漫画家ひうらさとるさんが語る「抗わない心地よさ」 連載 #OVER50 降っても晴れても機嫌よく
抗わない心地よさ
ーー作品をコンスタントに生み出し続けるって体力も気力も必要だと思いますが、元気もないし、何もしたくない時ってありますか?
ひうらさん:もちろんあります。何にも出てこなかったり、出てきてもつまらなかったり。ただ、仕事を長く続けてきて、そういう時期もあるってわかっているんですよね。だから、今はそういう時期だと諦観することにしています。
若い時には、何も出てこないと焦って「なんとかしなきゃ!」と抗ったものですが、今では、例えできないからといって一生できないわけではないとわかるので、不安に思わなくなりました。他にも、昔は人が羨ましくなったり、もっと結果を出さなきゃと思ったことがありますが、今は、取り繕って自分以上の力を出そうとがんばっても自分らしくないと思っています。
草笛光子さんが「こんな私でよかったら使ってくれればいいと思ってる」っておっしゃっていたんですけど、その感覚と似ています。例え納得がいかないところがあったとしてもそれが今の実力だと思うので、もしそれでもよかったら使ってくださいと思っています。
ーーひうらさんの言葉からは心の健やかさが伝わってきます。ひうらさんが精神的に健やかでいるために気をつけていることはありますか?
ひうらさん:行きたい場所があったり、見たいものがあったら、すぐに行動することにしています。コンサートとか映画とか旅行とか何でも、思いついたらすぐに行動するんです。
好奇心に従って行動する
ーーひうらさんの作品ってリアルで、多くの読者が共感しながら読んでいると思います。それは、ひうらさんご自身が好奇心を絶やさずにアンテナを張り巡らされているからなんですね。いくつになっても好奇心を絶やさない秘訣ってありますか?
ひうらさん:興味を持つことって衝動的なことで、時間にするとすごく短いんです。だから、例えば誰かに面白い本を紹介してもらったら、その場で調べて購入ボタンをクリックするくらい素早く動くことにしています。メモして後で買おうと思っていると忘れるんですよね。忘れるくらいならその場で買ってしまうんです。
他にも、会いたい人がいたら忙しくても会う時間を作るとか、コンタクトを取るとかね。以前は相手が忙しいかもしれないと思って躊躇することがあったんですけど、今ではとりあえずコンタクトだけは取って、忙しかったらその時はその時だと思っています。
最近は、1年間で会いたい人のリストを作っています。リストを作るだけでも意識するようになるので、コンタクトを取れる機会が訪れるんです。そうやって行動していると好奇心は絶えないし、物事にピンとくる感覚が掴めるようにもなります。
後編では、人生を楽しむ秘訣を伺います。
AUTHOR
磯沙緒里
ヨガインストラクター。幼少期よりバレエやマラソンに親しみ、体を使うことに関心を寄せる。学生時代にヨガに出合い、会社員生活のかたわら、国内外でさまざまなヨガを学び、本格的にその世界へと導かれてインストラクターに。現在は、スタイルに捉われずにヨガを楽しんでもらえるよう、様々なシチュエーチョンやオンラインでのレッスンも行う。雑誌やウェブなどのヨガコンテンツ監修のほか、大規模ヨガイベントプロデュースも手がける。
- SHARE:
- X(旧twitter)
- LINE
- noteで書く