【意外と知らない正しい姿勢の作り方】理学療法士直伝!たったコレだけ「壁を使った姿勢チェック法」
「正しい姿勢って?」と聞かれると意外と答えられない人が多いのが残念な現実です。いくつかある正しい姿勢のチェック法のうちの一つを、理学療法士の堀川ゆきさんが説明してくれました。
正しい姿勢をとってみると?
患者さんや生徒さんに、「良い姿勢をとってみてください」と促すとどうでしょう?ほとんどの方が、胸を極端に張ったり、腰を反らせ過ぎたり、肩をすくめて力を入れたり、アゴを上げたり、全身にグッと力を込めたりするのです。正しい姿勢ってそうではないですよね?これは正しい姿勢を勘違いしている、もしくは正しい姿勢というものをそもそも知らない証拠です。正しい姿勢を多くの人が知らないこと、これは私が患者さんを担当し始めたころに最も驚いたことの一つでした。
とはいえ、理学療法士など身体の専門家ですら、あまり大きな声では言えませんが姿勢の悪い人を時々見かけますし、その人達が正しい姿勢を知らない場合や、そもそも姿勢が重要だと考えていない場合も残念ながらあります。そして私もラクしたい人間です。悪い姿勢と分かっていてもついつい取ってしまっていたり、良い姿勢を取る努力を怠る時も無きにしもあらず・・・でも正しい姿勢を「知っている」こと自体に価値があるのです。
正しい姿勢の定義正しい姿勢とは、次の5つの視点があります。
1)力学的視点:力学的に安定していること
2)生理学的視点:生理的に疲労しにくいこと
3)心理学的視点:心理的に安定していること
4)作業能率的視点:作業能率からみて効率がよいこと
5)美学的視点:美的に見て美しいこと
これが満たされているかどうかで見るといいでしょう。
壁での姿勢チェック法
では今回は、壁を使った正しい姿勢のとり方についてお話します。早速体感してみましょう。両足は腰幅で、両かかとを壁から3cm程離して立ちます。そして、
・仙骨の後面
・肩甲骨の後面
・後頭部
の3点を壁にくっつけます。この3点全てが壁に触れている状態が正常です。これ以外に壁にくっつく部位はありません。
この時に、両肩の先端を無理矢理壁にくっつけようとする人がいますが、そうはしないでください。肩甲骨は壁から約35度離れているのが自然です。後頭部が壁に付かない、または付きにくい人は顔が前に突出している姿勢の可能性が高いです。「スマホ首」なんていわれたりもしますが、最近急増中です。
肩甲骨の後面が壁につかない、または付きにくい人は、胸を張りすぎていたり、肩甲骨の位置がずれていたり、胸椎の自然なカーブが消失している可能性が高いです。
仙骨の後面が壁に付かない、または付きにくい人は、骨盤を前に突出させて関節をロックしたいわゆる休め姿勢で立つ癖がある、「骨性支持」姿勢の可能性が高いです。
今度は腰と壁との隙間を確認してください。手のひらを隙間に滑らせて入れた際に、途中で手が突っかかって通らないくらいの幅が理想です。プチトマトがギリギリ入るか入らないくらいの隙間と言ったら分かりやすいでしょうか。この隙間が広すぎる場合は反り腰傾向です。
まとめ
いくつかある正しい姿勢のチェック法の中から、今回は壁での姿勢チェック法を紹介しました。個人差があるためこれでは正確にチェックできない場合もあります。また、誤解しないでほしいのが、常に正しい姿勢でいることが良いとは限らないということです。問題は悪い姿勢をとることだけでなく、「姿勢を変えないこと」だからです。たとえ良い姿勢だとしても、同じ姿勢を長時間保持すると、筋肉の血液循環量が低下して筋疲労が生じます。時々歩いたり姿勢を変えて「リセット」することを心がけてくださいね。
参考:
中村隆一「基礎運動学 第6版」医歯薬出版,2003
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く