「生命エネルギー」をヨガ哲学・ハワイの伝統・中国医学から読み解こう

 「生命エネルギー」をヨガ哲学・ハワイの伝統・中国医学から読み解こう
Yoga Hawaii Magazine

マナ、プラーナ、気。さまざまな伝統医学・哲学に登場する「生命エネルギー」とはどのようなものかを、ヨガインストラクターのサラ・フェランが教えてくれました。

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私たちに宿るエネルギー

「私たちは皆、内なる美しい光を宿している。時にはその存在を忘れてしまう」__ジョン・ホランド

「生命エネルギー」とは何だろう?それは私たちすべてに宿る生命力だ。全宇宙、すべての生物、私たち一人一人に生命を吹き込んでいるのが、このエネルギーだ。様々な社会に伴うそれぞれの文化ではその特別な力を独自の方法で言い表し、描画や言葉、経典、儀式、祈祷、聖体、祭式などを通じて崇め敬ってきた。そのすべての文化において、生命を与える力(エネルギー)は昔からずっと、そして今もなおスピリチュアリティや医学、治療、そして人生経験の中核をなしている。

いろいろな形で表現される生命エネルギーのもう一つの共通点は、その目に見えない力が私たちの呼吸やマインド、身体、魂から発せられることだ。では、その力はどこから来ているのか? この質問の答えを人類は探し求め、様々な文化において独自の方法で理解しようと試みてきた。たとえば、ヨガ哲学の知恵に基づく「プラーナ」、ハワイ伝統での「マナ」、中国の人文科学での「気」の3つは、どれも同じ生命エネルギーを表している。各々の文化によって表現の仕方は異なるものの、そこには多くの類似点がみられる。

プラーナサンスクリット語で根源的エネルギーを意味する。呼吸や活力と訳されることもあるが、実際はそれ以上のものだ。このサンスクリット語はプラ(不変)とナ(運動)に分解でき、それに基づけば「プラーナ」は不変の運動や恒久的な動きという意味になる。すべての生き物はプラーナによって生かされている。いくつかのヨガの流派では、プラーナは太陽のエネルギーと光から生まれ、宇宙のすべての構成要素を結合させていると言われている。プラーナは呼吸から意識自体のエネルギーまで様々なレベルの解釈がなされるが、根源的な生命エネルギーというだけでなく、マインド、身体、人生経験に作用する全てのエネルギーの原型でもある。その意味では宇宙全体がプラーナを顕在化したものであり、あらゆる創造の源となっている。また、人間のマインドと身体には「ナディ」と呼ばれる経絡が巡っており、豊かさと活力にはそこを通るプラーナのスムーズな循環が欠かせない。ハタヨガでのアーサナ(ポーズ)練習やプラーナヤーマ(呼吸法)、瞑想には、経絡の詰まりを解消し、プラーナの流れを安定させる効果がある。

「気」もまた生命力を意味し、宇宙全体の形あるものに生気を吹き込んでいる。気は分子、原子、素粒子から絶えず発せられる波動的な性質を持つエネルギーだ。中国の慣習では気の流れが人や環境の豊かさを左右するとして重要視されている。気が滞っていたり、バランスが乱れていたり、流れが悪いところでは、低い波動の影響を受けやすい。また、この気の流れは個人よりももっと大きなエネルギー、つまりハイヤーセルフの流れに直に繋がっていると考えられている。個人とハイヤーセルフの間を流れるエネルギーには、瞑想や創造的な表現、経絡と呼ばれる体内の通路を通じて繋がることができる。さらに、健康的な気の流れには正反対の性質を持つエネルギーとの調和が不可欠とされる。例えば、暑さと寒さ、暗と明、男性性と女性性などだ。これらの相反するエネルギー間での調和を図ることによって、日々の生活でのバランスが生み出され、豊かさが増す。

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by Sara Phelan
Translated by Sachiko Matsunami



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