「おならが止まらない」放置してはいけない、注意したい危険な〈おなら〉と隠れた疾患とは|医師が解説

 「おならが止まらない」放置してはいけない、注意したい危険な〈おなら〉と隠れた疾患とは|医師が解説
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甲斐沼 孟
甲斐沼 孟
2024-06-13

おならは、誰でもある程度毎日出るのが当たり前です。しかしいつもより回数が多い状態が続いていたり、臭いがきつくなってきたなど、おならの状態の変化がある場合は、何らかの疾患が隠れている可能性があります。医師が解説します。

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人は誰でも食事とともにある程度の空気を飲み込んでいて、その大部分は消化の過程で消化管から吸収され、呼気に混じって排出されます。

飲み込んだ空気成分の一部は吸収されず、げっぷとなって口から出たり、腸まで運ばれておならとなって肛門から排出される以外にも、腸内では細菌叢(さいきんそう)によって発酵や腐敗が進みガスが発生します。

吸収されなかった分はおならとなって肛門から排出される現象は、誰にでもあることですが、消化器疾患や自律神経の不具合などが原因でおならが増えることがあり、何らかの疾患や病気が隠れている可能性があります。

おならを増やす原因となる疾患としては、過敏性腸症候群、大腸がん、慢性胃炎などが挙げられ、症状を放置すれば病状が悪化する恐れがありますので、おならが止まらない際には一度消化器内科など専門医療機関を受診することが重要です。

例えば、過敏性腸症候群で便秘型、または便秘と下痢を繰り返すタイプの場合はガスが発生しやすく、おならが増える傾向がありますし、大腸がんでも便秘となっておならが増えることがあります。

ストレスは身体のさまざまな部分に影響を与えますが、胃腸など消化管もその影響を受けて、精神的・身体的・環境的なさまざまなストレスが原因となって、過敏性腸症候群を発症して、おならが増えることも想定されます。

また、慢性胃炎などの疾患があると胃の機能低下によって消化が悪くなって、おならが増えることがあります。

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注意したい危険な〈おなら〉重大な原因

注意したいおならの原因のひとつとして、肉類やにんにくの食べ過ぎで腸内ガスが臭くなることがあります。

普段から肉類やにんにくなどを大量に食べていると、小腸だけでは吸収しきれずに、大腸で分解される際に、腸内の悪玉菌が働き、腐敗してアンモニアや硫化水素など臭いのあるガスを発生させるため、おならが増えて臭いがきつくなることがあります。

また、便秘で腸内にガスが増えて溜まるのも注意する状態と考えられます。便秘があると、大腸内に便が長く留まるため、便が発酵・腐敗しやすくなることに伴って、ガスが増えておならの量が増えて、悪玉菌が活動して、おならの臭いもきつくなる傾向があります。

こうして発生したガスは、おならとして排出されるだけではなく、腸壁からアンモニアや硫化水素など毒性のある物質が吸収されて、体内を巡って、体調不良を起こす原因になることもあります。

そして、精神的なストレスや緊張などで、つい唾を飲み込んでしまうような癖があると、通常より大量に空気を飲みこんでしまうことで、胃腸に大量の空気が入り込み、おならが増える原因となることがある点も注意を要します。

注意したい危険なおならの重大な原因として、大腸がんも考えられます。

大腸がんは、早期の状態ではほとんど自覚症状が無く、早期に発見することが難しいがんのひとつ。病変部が進行してくると、腸管の通過が障害されて便秘になり、腸内に便が滞留し、おならが増えてしまうという特徴があります。

まとめ

おならは自然現象であり、誰でもある程度毎日出るのが当たり前です。

しかし、いつもよりおならの回数が多い状態が続いている、臭いがきつくなってきたなど、おならの状態の変化がある場合は、大腸がんなど何らかの疾患が隠れている可能性があります。

おならに関するお悩みがあれば、消化器内科など専門医療機関を受診して相談されることをお勧めします。

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甲斐沼 孟

甲斐沼 孟

大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より上場企業 産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。



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