ポーズ上達に必須。動作の「単位」とは?|理学療法士がヨギに知ってほしい体のこと
動作の先にはさらなる動作の上達が待っている!
ベルンシュタインは、「ある運動を実現する身体期間の組み合わせ」を「単位」と呼びました。
ダウンドッグを完成させるための関節や筋の組み合わせが上記に述べたようなものだとしたら、それを「単位」と考えるわけです。ここで問題が提示されます。この単位は、ダウンドッグという運動を分解した結果だけれども、この単位で可能になる運動は「ダウンドッグ」だけでしょうか?
そうではないと思います。
なぜなら、それぞれの要素が、また別の動きへ汎化され、ダウンドッグを通して様々な身体運動が可能になるからです。
例えば腕を上げるのが簡単になるでしょうから、日常生活でも身体を伸展させて高い場所のものを取ることなど楽になるでしょう。ハムストリングスの柔軟性は座る姿勢にも良い影響をもたらすでしょう。
もっと高度な運動にも影響します。例えば逆立ちをしようとする際に必要な広背筋の筋力は、ダウンドッグに必要な筋力のその一歩先にあります。ダウンドッグに必要な筋力なくして、逆立ちはあり得ないのです。
つまり、ひとつの動作を完成させる目的は動作の完成にはなく、動作は常に、その動作を通して得られるその先の運動の自由を見据えて行われるべきなのです。
ヨガを始めとする身体運動を応用した様々な身体へのアプローチは、時に、決まった関節可動域や筋力や柔軟性を要求します。それらがなければ完成しないものを追求することで、その先の「身体の自由度」を高めることを目的にしています。わたしたちは常日頃から、問題を分解してそれをひとつずつクリアすれば最終的にゴールに導かれるような帰納的な方法に慣れ親しんでいるように思います。けれども運動は、それとは正反対の演繹的な発想で導かれるべきものなのではないでしょうか。
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