妊娠前~閉経後…ライフステージごとに変わるホルモンバランスとヨガの役割

 妊娠前~閉経後…ライフステージごとに変わるホルモンバランスとヨガの役割
David Martinez
広告

閉経周辺期:ジェットコースターに乗ったような日々

体内で何が起きているのか

ブリゼンディーンによれば、閉経期とは厳密には24時間しか続かず、最終月経の12カ月後の1日を指すのだそうだ。しかし、この重要な1日に至る移行期間は、10年間続くことがあり、通常42歳から52歳くらいの間に相当する。この間に、正常に月経がある状態から月経がまったくない状態に移る。移行期には、エストロゲン、プロゲステロン、テストステロンの周期が不規則になり、不眠、ほてり、疲労感、月経前症候群、抑うつ感、神経過敏、不安、性欲減退が引き起こされることがある。「月経周期に慣れていた女性の体に、突然、ホルモンの劇的な変化が起きます」とブリゼンディーンは話している。

練習を変えていこう

研究によって、意識的な呼吸がこの時期の諸症状への素晴らしい対処法になることが示されている。North American Menopause Society(北米閉経学会)の専門誌『Menopause (閉経)』によれば、5秒間息を吸って5秒間息を吐く呼吸を1日2回行うと、ほてりが44%軽減することが明らかになったという。また、この時期は体と感情の状態に細心の注意を払うほか、ヨガによってそこにどのような影響があるのか観察すべき時期でもある。逆転のポーズはストレスと不眠を緩和し、ねじりのポーズは疲労と抑うつ感を和らげ、前屈のポーズは神経過敏と不安を軽減する。多くの女性が、精力的でペースが速かった練習から、長時間保持するポーズを行う練習に変化していくのを経験している。

実際の体験談

「閉経周辺期に入ると、体と感情が激変します」先述の医師でヨガ指導者であり、このページのモデルでもあるサラ・ゴットフィールドはそう語る。ゴットフィールド自身の閉経周辺期は、第2子出産後(38歳)に始まった。「今は気分にむらがあります。また、アシュタンガヨガを行うと寝汗がひどくなるので、アナ・フォレストが始めたフォレストヨガのようなヨガを練習するようにしています」。ゴットフィールドが重きを置くものが変わったのだ。ゴットフィールドは今、アームバランスと逆転のポーズを楽しんでいる。「私はホルモンと感情の状態を見て練習内容を決めています。20代全般と30代のほとんどの期間は、柔軟性も高くて課題に集中的に取り組んでいました。今は命を存続させることと、家族に怒りをぶつけないように気持ちを制御することに焦点を絞っています。前屈と逆転のポーズをして激しい怒りを防ぎ、後屈のポーズと呼吸法をして抑うつ感を抑えています」

サーランバサルヴァーンガーサナ(支えのある肩立ちのポーズ)

効果:ストレス、軽い抑うつ感、更年期症候群を緩和する。

やり方
少なくとも2枚のブランケットを長方形にたたんで重ねる。その上に粘着性のあるマットをのせて、滑らないようにする。両脚を伸ばしてブランケットの上に横たわる。肩はブランケットの上にのせ、頭は床に下ろす。手のひらを下に向けて、両腕を体側に伸ばす。息を吐きながら、膝を胸部に引き寄せて2~3回深い呼吸をする。ここで、両手で床を押して、指先を上に向けて手を腰に当てながら、腰を床から引き上げる。手で腰を支えながら、ゆっくり胴体を引き上げて床に垂直に立てる。両肘を引き寄せて、腰に当てている手を床のほうに歩かせる。息を吸いながら、曲げている膝を天井に向けて伸ばし、太腿と胴体を一直線にする。足の指の付け根も引き上げて、喉と目線を和らげ、肩甲骨を仙骨のほうに動かす。上腕の裏側と肩の最上部で積極的に床を押して、脊柱を床から離すように引き上げることに集中する。目線をそっと胸部に向ける。1分間このままでいる。ポーズから出るには、膝を胸のほうに曲げて、ゆっくりと体を丸めながら仰向けになる。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

パリヴルッタジャーヌシールシャーサナ(ねじった頭を膝につけるポーズ)

効果:ホルモンが劇的に変化するときに、感情を静めるのを助ける。

やり方
脚を前に伸ばしてダンダーサナ(杖のポーズ)で座る。左膝を曲げて、足裏を右太腿に寄せる。右腕を右脚の上から足先の内側に向かって伸ばしながら、胴体を左側にねじっていく。左腕を頭上から右足先まで伸ばして側屈に入る。下の腕の肘を床のほうへ、上の腕の上腕二頭筋を耳の横へ動かす。息を吐きながら、胴体をそっと天井のほうにねじり、頭を腕の間に入れる。息を吐きながら、胴体をもう少し天井のほうにねじる。30秒程度このままでいる。ポーズを出るには、手を解放してダンダーサナに戻る。反対側も同様に行う。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

マリーチャーサナ(賢者マリーチのポーズ)

効果:軽い抑うつ感、ほてり、不安をはじめとする閉経周辺期の諸症状に対処するのに役立つ。

やり方
両脚を前に伸ばして床に座る。左膝を曲げて、左足裏をできるだけ坐骨の近くに下ろす。胴体を右側にねじりながら、左脚のすねが脇の下に触れるまで、左肩を前に出す。左腕をそのままにして、胴体のねじれを戻して正面を向く。息を吐きながら、左腕を左のすねと太腿の周囲に回し、左肘を曲げて前腕をウエストの高さで背中側に回す。息を吐きながら、右手を背面に回して両手を結ぶ。息を吐きながら、伸ばした脚のほうに胴体を前傾させる。肩の緊張をゆるめる。1分間このままでいる。ポーズを出るには、両腕をほどいて左脚を伸ばす。反対側も同様に行う。

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
photo by David Martinez

※表示価格は記事執筆時点の価格です。現在の価格については各サイトでご確認ください。

広告

photos by David Martinez
models by Catherine de Los Santos
Lindsey Jean Smith,Ute Kirchgaessner
Sara Gottfried
styling by Lyn Heineken
hair&make-up by Tokyo/Workgroup
translation by Setsuko Mori
yoga Journal日本版Vol.66掲載



RELATED関連記事

Galleryこの記事の画像/動画一覧

妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割
妊娠前~閉経後…女性のライフステージにおけるホルモン変化とヨガの役割