〇さんに嫌われた」「〇〇さんに仕事ができないと思われている」など、人がどう思っているかを決めつけてしまいます。それが本当のことか真実を確かめないため、落ち込みや不安な気持ちが続きやすくなります。
感情的決め付け
客観的な事実ではなく、感情を根拠にものごとを決め付けることです。
例えば、強い不安を感じた時に、「こんなに不安だから、明日の試験はうまくいかないだろう」と決めつけてしまったり、強い怒りを感じたときに、「こんなに腹が立つのは、あの人の性格が悪いからだ」と考えてしまいます。感情を根拠に考えてしまうので、時には事実と異なり、ただの思い込みに過ぎず、ただただ振り回されてしまいます。
すべき思考
「〇〇すべき」という、自分なりのルールや社会的な規範を強く持つことです。「炭水化物の摂取は1日1回にすべき」「友人には親切にすべき」「電車ではリュックは前に背負うべき」など、それぞれの人が大切にし、行動の基準になっているような考えがあります。このような「すべき思考」はおかしなことでも悪いことでもありません。しかし、「すべき思考」が強過ぎると、柔軟性がなくなり融通が効かないことや、ルールからは外れると怒りや落ち込みにつながることがあります。
自己関連付け
自分とは関係ないことを、自分に原因や責任があると関連付けて考えてしまうことです。例えば、「雨が降っているのは自分が雨女だからだ」「上司が不機嫌なのは、自分の仕事が遅いからに違いない」などと考えてしまいます。自分に原因や責任がないことでも、自責や落ち込みにつながり、自分で自分を苦しめてしまいます。
何か思い当たる「考え方の癖」はありましたか?
「考え方の癖」は、もちろん今回紹介したものだけではありません。人それぞれ「考え方の癖」があります。そして、ストレス状況ほど、「考え方の癖」が出やすくなります。自分の癖に気づくことで、考えに振り回されず、距離を取ることができます。辛い気持ちになった時は、「考え方の癖」が影響していないか、意識してみましょう。
ライター/石上友梨
臨床心理士/公認心理師 大学・大学院と心理学を学び、警視庁に入庁。職員のメンタルヘルス管理や、心理カウンセリング、スポーツ選手へのメンタルトレーニングなどを経験。ヨガや瞑想を本場で学ぶためインド・ネパールへ。全米ヨガアライアンス200取得。現在は認知行動療法をベースとした心理カウンセリング、セミナー講師、ライター、ヨガインストラクターなど、活動の幅を広げている。また、発達障害を支援する活動にも力を入れている。https://cbt-yoga.com
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