便秘は甘くみてはいけない!便秘による腸内フローラの乱れが心臓にも影響する!?研究結果が示唆
「お腹の不調」として軽視されがちな便秘、実は深刻な健康リスクを引き起こす可能性があるという研究結果が注目されている。
腸と心臓の健康は密接に関係している
オーストラリアのモナシュ大学の研究チームが発表した最新研究によると、便秘が続くことで腸内フローラ、つまり腸内の細菌バランスが乱れ、それが全身に悪影響を及ぼすことが分かった。腸内フローラのバランスが崩れると、心臓や血管にまで悪影響が広がり、心血管疾患、特に心臓発作や脳卒中のリスクが大幅に増加することが示された。
腸内フローラの乱れが心臓に与える影響
腸には無数の細菌が生息しており、消化や免疫機能の調整に大きな役割を果たしている。これを「腸内フローラ」と呼び、健康な状態では善玉菌と悪玉菌がバランスを保ちながら、腸内環境を整えている。しかし、便秘になるとこのバランスが崩れ、悪玉菌が優勢になることで、腸内環境が悪化する。「腸内フローラのバランスが崩れることで、炎症性の物質が腸から血液中に放出され、それが全身の血管や心臓に影響を及ぼすことがわかった」と、研究を率いたフランシーヌ・マルケス教授は説明する。特に、慢性的な便秘を抱えている人は、腸内で発生する有害物質が血流に乗って全身に回り、動脈硬化を引き起こすリスクが高まると考えられている。これにより、心血管系の健康が脅かされ、心臓病や脳卒中の発症リスクが増加する。
便が溜まると有害物質が腸内で増殖する
腸内フローラのバランスが乱れると、便秘が悪化するという悪循環が生まれる。便秘により、腸内の内容物が長時間滞留すると、有害な物質が腸内で増殖し、さらに便秘を引き起こす。これが心臓病のリスクを高める原因となっている可能性が高いのだ。「便秘と腸内フローラの関係は非常に複雑だが、便秘が続くことで腸内環境が悪化し、それが全身の健康に大きな影響を与えることがわかっている。特に、心血管疾患リスクの増加は見逃せない事実だ」とマルケス教授は警告している。
食物繊維を積極的に取り入れよう
腸内フローラのバランスを保つことは、単に消化器系の健康を守るだけでなく、心臓病予防にも直結する。今回の研究では、便秘を予防するために腸内環境を整えることが、心臓病リスクを軽減する重要な要素であることが示唆された。
では、どのように腸内フローラのバランスを整えればよいのだろうか?そのカギとなるのは「食物繊維」だ。食物繊維は腸内の善玉菌のエサとなり、腸内環境を健康に保つ役割を果たす。野菜や果物、全粒穀物など、食物繊維が豊富な食品を積極的に摂取することが、便秘を防ぎ、腸内フローラのバランスを維持するためには不可欠だ。また、発酵食品も腸内フローラの健康維持に効果的だ。ヨーグルトや納豆、キムチなど、プロバイオティクスを含む食品を日常的に取り入れることで、善玉菌を増やし、腸内環境を整えることができる。便秘を感じたら、すぐに対策を取ることが必要だ。
出典:
Constipation Is Linked to a Higher Risk of Heart Problems
Your Constipation Could Be Having a Serious Impact on Your Heart
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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