「健康診断で血糖値が高いと言われた…」今日からできる食事での改善方法とは|管理栄養士が解説
健康診断で「血糖値が高い」「糖代謝異常のおそれがある」と言われたけど、自覚症状がないから放置している…そんな人はいませんか?糖代謝異常をそのままにしていると、取り返しのつかないことになりかねません。この記事では、管理栄養士が糖代謝異常の危険性と食事面のアドバイスをお伝えします。食生活を見直して、血糖値を改善させましょう。
血糖値が高いとどんなリスクがある?
ご飯やパン、麺類、果物などには体を動かすエネルギーとして不可欠な栄養素、糖質が含まれています。血糖値とは、食事から体が吸収して血管内に取り込まれた糖の量を示す数値です。食後は一時的に血糖値が高くなりますが、膵臓からインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されるため、血糖値は次第に下がります。
しかし食後、時間が経過しても血糖値が下がらない場合、インスリンが十分に分泌されていない、または分泌されたインスリンがきちんと作用していないおそれがあります。この状態が「糖代謝異常」です。
これを放置すると、糖で血管が傷つけられて動脈硬化になり、心筋梗塞や脳梗塞のリスクが高まります。さらに糖尿病を発症して高血糖状態が続くだけではなく、合併症により内臓や神経に障害が起こる可能性もあるのです。
健康診断では、朝食を摂らずに採血して「空腹時血糖」を調べます。食事を摂っていないため低い値を示すはずですが、糖代謝に問題があると空腹時血糖は高くなります。
検診結果に「HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)」という文字も見られますね。これも血糖値に関する値であり、過去2ヶ月間ほどの平均的な血糖を反映するため、採血した日の食事や体調などに影響を受けません。空腹時血糖とHbA1c、場合によっては追加の検査などをおこない、糖尿病の疑いを総合的に判断していきます。
初期の糖代謝異常では、自覚症状がありません。健康診断などで血糖値の高さを指摘されたら、改善に向けて早めに行動しましょう。
血糖値が高くなる原因は「肥満」
高血糖は遺伝や運動不足、ストレスなどが原因です。そのなかでも肥満は、大きな要因であると考えられています。
脂肪細胞からは、インスリンの効きをよくする作用がある「アディポネクチン」というホルモンが分泌されています。肥満になるとアディポネクチンの分泌が減少するため、血糖値が下がりにくくなってしまうのです。
また女性に多いのが「痩せているのに高血糖になる」タイプです。筋肉量が少なく、その代わりに筋肉に脂肪が蓄積している「かくれ肥満」の人は、インスリンの効きが悪くなると考えられています。
血糖値を上げにくくする食事
血糖値改善のポイントは、食事と運動です。今回は管理栄養士から、食事面についてアドバイスします。
肥満の人は、肥満を解消することで血糖値が改善するケースが多くあります。まずは1日3食、適正なエネルギー量の食事を摂るように心掛けましょう。1日2食しか食べていない、食事時間が不規則といった場合、空腹の時間が長く、食事の際に血糖値が急上昇するおそれがあるので要注意です。
間食は控えて、コーヒーや紅茶にはできるだけ甘みを加えないようにしましょう。バターやマーガリンを使った料理、揚げ物や炒め物は脂質を摂りすぎる可能性があります。そのような食べ物が多くなりがちな外食時には、脂質が少ない和食を選ぶようにしてください。
糖の吸収スピードを緩やかにして、食後血糖値の急上昇をおさえる効果がある食物繊維を積極的に摂りましょう。海藻はエネルギーが低く、血糖値の上昇をおさえてくれる食物繊維が豊富な食材なので、おすすめします。食後の血糖値が上がりにくくなる「低GI食品」を利用するのも、方法のひとつです。
痩せているのに高血糖になる人も、栄養バランスのよい食事をしっかり3食摂りましょう。適切なエネルギー量をきちんと摂ることが大切です。
繰り返しになりますが、血糖値の改善には食事だけではなく運動も重要です。検診で指摘されたらそれをよい機会として、生活を見直してみてください。【参考文献】
厚生労働省 e-ヘルスネット「糖尿病」
順天堂大学GOOD HEALTH JOURNAL「やせていても『少食で運動不足』はハイリスク。若い女性も気をつけたい糖尿病」
AUTHOR
いしもとめぐみ
管理栄養士。国立大学文学部を卒業後、一般企業勤務を経て栄養士専門学校に入学し、栄養士資格を取得。病院給食、食品メーカーの品質管理、保育園栄養士を経験して2022年に独立。食が楽しくなるレシピを発信するほか、栄養・健康分野の記事執筆を中心に活動中。
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