「多様な価値観や生き方を知ることで楽になった」価値観の転換を経た川内有緒さんの更年期とは

 「多様な価値観や生き方を知ることで楽になった」価値観の転換を経た川内有緒さんの更年期とは
Naoki Kanuka(2iD)
磯沙緒里
磯沙緒里
2024-02-06

心と体が大きく変化する”更年期”。年齢とともに生じる変化の波に乗りながら生き生きと歩みを進める女性たちにお話しいただくインタビュー企画「OVER50-降っても晴れても機嫌よく」。第8弾は、作家の川内有緒さんにお話を伺いました。前・後編に分けてお届けします。

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ノンフィクション作家として活躍されながら、自作の小屋をつくられたり、映画監督を務められたり、活動が多岐に渡る川内さん。私生活では母としての子育て真っ只中の多忙な生活を送りながら、内側には自由を感じる魅力をお持ちです。更年期を過ごすということ、そしてこれからのこと、じっくりお伺いしました。

多様な価値観や生き方を知ることで楽になった

ーー川内さんのプロフィールを拝見しますと、中南米の研究をされていたり日本のシンクタンクやフランスのユネスコ本部にいらしたこともあったり、経歴が興味深いです。東京に拠点を移してからは作家活動に舵を切られていますが、そこにはどんな思いがありましたか?

川内有緒さん(以下川内さん):2010年に日本に戻ってくるまでは国際協力っていうジャンルの仕事の中で職業を転々としつつも、調査研究したり、インタビューをして文章にまとめていくっていう意味ではやっていることは同じだったんですよね。いる場所と調査対象やテーマがその都度変わるだけで、自分の中ではやることは変わらなくて。そうしてインタビューをしていると、本編に載せるほどじゃないんだけど面白い話っていっぱい聞けるんですよね。でもそういう話は何かに載せるわけでもなく、ただ溜まっていったんです。それが、フランスにいる時に、「この人たちみたいな生き方をしている人っているんだな」と思う人たちに出会って、書いてみたいと思うようになったんです。

日本に帰った理由は、本が出るっていうこともありましたが、国際協力の世界でこの先に何をしたらいいのか最早思い浮かばなくなってしまったんですよね。それで、いったん日本に帰って考えようと思い帰国しました。それからずっと物を書く仕事をしています。基本的には面白い人の生き方を取材して書くことをずっと続けています。多様な価値観や生き方を知ることで自分も楽になったし、フランスにいる時に「人はどう生きていってもいいんだ」ということを感じて、それを一貫したテーマに書いています。

ーー川内さんとしては大きな転換ではないんですね。

川内さん:もちろんライフスタイルや仕事は変わったけれど、インタビューをして書くっていう仕事はずっと続けているから。それまでは報告書だったのが一般の人に向けた本になったっていう違いはあっても、わりとやってることは似ているんですよね。

自分とは違う考え方を知り、価値観の転換が起きた

ーー著書の中で、かつては効率主義、能力主義的な働き方をされていたと書かれていましたが、その時代と今とでは働き方や考え方は変わりましたか?

川内さん:働き方も変わりましたが、周囲に対する考え方のほうが変わりました。それまでは物事が計画通りに進むことや、お金の面でも時間の面でも効率よくアウトプットできることが重要な職場にいたんです。効率を重視してやってきたので、他の人にもそういうものを求めてしまうし、それが一番いいと思っていました。それはアメリカではフィットする考え方でした。

でも、フランスはそういう国ではなかったんです。自分がやっている仕事とフランス的な考え方が合わなくて、フランスに6年間住んでみたら、効率とかどうでもよくなり始めちゃったんですよね。フランス人って働き方もすごいんですよ。仕事が山積みなのに定時で帰ったり、ボスがいきなり6週間休んだりといった具合に、驚くことが多くて。でも、そんな働き方だってできるんですよね。これまで私は日本とアメリカを軸にした考え方でやってきたけど、自分とは違う考え方が世の中にはたくさんあるんだと思ったら、自分の中で価値観の転換が起きてしまいました。

ーー価値観が変わったことは、働き方だけでなくプライベートにも影響しましたか?

川内さん:影響しているんだと思います。家族とはいえ、違う人が同じ家の中で生活するわけですからね。ただ、夫とは2010年に帰国するまでは別々に生活していたので干渉し合わない関係があって、一緒に暮らしてからもいい意味でお互いに干渉し合わずに生きています。今日はどこでなにをしているかもわからない時がけっこうあります。ある意味ずっと距離感を保ち続けているという点は、変わらないんです。

ーー自由を尊重し合うことがお互いのお仕事にも良い影響を与えていそうな関係性ですね。夫婦ふたりだけの生活からお子さんが加わり、育児をするにあたって難しく感じることはありませんでしたか?

川内さん:娘が生まれて、最初は難しかったです。足並みは揃わないし、ずっと一緒にいることをこれまでやってこなかったからどうもしっくりこないしね。今は娘も育って、大変だった時から一歩進んだように思います。今はちょうどよく家族がまわっている感じです。

川内

産後の不調から住環境を変えたことで良い変化があった

ーー産後すぐは慣れないし大変なことも多いですよね。産後の不調はありましたか?

川内さん:私は高齢出産だったので、産後は体力的にはキツかったんですよね。子育てが大変なのか、自分の体が大変なのか、もしかして更年期なのかもよくわからなくて。全部が合わさって、娘が生まれてから何年かは体調がいまいちだったんです。めまいとか頭痛とか、朝起きようと思っても体が動かないとか。しんどいことは色々ありましたね。

ーー産後と更年期が時期的に近かったんですね。今は更年期症状を感じていますか?

川内さん:すごい大変な更年期症状がある人に比べたら、そこまでつらくはないのかもしれません。産後の何年かの方が大変でしたね。住環境を変えたことがよかったのかもしれません。ずっと都心に住んでいたのですが、2020年に今の家に引っ越してきたらいいことばかりだったんです。都心に住んでいた頃は部屋は狭いし、環境もいまいちでした。公園が好きなので公園の近くに住んではいたんですけどね。今は部屋も広くなったし大きい公園もすぐ近くにあるし、引っ越して本当によかったです。公園があると体を動かす機会も持ちやすいしね。

だから更年期症状はそれほど大変ではないのかもしれません。ただ、睡眠が繊細になってきている感覚はあります。ちょっとしたことで起きちゃったり、一度起きるとなかなか眠れなかったりして。でもそれくらいですね。

ーー自然を身近に感じられる場所に住むことで心にも体にもいい影響を受けているんですね。セルフケアとして公園を散歩されていますか?

川内さん:ほとんど毎日散歩しています。夏場は朝5時とか日の出と共に歩く感じで、冬に向けてだんだん遅くなっていきます。仕事の合間に気分転換に散歩することもありますね。この時間がセルフケアとして役立っていると感じています。

頭痛をケアするために始めたヨガ

ーー四季を感じながらの散歩はいい気分転換になりそうです。他にセルフケアとして行なっていることはありますか?

川内さん:すごく真剣にやっているっていうほどではないんですけど、引越す前からヨガもしています。私の頭痛があまりにひどいので、編集者がストレッチ程度でもヨガをすると違うって教えてくれて興味はあったんです。そしたら、友人がヨガインストラクターになったんです。彼女は私の比じゃないくらい頭痛が酷くて、なんとかしたい一心でヨガを始めてインストラクターになって。その友人の家に遊びに行った時に、頭痛が辛い時にやるといいポーズを教えてくれて、ヨガを始めました。ヨガスタジオに通うようにもなって、ヨガっていいな、自分に合っているかもしれないなと思っています。今はスタジオにはあまり行けてないんですけど、家でセルフケア程度に続けています。体を動かすことによって色々なところが伸びて、息もしやすくなって、仕事にもいい影響があるんですよね。

あとは、岩盤浴が自分の友みたいな感じです。気持ちよく体が芯から温まるんですよ。岩盤浴に行くと、ずっとぼーっとしています。私は仕事上、移動が多いんです。遠くに行くために新幹線にずっと座っていると、体が固まりやすくて。体が固まっていることはずっと気になっていて、ほぐすことは私のテーマなんです。ヨガでも岩盤浴でもほぐしたいんですよね。

ーー岩盤浴でぼーっとする時間は身も心も緩みそうですね。普段お仕事でも育児でもお忙しく過ごされているからこそ、なにもしない時間が必要なんでしょうか。

川内さん:そうかもしれません。散歩している時もなんにも考えないことが多くて、ぼーっとして、お茶飲んで帰るようなかんじなんです。岩盤浴でも3時間くらいなんにもしないですね。いつもはずっとバタバタしていて隙間時間もあれこれ詰め込んでいるんですけど、もうスイッチが切れちゃう時があって。コップでいうともう一滴の水も入らないような状態になってしまう。そうしたら、岩盤浴に行くようにしてます。

ーー生活の中にリラックスする時間を上手に取り入れていらっしゃるんですね。

そうですね。きっとみなさんそれぞれにリラックスする方法をお持ちだと思うんですど、私の場合は今はこんな感じで過ごしています。

*後編に続きます

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磯沙緒里

磯沙緒里

ヨガインストラクター。幼少期よりバレエやマラソンに親しみ、体を使うことに関心を寄せる。学生時代にヨガに出合い、会社員生活のかたわら、国内外でさまざまなヨガを学び、本格的にその世界へと導かれてインストラクターに。現在は、スタイルに捉われずにヨガを楽しんでもらえるよう、様々なシチュエーチョンやオンラインでのレッスンも行う。雑誌やウェブなどのヨガコンテンツ監修のほか、大規模ヨガイベントプロデュースも手がける。



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