本場スリランカのアーユルヴェーダ解毒プログラム「パンチャカルマ」体験レポート ♯4


本誌『ヨガジャーナル日本版』でもお馴染みの人気ヨガティーチャー鈴木伸枝さんが、スリランカでアーユルヴェーダの解毒プログラム「パンチャカルマ」を体験。スリランカのアーユルヴェーダ事情はもちろん、施術の実体験を通して感じたこと、学んだこと、変化したことをレポートしていただく企画がスタート! アーユルヴェーダに興味がある方、もっと深く知りたい方は必見です。
パンチャカルマプログラム中の食事
こんにちは。鈴木伸枝です。前回のレポート ♯3はスリランカで行われるアーユルヴェーダ治療の特徴や、施設選びのポイントをご紹介しました。今回はパンチャカルマプログラム中の、食事についてレポートをしていきます。
私の滞在した「Jetwing Ayurveda Pavilions」では、ドクターの診断結果をもとに、その人のドーシャ(体質)に合わせた食事が、毎日3食提供されます。アーユルヴェーダは日本では「トリートメント」が有名ですが、実はこの「食」もトリートメント同様、アーユルヴェーダ的ライフスタイルを進める上で、とてもとても大切な要素なのです。

Ayurveda Pavilionsでは6種類のドーシャごとにメニューが決められています。
・Vata- Pitta(ヴァータピッタ)
・Pitta- Vata(ピッタヴァータ)
・Pitta-Kapha(ピッタカパ)
・Kapha- Pitta(カパピッタ)
・Kapha- Vata(カパヴァータ)
・Vata- Kapha(ヴァータカパ)
この体質別の食事は、薬の作用を高め、代謝を高め、体内のクレンジングを強化するため、アーユルヴェーダ治療の鍵にもなります。お肉やお魚は当然出ません。食材は新鮮なお野菜、果物、穀物、スパイスなど。
豊富な種類がうれしい体質ごとに異なるメニュー
朝はフレッシュジュースから始まります。出されるジュースは毎日変わります。その他にもフルーツの盛り合わせ、スープ、メインと朝から結構盛沢山です。日替わりのハーバルティーはお願いすればいつでも飲むことができます。

フルーツの盛り合わせは毎度美しかったです。思わずふふっと笑ってしまう、とっても茶目っ気のある盛り付けもありましたね。

お食事は、レストランでも頂けますし、お部屋にもってきて頂くことも可能です。お部屋にもってきて下さる時は、一皿に盛り合わせでもってきて下さいます。トリートメントの時間があるので、特にランチはオイルまみれで食べるタイミングがあるので、その場合はお部屋で食べるのが落ち着けて良かったです。

本当に豊富な調理方法で、飽きることなく頂けます。ベジタブルバーガーが出てきた時はびっくりしましたね。味付けは濃い味の時もあれば薄味の時もありました。そして毎回盛り付けが美しい!私がヴァータというドーシャだったせいだと思うのですが、揚げ物がけっこう出てきたのが意外でした。新鮮なココナッツオイルで上げているそうです。贅沢!!!

ランチとディナーにはデザートも必ず出てきました。女性には嬉しいですね。

私の体質であるヴァータは甘味をとることで抑えられるので、少し甘みのある調理方法が多かったように思います。その中でもビックリしたのが、ごはんに蜂蜜をかける食べ方。何回か出てきましたね。ご飯はいろんなお豆と一緒に塩味で炊かれています。ワーオ…と思いながら恐る恐るかけて食べたら、意外に美味しく頂けました。こういった食文化の違いを体験できるのも楽しかったです。

同じ時期に滞在していて仲良くなった日本人の方とご飯をご一緒したのですが、本当に使用されている食材が全く違うので、見ていて楽しかったです。
好みもあるかとは思いますが、私は美味しく頂けました!量的には充分です。私は普段2食なので慣れないうちは常にお腹いっぱいでしたね(笑)途中で日本食が恋しくなったりしましたが、「甘いものが食べた~い」なんてなることもなく、食に関してはストレスなく過ごせました。
ディニッシュ先生は、アーユルヴェーダの効果をあげるための秘訣の一つして、「お食事タイムはぜひ一人でゆっくり丁寧に食事向き合う時間」とすることを薦めています。お食事はアーユルヴェーダにとってとても重要な要素です。それは、「何を食べるか=体質にあった食事をいただく」ということに加え、「どのように食事をいただくか」ということがもう一つの鍵となるそうです。
ちなみに、ディニッシュ先生おすすめのお食事のとり方は…
1.“目=視覚”を使い「これから身体にどのようなものが取り入れられるのか」という情報を確認すること
2.フォークやお箸などを通し“手=触覚”で食材の性格(硬さや柔らかさ、粘りがある、ぷにゅぷにゅしているなど)を理解する
3.食べ物を口の中に入れる際に“鼻=嗅覚”で食べ物の香りを楽しむ
4.“口=味覚”で食材一つ一つを味わいながら、しっかりと咀嚼をすることで、胃や腸での消化吸収をしやすくするためのサポート
5.「耳=聴覚」も実は重要で、咀嚼する際の「音」―パリパリだったり、ガリっとだったりをしっかりと聴くこと
聴覚は意外かもしれませんが、脳にその食材の情報を送ることで、「あ!硬いものが入るから胃液を沢山だしておこう」といった脳からの指令が胃や腸に届き、食べ物の特徴にあわせた消化・吸収の準備をすることが可能となるそうです。
そして、もう一つの重要な秘訣があります。それはお食事をする際は「楽しく・幸せな気分で楽しみながらいただく」ことが、さらに胃や腸の活動を進めてくれるスパイスとなるそうです。簡単にいうと「食べることに集中して丁寧に楽しみながら味うこと」です。
また、毎日お白湯を2~4リットル以上飲むことを進められます。Ayurveda Pavilionsの客室には、タンブラーが用意されていて、いつでもレストランにあるウォーターサーバーから、お白湯を自由に入れることができます。
3つのドーシャのバランスを整える味
プログラム中に受講できるアーユルヴェーダセミナーでは、簡単な食事のアドバイスをきくことができました。バランスの良い食事をとるためには、色んな味や色の食べ物をバランスよく摂ることが大事なんだそうです。ドーシャのバランスを整えるには、下記を参考にしてみて下さい。
Vataの場合
上がる味覚:辛み 苦味 収斂味(舌に痺れの感覚が残る渋味や苦味)のある物
下がる味覚:甘味 酸味 塩味
Pittaの場合
上がる味覚:酸味 塩味 辛味
下がる味覚:甘味 苦味 収斂味
kaphaの場合
上がる味覚:甘味、酸味、塩味
下がる味覚:収斂味
日本人女性に栄養失調が多いのはなぜ?
ディニッシュ先生曰く、「日本人の女性は栄養失調の人が多い」とのこと。思わず「え、日本人が?」と耳を疑うような話です。よくよく聞くと「日本人の女性は、良い食事や身体によいといわれているものを食べてはいるが、実はすごく“偏った食べ方”をしていることがあるとのこと。
例えば、朝は毎日同じサラダとヨーグルトを食べているなど。サラダそのものはとても身体によいものですが、同じ種類のものを取っていては「偏り」となってしまうのです。今日はブロッコリー(緑)のサラダだったら、明日はニンジン(黄)のなどサラダ、その翌日は玉ねぎ(白)のサラダと変えることがさらに重要です」と仰ってました。
なるほど、言われてみると食事に氣をつかっている人でも「身体によいもの」という食材を集中して取ってしまっていることは確かに多いように思えます。それではアーユルヴェーダのキーワード、「いろいろな要素をバランスよく」というコンセプトからは外れてしまっていますね。
また、食事はしているが加工食品ばかりで実際は栄養素が取れていない、というパターンも最近では多いのではないでしょうか?
アーユルヴェーダクッキング教室
5泊以上滞在の方は、日本に帰国してからも自分で簡単に作れる「アーユルヴェーダクッキング教室」無料で受講することができます。わかりやすい写真付きの日本語レシピも頂けますよ!
作ってみると1つの料理に、本当にいろんな食材とスパイスが使われているのが分かります。体に良いわけだ!調理法はとっても簡単なのですが、ミキサーが必須なのと、ここまで食材を集めるのはちょっと大変そうですね。日本で売っていない食材はAyurveda Pavilionsで購入することもできます。
今回作ったのは…
・アボカドジュース
・パンプキンスープ
・緑豆のホワイトカレー
・クラッカン(穀物)とローストココナッツのロティ
・カレーリーフペスト
作ったものは参加者全員で頂きます。このクッキング教室は色んな国からプログラムを受けに来ている方ともコミュニケーションがとれて、とっても楽しかったです。この後夕食だったので、お腹がはちきれそうでしたけどね…(笑)



次回はいよいよパンチャカルマのトリートメントプログラムについて、詳しくレポートしていきます!お楽しみに!!!
鈴木伸枝
指導者養成の講師としても活躍し、1000人以上のインストラクターを輩出。講師育成や、全国のイベント出演、雑誌監修など、活動は多岐にわたる。鈴木伸枝パーソナルヨガスタジオ-Releace Space-主宰。‘自分を生かすYOGA’をモットーに、自分に意識を向ける時間をつくり、自身で心身をベストコンディションへ導く「自己調整力を引き出すヨガ」を伝えている。Instagram:@nobue.style
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