妊娠前~閉経後…ライフステージごとに変わるホルモンバランスとヨガの役割
閉経後:新たな出発
体内で何が起きているのか
閉経期が終わると、エストロゲンにもオキシトシン(愛情ホルモン)にも減少がみられる。エストロゲンの減少は、骨がもろくなり関節が硬くなることを意味している。この時期の良い点は、感情面に大きな混乱をもたらしたホルモンの変動が終わっていることだ。「ほとんどの女性が、1カ月ごとの変動から解放されて元気になり、生きることに新たな意欲を感じます」とブリゼンディーンは語る。多くの女性にとってそのような時は、厳しい出世の競争と手がかかった子育ての時代が終わり、自分自身を大切にする時間が増えたときに訪れる。
練習を変えていこう
体重の負荷がかかるポーズを行うと、骨の強度が保たれ、関節の機能を改善することができる。また、常にポーズの練習を行うことによって、可動域と柔軟性を保つことができる。しかし、体は変化していくため、ポーズを修正して、これまで以上にプロップを使っていく必要がある。この時期には多くの女性が自然に、瞑想や呼吸法をはじめとする静かな練習を好んで行うようになる。「私たちはあまりに長期間、あまりにも多くの人に人生を捧げてきたからこそ、この時期は自宅に戻ったような気がするのです。年齢を重ねる過程は、必ずしも衰えを意味するものではありません。ヨガがいつもそう教えてくれます」とノースラップは話している。
実際の体験談
多くのヨギーニは60代になっても、運動選手のような力強い練習を続けることができる。デ・ロス・サントスがこのページのポーズを行ったのは55歳の時で、毎週少なくとも12のレッスンで教えていた。また、(立った姿勢から後屈に入っていく)バックドロップのような上級ポーズにも取り組んでいた。デ・ロス・サントスは20代の時にしていたポーズを今でもすることができるが、重要なのはそのようなことではないことをよく理解している。デ・ロス・サントスは「これまでの経験から、どんな年齢でもどんな体型をしていても、精神状態も体も心も変えられると確信しています」とも話している。デ・ロス・サントスは今、ストレスを感じたときにはパスチモッターナーサナ(座位の前屈)のような心を静めるポーズを積極的に行っている。練習ができないときでも、意識を研ぎ澄まして感じ取ることを通じて、ヨガに励んでいる。「無上の喜びと幸せを毎日感じていると心から言えます」
ヴルクシャーサナ(木のポーズ)
効果:年齢を重ねながら、骨の強度を保ち自信を高めることに役立つ。
やり方
ターダーサナ(山のポーズ)で立つ。体重を右足に移して、左膝を曲げ、左足のかかとを右太腿の内側に当てる。左足のつま先を床に向けて、かかとを太腿に強く押し当てる。両手を胸の前で合わせる。両足のかかとをしっかり踏んで、両足の土踏まずから体を引き上げる。目線を下げて、骨盤の中心が右足の上にくるようにする。1分間このままでいる。ポーズを出るには、左足を床に下ろして山のポーズに戻る。反対側も同様に行う。
スプタバッダコナーサナのバリエーション(横たわった合せきのポーズ)
効果:関節の柔軟性を保ち、全身の緊張を解く。
やり方
ボルスターの前方1/3のところに座って、2/3が背後に出るようにする。上体を後ろに傾けていく。肩はボルスターから外れて、腰とその上の部分がボルスターで支えられるようにする。両足のかかとを合わせる。肘を両側に開いてそっと床に下ろす。この角度がきつい場合は、ブランケット1~2枚で肩を支える。10~20回呼吸する間このままでいる。ポーズから出るには、膝をゆっくり合わせて横向きになる。
セツバンダサルヴァーンガーサナ(ブロックを2つ利用して壁に向かって行う橋のポーズ)
効果:この時期によく起きる腰痛を予防する。
やり方
ブロックを立てて、ひとつを壁の前に、もうひとつを体の近くに置く。壁に足を向けて仰向けになる。膝を曲げて、腕を体側に伸ばし、手のひらを上に向ける。肩を頭から遠ざけるように後ろに回して、胸部を開く。腰と胸部を引き上げて、両手で背面を支える。頭と肩は床の上に平らに保ち、脊柱をできるだけ高く引き上げて、ブロックをお尻の肉の下に入れる。ここで、片方ずつ膝を伸ばして、かかとを壁際のブロックにのせる。腕をブロックの先に伸ばす。呼吸を続ける。1分間このままでいる。ポーズを出るには、膝を曲げて、足をブロックから下ろす。仙骨の下のブロックを取り除き、ゆっくりと仰向けに戻る。膝を抱えて胸に寄せる。
教えてくれたのは…ノラ・アイザックス
『ヨガジャーナル』誌の元編集者で、『Women in Overdrive: Find Balance and Overcome Burnout at Any Age』の著者。
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