研究からわかった【人の気が散る仕組み】問題はスマホそのものではなく、習慣がもたらず脳の習性!?

 研究からわかった【人の気が散る仕組み】問題はスマホそのものではなく、習慣がもたらず脳の習性!?
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2025-04-16

スマートフォンで気が散る?問題はデバイスではなく、利用者自身あるのかもしれない。人はスマートフォンが手元にあってもなくても気が散ることが研究で明らかになった。

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新しい研究では、模擬的な職場環境において、スマートフォンにすぐに手が届かない状況にある人々は、代わりにパソコンを使って気晴らしをし、仕事から意識をそらすことがわかった

この研究では、22人の参加者に、コンピュータを使った5時間の作業を2回実施してもらった。そのうち1回はスマートフォンをすぐ手の届く場所に置き、もう1回は手の届かない場所に置いて行った。結果、当然ながら、手に届く範囲にない場合はスマートフォンに費やす時間が短くなることが分かった。しかし、スマートフォンで過ごしていたであろうソーシャルメディアなどの娯楽活動の時間を、代わりにラップトップで費やしていた。この研究は小規模であるため、大衆全体に対する大きな結論を導くのは難しいものとなる。しかし、この研究結果からは、教室や職場での携帯電話の使用を禁止するだけでは、注意力散漫に陥る問題の解決には必ずしもつながらないことが示唆され、テクノロジーに対する自身の習慣や行動に目を向けることが、注意力の改善に向けた最善の第一歩となる可能性がある、とこの研究の著者、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクスの社会心理学者マキシ・ハイトマイヤー博士は述べている。

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注意が散漫になることによる問題

注意力を長時間維持する能力は、記憶力をはじめとするあらゆる認知機能にとって重要となる。気が散れば散るほど、情報を取り入れる時間が短くなるとマッコーリー大学の神経科学者マーク・ウィリアムズ博士は言う。その理由の一つは、「ワーキングメモリ」(作業や動作に必要な情報を一時的に記憶し処理するための能力)の容量が限られているためだ。一つのことに十分な時間をかけて集中しなければ、その情報を処理して長期記憶に転送する前に、ワーキングメモリが消去されてしまう。ウィリアムズ博士は、これを読書を中断した後に、再び同じ箇所を読まなければならないことに例える。「私たちは絶えず次から次へと別のことに意識を切り替えているため、ダウンロードされる情報量が限られてしまうのです。」と話す。

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人の気が散る仕組み

問題になるのはスマートフォンだけとは限らない。世界は気が散るものであふれており、私たちはしばしばそれを探し求めているとハイトマイヤー博士は言う。通知も何の音もなしに、89%の確率で人が自らスマートフォンを手に取っていることが判明したと言い、「こうした集中の妨げの原因となるものの89%は、実は人そのものです。スマートフォンの振動や点滅、音ではありません。ああ、何かを見逃した、と思うことなのです。そして、人はそれを確認するのです。」と話す。

ハトマイヤー博士によると、常に一つのことに注意を向けていることは、生存のためには理にかなっておらず、集団をよく観察し、社会の動向を意識することは、人類の進化にとって有益で自然なことであるという。

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デバイスの利用習慣の改善のためにできること

スマートフォンを手に届かない距離に置いておく

研究において、参加者がスマートフォンを手に取るために立ち上がらなければならない場合と比較し、手の届く範囲に置いていた場合は、スマートフォンの利用時間はほぼ2倍となった。手が届かない範囲とは、立ち上がらないと届かない距離を指し、立ち上がらずとも何とかして手に届く範囲であれば、人はまだスマートフォンを使用するだろう、とハトマイヤー博士は言う。スマートフォンに費やす時間を減らしたいのであれば、手に届かない距離に置いておくことは良い対策となるかもしれない。

スクリーンタイムの制限

アルバータ大学の消費者行動学教授ノア・カステロ博士による別の研究では、スマートフォンからインターネットを遮断すると、運動や対面での交流、趣味や読書などをする時間が増えることが明らかになっている。画面を見る時間を制限することは、自分の本当にやりたい方法で余暇を過ごすのに役立つとカステロ博士は述べている。

デバイスに駆り立てられる背景を知る

怠けることなく、生産的であるべきだという社会的なプレッシャーが、望ましくないスマートフォンの利用につながる可能性を認識することも重要であるとハトマイヤー博士は言う。「私たちは皆、ぼんやりして何もしていない状態になることに絶対的な恐怖を抱くようになりました。人がいる場所でただ立っていると、居心地悪くなります。スマートフォンを触っていると、なんらかの行動を実行しているように見えるのです。」と話し、デバイスに手を伸ばすように自分を駆り立てる社会的要因を知ることや、使いたくない時には手の届かない場所に置いておくといった簡単なステップが役立つと助言している。

出典

https://www.abc.net.au/news/health/2025-03-30/smartphone-distraction-digital-devices-training-brain-focus/105093514

https://edition.cnn.com/2025/03/28/health/phone-distraction-study-wellness/index.html

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