睡眠不足だと血糖値が跳ね上がる?糖尿病専門医が教える、糖尿病の発症リスクを下げる睡眠のコツ
睡眠と血糖値や糖尿病の関係はあまり知られていませんが、実は大きな関係があります。睡眠不足になると血糖値にどのような影響があるのか、自身も1型糖尿病歴30年という内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんの著書『血糖値を自力で下げるやり方大全』(フォレスト出版)よりご紹介します。
睡眠不足が血糖値を跳ね上げる
睡眠不足(睡眠時間5~6時間未満)な人ほどヘモグロビンA1c(過去1〜2ヶ月の血糖値の平均を反映した数値)が高く、血糖コントロールがうまくいっていない傾向にあります。睡眠不足は様々なホルモンに影響します。交感神経が活性化されてストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが増加し、インスリンが効きづらい状態になります。また、食欲を増進させるグレリンが増え、食欲を抑制するレプチンが減ります。寝不足だと食欲が湧いてくるのはこのためです。インスリンが効きづらいのに食欲が増すため、糖尿病の発症リスクは高まり、血糖コントロールが上手くいかなくなるのです。
快眠のためのポイント
では、快眠のために何が出来るでしょうか。睡眠時間を増やすことはもちろんですが、睡眠の質を上げることもとても重要です。仕事で睡眠時間が増やせなくても、出来ることはあります。快眠のために出来るポイントを3つお伝えします。
①朝、決まった時間に起きて朝日を浴びて朝食を摂る
体内時計は睡眠のサイクルにも影響します。体内時計とは私たちの体の中の時間のリズムのことです。体内時計と実際の時間は1日10分ずれています。それを朝食を食べることと、朝日と浴びることで体内時計のずれがリセットされます。体内時計と実際の時間をしっかりと合わせていきましょう。
②夜は興奮させず、穏やかな気分で過ごす
快眠には、就寝時のリラックスが大事です。眠りに導く副交感神経を優位にする為、静かな音楽や気分の落ち着くアロマなどで気分を落ち着かせましょう。寝る前のスマホはブルーライトで体内時計が乱れ、交感神経を刺激するので控えた方がいいでしょう。
③カフェイン入りの飲料や寝酒を飲まない
カフェインは交感神経を刺激し、眠りにくくするので就寝3〜4時間前からコーヒーや紅茶、カフェイン入りの栄養ドリンクは控えましょう。アルコールは、利尿作用があるため途中でトイレに行くために目が覚め、睡眠の質が低下してしまいます。
糖尿病のリスクを減らすためにも、睡眠時間と質のいい睡眠の確保に努めたいですね。
『血糖値を自力で下げるやり方大全』著者/市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)・医学博士。1982年生まれ。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医になる。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のため患者会や企業での講演活動を行っている。2009年山口大学医学部医学科卒。独立行政法人国立病院機構関門医療センターにて初期研修を経て、2011年東京女子医科大学糖尿病センター糖尿病代謝内科勤務、2016年横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック入所、2018年同クリニック副院長に就任。医師と患者の両方の立場から、患者様の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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