【超簡単】老け防止に効果絶大な重力に逆らう方法「抗重力筋スイッチオン」とは?理学療法士が解説
「重力に逆らうこと」これは、人生最大のテーマと言ってもいいほど大切なことです。一体どういうことなのでしょう?重力に逆らうために大切な、抗重力筋のスイッチを入れる方法を理学療法士の堀川ゆきさんが教えてくれました。
「抗重力筋」って何?
抗重力筋(こうじゅうりょくきん)とは、「地球の重力に対して姿勢を保持するために働く筋肉」のことです。立っているだけ、座っているだけでも常に抗重力筋のどれかが働いています。
抗重力筋は、下腿・大腿・殿部・腹部・背部・首といった身体の前後に張りめぐらされ、身体の前側の筋肉と背中側の筋肉とが互いに伸び縮みをしながらバランスを取っています。文献によって少し違いはありますが、具体的には抗重力筋とは以下の複数の筋肉の総称です。
・頚部伸筋群と頚部屈筋群
・脊柱起立筋群
・大殿筋
・ハムストリングス
・下腿三頭筋
・腹筋群
・腸腰筋
・大腿四頭筋
・前脛骨筋
抗重力筋の最も大切な役割は「姿勢の保持」です。抗重力筋が働かなければ、私達は歩くどころか、立つことも座ることもできません。抗重力筋がバランス良く働くことで正しい姿勢を保持することができます。また、姿勢が良いと基礎代謝が高まります。内臓の働きも整い、血流など体内の循環も良くなり、脂肪も燃焼しやすくなります。さらに、姿勢が良いとバランスよく筋肉が発達するので、ボディラインも綺麗に維持してくれます。
ピラティスの「軸の伸長」
抗重力筋は「軸の伸長」によって働かせることができます。「軸の伸長」とはピラティスの大切な原則の一つで、重力に対して身体を上に引き上げる感覚のことです。「軸の伸長」によって、体重や重力に押し潰される力に抵抗する、垂直方向の抗重力活動が起こります。こうすることで身体の左右のバランスがとれて身体が中心に整い、身体のアライメントが整います。さらに「軸の伸長」によって、身体のコアの筋肉にも自動的に必要な力が入ります。
ピラティスの原則の中でも私はこの「軸の伸長」を特に重要視しています。「軸の伸長」はピラティスだけでなく、ヨガやリハビリ、日常生活でも、健康に過ごす上で必要だと考えています。
「抗重力筋スイッチオン」に挑戦
立位でスイッチオン
ではまず立って体感しましょう。ただ何気なく立っているだけになっていないですか?この時「軸の伸長」を意識して立ちます。天井から頭頂部を糸で引っ張られているような、または背骨をいつもより10センチくらい長く上に引き上げるような感覚です。背骨を重力に抗うように長く保ち、背骨ひとつひとつの隙間を広げるように意識しましょう。
座位でスイッチオン
今度はイスに座って体感しましょう。同じように「軸の伸長」を意識して座ります。両手のひらで太ももを押しながら、座高をいつもより10センチくらい長くキープするような感覚です。「軸の伸長」とは、決して全力で頑張って行うものではなく、潜在している自分の中の必要最小限の力で維持するものです。そのうち必ず感覚がつかめてくるはずです。背骨は上から重力方向に押しつぶすような力がかかり続けると、背骨の変形や圧迫骨折が起こりやすいです。この「軸の伸長」が、今後の自分自身の背骨の健康につながっていくでしょう。
まとめ
抗重力筋のスイッチを入れる方法についてお話しました。そのためにはピラティスの「軸の伸長」がカギとなります。抗重力筋はただ地球の重力に対して姿勢をキープしてくれるだけでなく、たるみや不調など様々な弊害から身体を守っているとても重要な筋肉です。抗重力筋は年齢と共に衰えやすいので、今から抗重力筋の大切さに気付いて、重力に負けない身体作りをコツコツ始めてみましょう。
参考:竹井仁「姿勢の教科書」ナツメ社,2015
AUTHOR
堀川ゆき
理学療法士。ヨガ・ピラティス講師。抗加齢指導士。2006年に渡米し全米ヨガアライアンス200を取得。その後ヨガの枠をこえた健康や予防医療に関心を持ち、理学療法士資格を取得。スポーツ整形外科クリニックでの勤務を経て、現在大学病院にて慢性疼痛に対するリハビリに従事する。ポールスターピラティスマットコース修了。慶應義塾大学大学院医学部博士課程退学。公認心理師と保育士の資格も持つ二児の母。
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