「週3時間」にスクリーンタイムを減らすと子どもの行動とメンタル面が2週間で大幅改善【最新研究】
現代の子どもたちは、タブレット、ゲーム、PC、スマホなどデジタル画面に向かう時間が増え続けている。実際、猛暑で外に遊びに行けず、夏休みも家の中で過ごす子どもたちが多いのが現状である。そんな中、驚くべき最新研究結果が明らかになった。スクリーンタイムを劇的に減らすことで、子どもの行動とメンタルヘルスが大幅に改善するというのである。
スクリーンタイムを週3時間に制限することで得られる効果
南デンマーク大学の研究者たちは、4歳から17歳までの181名の子どもとその家族89世帯を対象に調査を行った。具体的には、研究に参加した181名の子どもの半分は、宿題や勉強以外のレジャースクリーンタイムを週3時間に制限するよう指示が出された。残り半分は通常通りの習慣で過ごした。テレビ、タブレット、ゲームなどを1日に7〜8時間使用している子どもが少なくない現状からすると、指示を受けた子どもたちにとっては劇的な変化である。
すると、レジャースクリーンタイムを週3時間に制限された子どもたちには、わずか2週間で行動やメンタル面に大きな変化が現れた。問題行動が減り、「境界線」カテゴリから「正常」カテゴリへと移行した。また、感情の問題や友人関係の悩みが改善され、社会的な交流が増えたことが報告された。さらに、不安、自己評価の低さ、抑うつなどの心の苦しみやストレスが減少し、他人を助けることを意図したプロソーシャル行動が見られるようになった。
スクリーンタイムと発達障害の関連性
また、米ペンシルバニア州にあるドレクセル大学の研究者たちは、乳児や幼児にスクリーンタイムを許可することが、発達障害(自閉症や注意欠陥/多動性障害など)の感覚行動の異常と関連していることを発見した。特に、1日のスクリーンタイムが1時間増えるごとに、18ヶ月時点での感覚の問題の可能性が23%増加し、24ヶ月時点でも20%の増加が見られるという結果が出ている。唯一の例外はビデオチャットであり、これは社会的な利益が発達に役立つ可能性が高いとされている。
親の声:スクリーンタイムを減らす実践
4歳の息子を持つダンさんは、公園での遊びが子どもにとってどれほど有益であるかを実感している。彼の息子も他の多くの子どもたちと同様、iPadやタブレットの画面に親しんでいるが、暖かい季節にはできるだけ外で遊ぶようにしていると言う。スクリーンタイムを減らすことで、息子の行動や感情に良い影響が出ていると感じている。一方、4人の子どもを持つミシェルさんも、スクリーンタイムを減らすことで子どもたちの情緒や社交性が向上することを実感している。彼女はシングルマザーとして、時にはスクリーンタイムに頼らざるを得ない状況もあるものの、可能な限り他の活動に子どもたちを参加させるよう努めている。
子どものスクリーンタイムを減らすためのヒント
発達心理学者のナヴァ・シルトン博士は、親たちに対して、子どもたちが興味を持つアフタースクール活動を検討するよう勧めている。空手、バスケットボール、ダンスなど、子どもたちが夢中になれる活動を見つけることが大切だ。スクリーンタイムを減らすことは、初めは難しいかもしれない。しかし、その結果として得られる子どもたちの健康と幸福感の向上は、親と子ども双方にとって大きな価値があるのだ。
出典:
Kids’ screen time should be cut to this surprisingly low number of hours a week, experts say
Here's what happens when you limit a child's screen time: study
Cutting screen time to 3 hours per week improves kids’ behavior and mental health in days
AUTHOR
山口華恵
翻訳者・ライター。大学卒業後、製薬会社やPR代理店勤務を経て10年間海外(ベルギー・ドイツ・アメリカ)で暮らす。現在は翻訳(仏英日)、ライフスタイルや海外セレブリティに関する記事を執筆するなど、フリーランスとして活動。趣味はヨガとインテリア。
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