閉経後の健康リスクを最小にするために…更年期に控えるべき3つの食品とは?
更年期の方に向けたサービス「よりそる」を運営する高本玲代さんが綴るコラム連載。高本さんご自身もまさに更年期世代。わかりやすい不調だけではない更年期の影響について、体験を交えてお話しいただきます。
よく「更年期に何を食べたらよいですか?」と聞かれますが、それよりも控えるべき食品を考える方が間違いない、ということをお伝えしています。
極端に言うと、「何かを食べるから体調が良くなる」というよりは、「体に必要な栄養」はとっていかなくてはならないため、結果バランスよく色んな食事をする方がよいということになるからです。
他方、大量に摂ったり毎日摂り続けると明らかに体に悪影響を及ぼすものがあるので、バランスの良い食事を心がけながらそういったものを控えていく、といった方が現実的になります。
更年期に控えるべき食品
控えるべき食品の代表的なものは以下の3つです。
①トランス脂肪酸
厚生労働省によると、トランス脂肪酸の過剰摂取により、心筋梗塞などの冠動脈疾患が増加する可能性が高いとされています。 また、肥満やアレルギー性疾患についても関連が認められています。
主に含まれる食品は菓子パンやマーガリンなどになります。
②加工肉
2007年に世界がん研究基金(WCRF)と米国がん研究協会(AICR)による評価報告書で、赤肉、加工肉の摂取は大腸がんのリスクを上げることが「確実」と判定されており、赤肉は調理後の重量で週500グラム以内、加工肉はできるだけ控えるように、と勧告しています。
③エナジードリンク
カフェインと糖分が多く含まれるエナジードリンクは過剰摂取をすると危険です。「疲れたら飲む」よりは、この時期は「疲れる前に休息をとる」など気を付けていきましょう。
実際カフェインを多量に含む眠気防止薬や「エナジードリンク」などの清涼飲料水の過剰摂取による急性中毒で5年間に101人が救急搬送され、うち3人が死亡しました。(日本経済新聞 2017 年:日本中毒学会より)
更年期はある意味今後の健康に大きく影響する時期でもあります。私たちはついつい「今の体調を何とかしたい」と思いがちですが、20年後の長期的な健康も踏まえて考える必要があります。
これらの食品を全く排除しろ、とは言いませんし、私もワイン片手に加工肉を食べるなどは好きです。しかしそれでも少し意識をして控えるだけでも違います。
人生100年時代は閉経後からの期間がとても長くなるのです。
特に、閉経後は骨粗鬆症や高血圧、高コレステロール血症などのリスクが高まりますので、更年期の時期からそういった値が悪化しないように健康的な生活を送っていく必要があります。更年期は案外平気だった、という方でも閉経後ガタっと体を壊す方もおられます。
忙しいとついつい「加工肉の入った菓子パンを食べて、疲れたらエナジードリンクを飲む」なんてやってしまいがちです。
カロリーや塩分の過剰摂取などに気を付けて健康的な生活をこの時期から心がけていきたいものですね。
80歳を過ぎた両親を見ていると、健康は日々の小さな積み重ねから生まれると感じています。
医師監修/甲斐沼孟
大阪市立大学(現:大阪公立大学)医学部を卒業後、大阪急性期総合医療センターや大阪労災病院、国立病院機構大阪医療センターなどで消化器外科医・心臓血管外科医として修練を積み、その後国家公務員共済組合連合会大手前病院救急科医長として地域医療に尽力。2023年4月より主にTOTO関西支社健康管理室産業医として勤務。これまでに数々の医学論文執筆や医療記事監修など多角的な視点で医療活動を積極的に実践している。
AUTHOR
高本玲代
フェムテック起業家・社会活動家。自身のウツや更年期の経験から更年期女性のケアプロ グラム「よりそる」を立ち上げる。東京都をはじめとする自治体やポーラをはじめとする 企業向けに研修を実施。NHKをはじめメディア掲載50社以上。「がんばらない更年期」 についてYoutube「更年期アカデミー よりそる」で発信中。
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