「かかと落とし」で血糖値が下がる…なぜ?糖尿病専門医が教える、血糖値を下げる「ゆるい」運動のコツ
しっかりとした運動をしないと脂肪が減ったり、血糖値に影響はないのでは?そう思う方も多いと思います。以前は20分以上の運動をしないと体脂肪は燃焼しないと言われていました。しかし最近の研究では、30分の運動でも10分×3の運動でも消費される体脂肪の量は同じであることが分かってきました。ということは、有酸素運動を行うまとまった時間が取れなくても「小間切れ運動」で血糖値を下げることは出来ますし、体脂肪を減らす効果もあります。自身も1型糖尿病歴30年という内科医・糖尿病専門医の市原由美江さんの著書『血糖値を自力で下げるやり方大全』(フォレスト出版)から、血糖値を下げる運動についてご紹介します。
運動で血糖値が下がる仕組み
筋肉の細胞の中にあるグルコース輸送体というタンパク質が、糖を取り込んでくれる立役者です。有酸素運動も無酸素運動も、またはストレッチなどの筋肉への刺激によっても、筋肉の細胞内にあるグルコース輸送体が細胞の表面へ移動して、血中のぶどう糖を細胞内に取り込み血糖値が下がります。このグルコース輸送体による血糖値の改善は、運動後すぐに効果をあらわします。
隙間時間でゆる〜い運動を
前述の通り、30分続けて運動が出来なくても、朝の通勤時10分、昼休み10分、帰宅時10分歩いても30分歩いたのと同じ効果があります。10分歩けなくても、通勤時に階段を使って移動するのもOK。階段を上るのがキツい場合は、下りだけでも階段を使う、これも立派な運動です。
かかと落としがおすすめ!
糖尿病に効果的と言われているのが、「かかと落とし」。これはかかとを上げて下にストンと落とす動きです。骨への刺激で、骨の細胞から分泌されるオステオカルシンがインスリンの分泌を促進させるという効果があります。かかとを落とすだけでもインスリンの分泌を促し血糖値を抑えてくれるのであれば、階段を下りるだけでも効果が得られるのも納得出来ますね。
運動したくても忙しい人や休みの日には休養で精一杯でも、改めて運動を頑張らなくても大丈夫です。通勤時間やお買い物の時、料理をしながらなど、ストレッチや軽い筋トレでも自分がやりやすいものを選択してやってみましょう。
『血糖値を自力で下げるやり方大全』著者/市原由美江(いちはら・ゆみえ)
医師(内科・糖尿病専門医)・医学博士。1982年生まれ。自身が11歳の時に1型糖尿病(年間10万人に約2人が発症)を発症したことをきっかけに糖尿病専門医になる。病気のことを周囲に理解してもらえず苦しんだ子ども時代の経験から、1型糖尿病の正しい理解の普及・啓発のため患者会や企業での講演活動を行っている。2009年山口大学医学部医学科卒。独立行政法人国立病院機構関門医療センターにて初期研修を経て、2011年東京女子医科大学糖尿病センター糖尿病代謝内科勤務、2016年横浜鶴ヶ峰病院付属予防医療クリニック入所、2018年同クリニック副院長に就任。医師と患者の両方の立場から、患者様の気持ちに寄り添い、「病気を個性として前向きに付き合ってほしい」との思いで日々診療している。
AUTHOR
ヨガジャーナルオンライン編集部
ストレスフルな現代人に「ヨガ的な解決」を提案するライフスタイル&ニュースメディア。"心地よい"自己や他者、社会とつながることをヨガの本質と捉え、自分らしさを見つけるための心身メンテナンスなどウェルビーイングを実現するための情報を発信。
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