5月は燃え尽き症候群に注意|なりやすい人の特徴や対処法を臨床心理士が解説

 5月は燃え尽き症候群に注意|なりやすい人の特徴や対処法を臨床心理士が解説
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南 舞
南 舞
2023-05-02
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燃え尽き症候群になりやすい人の特徴は?

燃え尽き症候群は、個人的な要因と環境的な要因の2つによって引き起こされると言われています。

個人的な要因

性格的に『なんでも完璧にやらないと気が済まない』『責任感が強い』『スケジュールなどが厳しそうでも断らずに引き受ける』『自分が頑張ればなんとかなると思う』といった人は、燃え尽き症候群になりやすいとされています。

環境的な要因

個人的な要因以外にも、環境が与える影響も大きいです。『求められる内容が厳しい』『時間外労働が多い』『肉体を酷使する』『正当な評価が得られない』『人間関係に課題があり、職場の雰囲気が良くない』といった状況の中にいることは、心身に大きなストレスを与えます。

燃え尽き症候群になった時の対処法とは

日常生活の見直し

まずは食事や睡眠の内容や時間について見直してみましょう。それらを見直して改善するだけでも心身の状態はだいぶ変わります。

心が休まることを選択する

休むというのは、横になっていることもそうですし、自分にとって楽しいことや心地よいことを行うことも含まれます。

ストレスの要因になるものとの境界線を引く

リモートワークがメインの方など、業種や環境によっては仕事とプライベートとの境界線が薄い、あるいはほぼないという方も多い印象を受けます。その境界線の薄さによって心身が疲労していることもあるので、『この時間ではここまでやる』とか『この場でこれはやらない』など自分なりに境界線を引いていきましょう。

 誰かに手伝ってもらうことも大事

『人に頼ることが苦手』という人も多いと思いますが、頼れる人や助けてくれる人の存在は、いざとなった時の心の安定剤になります。普段からちょっとしたことでも誰かに手伝ってもらう、話を聞いてもらうなど、人に頼れる習慣を身につけられると良いですね。

医療機関を一時的に使うことは悪いことではない

燃え尽き症候群の症状は、うつ病に似たところもあり、場合によっては併発する可能性も。身体症状が見られたり、日常生活に支障が出そうになっている場合は医療機関(心療内科など)を検討してみてください。いろんな方のお話を聞くと、『心療内科に行くのはちょっと・・・』とか『薬を飲んだらもう終わり』と言った声を聞くことがあります。しかし、一時的にでも投薬などの適切な治療を受けることの方が結果的に早く復帰して、その後健康的に過ごせるというケースも多いです。むしろ放置したことによって悪化し、療養の期間が長くなってしまうという可能性もありますので、『症状が軽いうちに』受診をおすすめします。

カウンセリングの活用

心の専門家と話すことは、自分の状態を客観的に見つめ、今の自分に何が必要かを知る機会になります。また、自分自身のことを自由に話せる空間に身を置くことにより、ストレスの軽減にもつながります。また、『誰かを頼ることが苦手』という人は、カウンセリングで自分のことを話すということ自体が頼ることの練習につながることも。

ヨガが自分の状態を知る手助けになるかも

燃え尽き症候群の症状が見られる方のお話を聞いていると、『まさか自分がそうなると思わなかった』とか『自分の心身の変化に気がつかなかった』という声を聞くことが多いように思います。燃え尽き症候群をはじめ、心身が健やかな状態でいるためには、普段から自分の体や心に関心を持って観察する習慣を持つことが大切です。日頃から自分の心身を観察していると、ちょっとした異変に気づき、早期にケアを行うことができます。それに役立つ有効なツールがヨガであると筆者は考えています。ヨガのポーズや呼吸法が習慣になっていれば、ポーズの取りづらさや呼吸の浅さが感じられた時に、いつもと様子が違うと『もしかしたら疲れているのかもしれない』とか、あるいは瞑想ができずにソワソワする時は、『心が落ち着かない状況にある』という今の自分の状況を教えてくれるサインを受け取る手助けになります。とはいえ、新しい環境の中にいると、ヨガを始めるにはハードルが高いと思いますので、落ち着いた頃に取り組んでいくと良いでしょう。

日頃からセルフケアを

燃え尽き症候群はどんな人にでも起こる可能性のあるもの。『自分は大丈夫だ』と決めつけるのではなく、『燃え尽き症候群になる可能性があるかもしれない』いうことを頭の片隅に置いておくと、いざという時に必要以上に慌てずに済みます。また、燃え尽き症候群を防ぐためにも、日頃から心身のケアを心がけていきたいものですね。

《参考文献・URL》

久保真人(著)「バーンアウトの心理学―燃え尽き症候群とは」サイエンス社(2004)
久保真人・田尾雅夫(著)「バーンアウトー概念と症状,因果関係についてー」心理学評論 vol 34 No3 412-431 1991
厚生労働省 e-ヘルスネット 『バーンアウトシンドローム』

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南 舞

南 舞

公認心理師 / 臨床心理士 / ヨガ講師 中学生の時に心理カウンセラーを志す。大学、大学院でカウンセリングを学び、2018年には国家資格「公認心理師」を取得。現在は学校や企業にてカウンセラーとして活動中。ヨガとの出会いは学生時代。カラダが自由になっていく感覚への心地よさ、周りと比べず自分と向き合っていくヨガの姿勢に、カウンセリングの考え方と近いものを感じヨガの道へ。専門である臨床心理学(心理カウンセリング )・ヨガ・ウェルネスの3つの軸から、ウェルビーイング(幸福感)高めたり、もともと心の中に備わっているリソース(強み・できていること)を引き出していくお手伝いをしていきたいと日々活動中。



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