ダウンドッグが上達する!ヨガのための筋膜リリース
ほんの数分行うだけでヨガの練習や健康状態に計り知れない影響をもたらす筋膜リリース。苦手ポーズ上位にランクするダウンドッグ前に行ったら、どんな変化があるだろうか?
筋膜リリース( SMFR:self-myofascial release)を自分で行う際、効果を実感し、問題のある部位を正確に把握するには、これから紹介する練習を体の片側ずつ行うといいだろう。たとえば、あるポーズを右側でよく行うなら、同じ側でSMFRを実践して、再びそのヨガポーズを練習する。右側で筋膜リリースを行って、再びポーズに戻ったときに、可動性や安定感、快適さに違いがあるかを観察しよう。そして、次は左側で行う。練習用に、小さくて硬い(またはやや硬めの)ボールを1つ、直径15cmほどの中型のボール(もしくはテニスやラクロスのボールでもよい)を1つ、そしてフォームローラーを1つ用意しよう。
ダウンドッグのための筋膜リリース
四つん這いになり、腰を高く上げたら、手で床を遠ざけるように押しながら両腕をしっかりと使う。膝を後方に押してダウンドッグに入る。数回呼吸をしながら、体の状態を観察しよう。かかとは床にどのぐらい近いだろうか。つま先を床から浮かすことができるか。膝の裏や腰にはどんな感覚があるだろう。頭をだらりと垂らしていて気持ちいいだろうか。背骨や脚に緊張はあるか。観察が終わったら、立ち上がる。
HOW TO
1.足裏の筋膜リリース
テニスボールサイズの硬いボールを右の足裏の中心に置く。ちょうどかかとの前あたりだ。痛みがなく、ゆったりと呼吸を続けられる程度にボールに体重をかけ、できるだけ動かずに呼吸を続けながら30秒ホールドする(左の写真)。これは持続的に圧迫を加えて、その部位だけを集中的にストレッチする方法だ。位置をずらして土踏まずのほかの場所でもやってみよう。ただし、かかとと拇指球は土踏まずよりも脂肪がついているので避けること(ほとんどの人はこれらの部分の可動性を高める必要はない)。次にボールを足裏の外側、かかとと小指の中間あたりに移動させて(右の写真)、ボールに体重をかけて30秒ホールドする。ボールのサイズや体重のかけ具合によって、かかとが床につく人とつかない人がいるだろう。ボールをそのまま横にずらして、1番目と2番目の長骨(中足骨)の間にあたるようにし、体重をかけて30秒ホールド。
2.ふくらはぎの筋膜リリース
両脚を前に伸ばして座り、ダンダーサナ(杖のポーズ)に入る。筋膜リリースを行った足裏と同じ側のふくらはぎの下、アキレス腱の3 ~5cm上あたりに、中サイズのボールを置く。このままでもいいし、左の足首を右の足首に重ねてもよい(さらに強く圧迫したい場合は、手で床を押しながら腰を床から少し浮かせる)。ゆったりとした呼吸を続けよう。つま先を真っすぐに伸ばしたら、次は足首を直角に曲げる動きをゆっくりと5 ~ 10回繰り返す。こうすることで、ボールをあてている部分の皮下の組織が滑るように動く。右脚を左右に倒して筋膜を揺らしてもいいだろう。15秒ほど行ったら、ボールをゆっくりとふくらはぎの真ん中にずらし、そのまま15秒かそれ以上ホールドし、さらに4、5カ所ずらして行う。さらに、ふくらはぎの内側の肉付きのいいところで縦方向に4、5カ所移動させながら、少なくとも15秒ずつ圧をかける。
3.臀部の筋膜リリース
フォームローラー(好みでボールを使ってもよい)の上に座り、両膝を曲げて足裏を床につける。両手を40cmほど後ろについたら(カニ歩きの姿勢のように)、ボールかフォームローラーをお尻の一番厚みのある部分にあてる。体を右に傾け、お尻を前後にゆっくりと動かしながら少なくとも1分間続ける。骨盤をやや後ろに傾けて、僧帽筋の上部線維を腰に近づけ、さらに中部線維を仙骨のほうに下げるようにする。
ポーズを繰り返そう
再びダウンドッグを行い、右脚と左脚の感覚の違いを観察しよう。右のかかとが床により近づいているか? 両腕の負担が減っているか? 右のかかとをさらに下げて、つま先を床から浮かすことができるか? 頭をだらりと下げたときに背骨にかかる緊張に違いはあるか? 同様に、左の足裏と左脚の筋膜リリースを行い、再びダウンドッグに戻り、変化を観察しよう。
監修
アリエル・フォスター。理学療法博士。ヨガと解剖学をヨガティーチャートレーニングで教えている。また、yogaanatomyacademy.comの創立者でもある。
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